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風邪

下痢を起こす風邪(感染性腸炎)の原因と治し方

更新日:2018/03/09 公開日:2015/01/30

風邪と聞くと咳や痰などの気道症状を思い浮かべる方が多いと思いますが、気道症状があまりなく、下痢がメインである風邪もあります。これは一般的に「おなかの風邪」といわれ、医学的には「感染性腸炎」と呼ばれます。ここではドクター監修のもと、おなかの風邪の原因や治し方について解説します。

◎短くポイントをまとめると
下痢を起こす風邪の原因は、細菌やウイルスの感染(感染性腸炎)であることが多い
数日~1週間くらいで治ることが多いが、腸管出血性大腸菌(O157)による腸炎など重症化するケースもある。血便や激しい腹痛、症状が長引いたり悪化したりするようなら早めに病院へ
下痢止めは腸管内容物の停滞時間を長くし、毒素の吸収を助長し、症状が悪くなることがあるため、原則使わない方が良い

下痢の症状で苦しむ女性のイメージ写真画像

風邪(かぜ)と聞くと、くしゃみや鼻水、咳、喉の痛み、発熱などをイメージする方が多いと思いますが、これらの気道を中心とした症状があまりなく、下痢がメインの症状である風邪もあります。これは一般的に「おなかの風邪」といわれ、医学的には「感染性腸炎」と呼ばれる病気です。ここではドクター監修のもと、おなかの風邪(感染性腸炎)の原因や治し方について解説します。

下痢が起こる原因は?

下痢とは、便の量や含まれる水分が増加して泥や水のようになることです。ひどくなるとトイレから離れられないような状態になり、腹痛や血便をともなうこともあります。下痢が起こる原因としては下記のようなものがあります[1]。

  • 腸での炎症によるもの(炎症性下痢:細菌やウイルスの感染による腸炎、潰瘍性大腸炎など)
  • 腸からの分泌促進によるもの(分泌性下痢:細菌やウイルスの感染による腸炎、内分泌腫瘍)
  • 腸での吸収障害によるもの(浸透圧性下痢:胃・小腸切除後や慢性膵炎で浸透圧効果のある物質が腸内にとどまって生じる)
  • 腸管運動異常によるもの(過敏性腸症候群など)

このうち、おなかの風邪に関係しているのは、腸での炎症による「炎症性下痢」と腸からの分泌促進による「分泌性下痢」です。いずれも細菌やウイルス、寄生虫といった病原体の感染により引き起こされます。

下痢を起こす風邪の原因は?

おなかの風邪、すなわち感染性腸炎を引き起こす病原体は、人から人への接触感染でうつることもありますが、食べ物に紛れ込んでいたものが食事で体内に入ってしまい、感染してしまうというパターンもあります。主な病原体の潜伏期間と感染源を紹介します[2][3]。一般的に、冬にはウイルスによる感染性腸炎が多く、夏は細菌によるものが多いと言われています。

感染性腸炎を引き起こすウイルス

  • ノロウイルス(潜伏期間3~40時間):牡蠣などの二枚貝など
  • ロタウイルス(潜伏期間2~3日):便を介しての接触感染

感染性腸炎を引き起こす細菌

  • カンピロバクター(潜伏期間2~10日):加熱不十分な鶏肉、焼き肉、牛レバー刺しなど
  • サルモネラ菌(潜伏期間8~48時間):卵、鶏肉、牛レバー刺し、うなぎ、すっぽん、乾燥イカ菓子など
  • 腸管出血性大腸菌(潜伏期間2~8日):野菜、加熱不十分な牛肉など

下痢を起こす風邪はいつ治る?

ウイルスによる場合は、水様下痢で何度もトイレに行き、吐き気や嘔吐も起こることが多いです。ノロウイルスによる感染性腸炎では多くの場合、嘔吐は1日でおさまり、下痢は2~3日でおさまります(個人差があります)。発熱するときもありますが、長くても2日以内におさまることが多いです[4]。他の感染性腸炎もたいていは数日、長くとも1週間くらいで治ることが多いですが、それ以上長引く場合は病院(内科、消化器科)に行きましょう。また、下記のような症状がある場合は早めに病院に行くことをおすすめします[5]。

早めに医師の診察を受けた方がよいケース

  • 経験したことがないような激しい下痢、腹痛
  • 便に血が混ざっている(血便)
  • 下痢以外に吐き気や嘔吐、発熱がある
  • 排便後も腹痛が続く
  • 症状が悪化している
  • 症状が改善する気配がない
  • 同じものを食べた人も同時に下痢になった
  • 脱水症状(尿が少ない、出ない、口が異常に渇くなど)がある
  • 小さな子供、高齢者、持病(心臓病や糖尿病、腎臓病など)がある人

下痢を起こす風邪の治し方は?

おなかの風邪(感染性腸炎)は、上記のような症状がない場合は、水分補給をして消化に良い食べ物を摂って、無理をせず安静にしていれば自然に治ることが多いです。下痢止めなどの薬を使うかどうかは、自己判断ではなく医師と相談して決めましょう。ここでは、生活上の注意点と薬での治療について解説します。

水分補給をする

下痢が続くときは身体から水分が抜けていってしまいますから、脱水症状に注意が必要です。こまめな水分補給を心がけるようにしましょう。経口補水液が最も効率的に水分を吸収できますが、スポーツ飲料でも代用ができます(スポーツ飲料は糖分を多めに含んでいるので、大量に飲むときは水で薄め、塩を少し溶かして飲むといいです)[4]。白湯や麦茶など(カフェインが含まれない飲料)でもいいですが、梅干や塩飴などで塩分と糖分を補給しながら飲むとよいでしょう。

消化に良い食べ物を摂る

下痢をしているときには「胃腸を休める」ことが重要です。胃腸に刺激を与えるような、冷たいもの、辛いもの、脂肪分の多いもの、消化しにくいもの(玄米、海藻など)は控えましょう。コーヒーや炭酸飲料、アルコール類も良くありません。おかゆ、野菜スープ、煮込みうどん、すりおろしリンゴ、アイスクリーム(脂肪分の少ないもの)など、胃腸にやさしい食事で粘膜の炎症を悪化させないようにします。

薬による治療は相談を

下痢の症状がつらいときは、つい市販の下痢止め(止瀉薬)を使いたくなってしまいます。しかし、腸の中の毒素や異物を取り除くために下痢が起きていると考えると、下痢止めを使うことでかえって症状が悪化する可能性があります。[2]。下痢止めを使用するかどうかは医師に相談してから決めましょう。

病院では、腸の働きを整える薬(整腸薬)、便の水分を吸い取る薬、腸への刺激を抑える薬などが、病気の状態によって処方されます。

まとめ

ここまで、おなかの風邪(感染性腸炎)の原因と治し方について解説してきました。一般的に数日で治ることが多いですが、腸管出血性大腸菌(O157)による腸炎など重症化するケースもあります。また、下痢が起こる原因は、これらの感染によるものだけではありません。下痢が長引いたり、血便や激しい腹痛が認められたり、症状が悪化してきたりするようなことがあれば、我慢しすぎずに早めに病院(消化器科、内科)に行きましょう。

参考文献

  1. [1]医療情報科学研究所編. 病気がみえる vol.1 消化器. 第5版. メディックメディア 2016; 19
  2. [2]日本消化器病学会監. 消化器病診療 第2版 医学書院 2014
  3. [3]大川清孝ほか編. 感染性腸炎A to Z 第2版 医学書院 2012
  4. [4]山本舜悟編.かぜ診療マニュアル 第2版.日本医事新報社,2017; 251-252
  5. [5]日本臨床内科医会. 下痢の正しい対処法.”わかりやすい病気のはなしシリーズ42” 日本臨床内科医会. http://www.japha.jp/doc/byoki/042.pdf(参照2018-02-14)

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