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胃炎

ストレス性胃炎(神経性胃炎)の症状、診断、薬などでの治し方

更新日:2018/05/01 公開日:2016/02/23

過酷な職場で頑張りつづけていて胃が痛くなると、つい「ストレスのせい」と思いがちです。ここでは、ストレス性胃炎(神経性胃炎)の症状、診断、薬などでの治療について解説します。ぜひチェックしてみてください。

◎短くポイントをまとめると
ストレス性胃炎で考えられるのは機能性ディスペプシアと消化性潰瘍。ただし決め付けはNG
機能性ディスペプシアは、胃に異常がないのに、慢性的に胃痛や胃もたれなどが起こる病気
・消化性潰瘍は心理的ストレスによって胃の壁が胃酸で溶かされてしまう病気

ストレス性胃炎のイメージ写真画像

2016年に実施された国の調査によると、仕事で強いストレスを感じている労働者の割合は59.5%にのぼるそうです[1]。こんな労働環境にいて胃が痛くなると「ストレスのせいだろう」と思ってしまいますよね。ここでは、ストレス性胃炎(神経性胃炎)の症状、診断、薬などでの治し方について解説します。

ストレス性胃炎(神経性胃炎)の正体は?

実は、医学的には「ストレス性胃炎」(神経性胃炎)という用語は正式にはありません。一般的に、ストレスが原因となって胃に異常(炎症や潰瘍)が起きた場合に、ストレス性胃炎と表現することがあります。ストレスによって胃に異常が起こる病気の代表的なものは2つあります。

また、ストレスとは直接関係ありませんが、胃炎を起こす原因として多いものは下記です。

特に、冬にはノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎、夏にはサルモネラなどの細菌性胃腸炎が多く、吐き気や嘔吐、下痢、発熱を伴うことがあります。また、NSAIDs服用者では消化管出血が起こりやすく、吐血や貧血などが起こる人もいます。

このように、胃痛といってもすぐにストレスが原因と決め付けることはできません。市販薬でしばらく様子を見る人もいるでしょうが、一番よいのは消化器科や内科を受診し、何が原因で胃の痛みや不快感が起こっているのかを診断してもらうことです。

ここからは、ストレスに関係する機能性ディスペプシアと消化性の胃潰瘍について詳しく解説します。

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)は、胃カメラで検査をしても胃に異常が見つからず、胃の症状を引き起こすような他の病気もないのに、慢性的に胃痛や胃もたれなどがある状態を指す病名です。

あまり聞き慣れない用語ですが、「ディスペプシア」とはギリシャ語で「悪い(bad)消化(digestion)」という意味の言葉です。これだけ見ると、機能性ディスペプシアは消化不良の病気かと思ってしまうかもしれませんが、そうではありません。下記のようなさまざまな原因が絡み合って起こっていると考えられています[2]。

  • ストレス
  • 胃の内容物の排出障害
  • 胃の知覚過敏
  • 胃酸過多
  • ピロリ菌感染
  • 感染性胃腸炎の罹患歴
  • 喫煙
  • 睡眠障害
  • 高脂肪食の摂取 など

なお、似たような胃周辺の症状には、胸焼けや呑酸(すっぱいものがのど元まで上がってくる)がありますが、この場合は「逆流性食道炎」という別の病気として扱われます。詳しくは『家庭の医学 逆流性食道炎』にリストアップされている記事をご覧ください。

機能性ディスペプシアの治療(1)食事・生活指導

機能性ディスペプシアはさまざまな原因が複雑に絡んで起こる病気ですから、この薬を飲めばすぐ解決というようにはいきません。医師と一緒に原因を探り、より良い治療を見つけていくことが大事ですし、そのような病気への向き合い方が治療効果を高めるとされています[2]。

食事や生活の改善は、機能性ディスペプシアの誰もがまず指導されることです。睡眠不足の解消、不規則的な食事時間や偏った栄養の改善、野菜の摂取、高カロリーの脂肪食を避けることなどがあげられます。

さらに、ストレスが大きな原因になっているようであれば、やはり軽減させることが大事です。日々の生活でストレスを和らげる、溜めないことを心がけ、適度な運動をしたり、しっかりと休息を取ったりしてリフレッシュしましょう。休みの日にカラオケで発散したり、思い切って連休を取って旅行に出かけたりするのもよい気分転換になります。

機能性ディスペプシアの治療(2)薬物療法

食事や生活の改善をしたうえで、薬物療法も行われます。機能性ディスペプシアでは、主に胃酸の分泌を抑える薬(胃酸分泌抑制薬;ファモチジン、ランソプラゾールなど)と、胃の運動を改善する薬(運動機能改善薬;モサプリド、アコチアミドなど)が主に処方されます。これに加え、抗不安薬、抗うつ薬、漢方薬などを使用することもあります。これも医師と相談しながら、自分に合った薬を見つけていきましょう。

機能性ディスペプシアの治療(3)ピロリ菌の除菌

機能性ディスペプシアの一部の患者では、ピロリ菌が原因になっており、これを除菌することで症状の改善が認められることがあります。ピロリ菌が悪さをしていないかどうか、胃カメラや各種検査で調べてもらいましょう。多くの場合、除菌は1週間の内服薬で行うことができます。

消化性潰瘍

ここまで、胃に何の異常もない機能性ディスペプシアについて解説しましたが、消化性潰瘍では胃カメラで調べると胃が荒れていて、潰瘍ができていることが分かります。出血をともなうこともあり、強い胃の痛みが出ます。潰瘍ができる理由は、何らかの原因によって胃酸と胃を守っている粘膜とのバランスが崩れてしまい、胃の壁が胃酸で溶かされてしまうからです。

この「何らかの原因」のうちの2大原因は、ピロリ菌の感染鎮痛薬のNSAIDs(アスピリン)です。また、数は少ないですが、クローン病などの腸の炎症性疾患や感染症などでも潰瘍ができます。これ以外の原因で起こる潰瘍を「特発性潰瘍」と呼ばれています[3]。

消化性潰瘍の治療法(1)薬物療法

消化性潰瘍では胃酸の分泌が増えていると考えられるため、治療では胃酸分泌抑制薬のなかでも効果が強いプロトンポンプ阻害薬(ランソプラゾール、ラベプラゾールなど)が主に使われます。これで胃の壁を攻撃する胃酸を減らします。また、場合によっては、胃の粘膜を保護する胃粘膜保護薬(レバミピドなど)を使い、胃酸からの防御力を高める治療も行います。

消化性潰瘍の治療法(2)内視鏡的治療

潰瘍から出血していて、吐血や貧血が起こっているような場合には、胃カメラ(内視鏡)を用いた治療を行います。胃カメラの先端にはカメラだけではなく、出血を止めるための器具を挿入して、そのまま止血治療をすることもできます。

まとめ

ストレスで胃が痛くなることは、現代の社会人にとってかなり身近な症状かもしれません。しかし、胃痛を起こす病気にはいくつかの種類があり、市販薬でつらい症状を何とかしのぐことを続けるのはあまり好ましくありません。消化器科や内科で原因を見つけ、それに応じた治療をしていくとともに、生活や環境の改善や、ストレスを解消する方法を見つけていきましょう。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. 平成28年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況
  2. http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h28-46-50_kekka-gaiyo02.pdf(参照2018-02-19)
  3. [2]日本消化器学会編. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2014-機能性ディスペプシア(FD) 第1版. 南江堂 2014; 2-97
  4. [3]日本消化器学会. 消化性潰瘍診療ガイドライン2015 第2版. 南江堂 2015; 160

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