風邪

下痢を起こす風邪(感染性腸炎)の原因と治し方

更新日:2018/02/14 公開日:2015/01/30

咳や鼻水といった症状がなく、下痢がメインの風邪もあります。これは一般的に「おなかの風邪」といわれ、医学的には「感染性腸炎」と呼ばれます。ここでは、おなかの風邪の原因や治し方について解説します。

短くポイントをまとめると
下痢を起こす風邪は、細菌やウイルスの感染(感染性腸炎)であることが多い
たいていは数日~1週間くらいで治ることが多いが、長引いたり悪化したりするようなら病院へ
下痢止めは自己判断で漫然と使いすぎない。医師と相談しながら使用するのが望ましい

つらい下痢に悩まされる女性のイメージ写真画像

風邪(かぜ)と聞くと、くしゃみや鼻水、咳、喉の痛み、発熱などをイメージする方が多いと思いますが、これらの気道を中心とした症状があまりなく、下痢がメインの症状である風邪もあります。これは一般的に「胃腸風邪」や「おなかの風邪」といわれ、医学的には「感染性腸炎」と呼ばれる病気です。ここでは、おなかの風邪(感染性腸炎)の原因や治し方について解説します。

下痢が起こる原因は?

下痢とは、便の量や含まれる水分が増加して泥や水のようになることです。ひどくなるとトイレから離れられないような状態になり、腹痛や血便をともなうこともあります。下痢が起こる原因としては下記のようなものがあります[1][2]。

  • 腸での炎症によるもの(細菌やウイルスの感染、腸の病気などによる炎症性下痢
  • 腸からの分泌促進によるもの(細菌やウイルスの感染、腸管運動の異常などによる分泌性下痢
  • 腸での吸収障害によるもの(乳糖不耐症、暴飲暴食や難消化性物質による浸透圧性下痢
  • 栄養素の消化障害によるもの(慢性膵炎などによる吸収不良症候群

このうち、おなかの風邪に関係しているのは、腸での炎症による「炎症性下痢」と腸からの分泌促進による「分泌性下痢」です。いずれも細菌やウイルスといった病原体の感染により引き起こされます。

下痢を起こす風邪の原因は?

おなかの風邪、すなわち感染性腸炎を引き起こす病原体は、人から人への接触感染でうつることもありますが、食べ物に紛れ込んでいたものが食事で体内に入ってしまい、感染してしまうというパターンもあります。主な病原体の潜伏期間と感染源を紹介します[3]。一般的に、冬にはウイルスによる感染性腸炎が多く、夏は細菌によるもの(食中毒とも呼ばれる)が多いといわれています。

感染性腸炎を引き起こすウイルス

  • ノロウイルス(潜伏期間12~48時間):牡蠣などの二枚貝など
  • ロタウイルス(2~4日):便を介しての接触感染
  • アデノウイルス(3~10日):便や飛沫を介して感染、子供に多い

感染性腸炎(食中毒)を引き起こす細菌

  • カンピロバクター(潜伏期間2~7日):加熱不十分な鶏肉、焼き肉、牛レバー刺しなど
  • サルモネラ菌(12~48時間):卵、鶏肉、牛レバー刺し、うなぎ、すっぽん、乾燥イカ菓子など
  • 黄色ブドウ球菌(2~6時間):おにぎり、寿司、肉・卵・乳などの調理加工品や菓子など
  • 腸管出血性大腸菌(1~7日):加熱不十分な牛肉など

下痢を起こす風邪はいつ治る?

ウイルスによる場合は、水様下痢で何度もトイレに行き、吐き気や嘔吐も起こることが多いです。ノロウイルスによる感染性腸炎では多くの場合、嘔吐は1日でおさまり、下痢は2~3日でおさまります(個人差があります)。発熱するときもありますが、長くても2日以内におさまります[3]。他の感染性腸炎もたいていは数日、長くとも1週間くらいで治ることが多いですが、それ以上長引く場合は病院(内科、消化器科)に行きましょう。また、下記のような症状がある場合は早めに病院に行くことをおすすめします[2]。

早めに医師の診察を受けた方がよいケース

  • 経験したことがないような激しい下痢
  • 便に血が混ざっている(血便)
  • 下痢以外に吐き気や嘔吐、発熱がある
  • 排便後も腹痛が続く
  • 症状が悪化している
  • 症状が改善する気配がない
  • 同じものを食べた人も同時に下痢になった
  • 脱水症状(尿が少ない、出ない、口が異常に渇くなど)がある
  • 小さな子供、高齢者、持病(心臓病や糖尿病、腎臓病など)がある人

下痢を起こす風邪の治し方は?

おなかの風邪(感染性腸炎)は、上記のような症状がない場合は、水分補給をして消化に良い食べ物を摂って、無理をせず安静にしていれば自然に治ります。下痢止めなどの薬を使うかどうかは、自己判断ではなく医師と相談して決めることが望ましいです。ここでは、生活上の注意点と薬での治療について解説します。

水分補給をする

下痢が続くときは身体から水分が抜けていってしまいますから、脱水症状に注意が必要です。こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。経口補水液が最も効率的に水分を吸収できますが、スポーツ飲料でも代用ができます(スポーツ飲料は糖分を多めに含んでいるので、大量に飲むときは水で薄め、塩を少し溶かして飲むといいです)[3]。白湯や麦茶など(カフェインが含まれない飲料)でもいいですが、梅干や塩飴などで塩分と糖分を補給しながら飲むとよいでしょう。水だけ飲むよりも腸で水分が吸収しやすくなります。

消化に良い食べ物を摂る

下痢をしているときには「胃腸を休める」ことが重要です。胃腸に刺激を与えるような、冷たいもの、辛いもの、脂肪分の多いもの、消化しにくいもの(玄米、海藻など)は控えましょう。コーヒーや炭酸飲料、アルコール類もよくありません。おかゆ、野菜スープ、煮込みうどん、すりおろしリンゴ、アイスクリーム(脂肪分の少ないもの)など、胃腸にやさしい食事で粘膜の炎症を悪化させないようにします。

薬による治療は相談を

下痢の症状がつらいときは、つい市販の下痢止め(止瀉薬)を使いたくなってしまいます。しかし、腸の中の毒素や異物を取り除くために下痢が起きていると考えると、あまり下痢止めに頼りすぎるのも考えものです。一方で、下痢で体力を消耗したり、脱水が起きたりしている場合など、下痢止めを使うべきケースもあります。可能な限り、下痢止めは医師に相談してから使うことがすすめられます。

とはいえ、下痢が続いていては病院にも行けないということになりかねません。実際には、自己判断での下痢止めの使用は必要最低限にとどめつつ、早めに病院を受診するというのが現実的なところかもしれません。いずれにせよ、自己判断で下痢止めを漫然と使いすぎないようにしてください。

病院では、下痢止め以外にも、腸の働きを整える薬(整腸薬)、便の水分を吸い取る薬、腸への刺激を抑える薬などが、病気の状態によって処方されます。

まとめ

ここまで、おなかの風邪(感染性腸炎)の原因と治し方について解説してきました。一般的に、冬にはウイルスによる感染性腸炎が多く、夏は細菌によるものが多いといわれており、たいていは数日で治ります。ただ、下痢が起こる原因は、これらの感染によるものだけではありません。下痢が長引いたり、症状が悪化してきたりするようなことがあれば、我慢しすぎずに早めに病院(消化器科、内科)に行きましょう。

参考文献

  1. [1]“下痢” 南山堂医学大辞典 第20版. 南山堂 2015
  2. [2]日本臨床内科医会. 下痢の正しい対処法.”わかりやすい病気のはなしシリーズ42” 日本臨床内科医会. http://www.japha.jp/doc/byoki/042.pdf(参照2018-02-14)
  3. [3]山本舜悟編.かぜ診療マニュアル 第2版.日本医事新報社,2017; 251-252

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