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膀胱炎

クランベリーで膀胱炎が治るって本当?

更新日:2018/02/22 公開日:2016/04/24

膀胱炎は多くの女性にとって悩みのタネです。膀胱炎による頻尿や排尿時痛などの不快な症状には「クランベリー」がよいといわれていますが、これは本当でしょうか? 膀胱炎に対するクランベリーのはたらきについて詳しく解説します。

◎短くポイントをまとめると
クランベリーは膀胱炎の予防には効果があるが、治療には使えない
膀胱炎の症状が出てからクランベリーを摂っても効果はない。早めに病院受診を

クランベリーの写真

膀胱炎は多くの女性にとって悩みのタネです。実際に、女性は一生に2回以上は膀胱炎をはじめとした尿路感染症を経験し、それは性的活動期(性行為をする期間)と閉経後に多いとされています[1]。膀胱炎による頻尿や排尿時痛などの不快な症状には「クランベリー」がよいといわれていますが、これは本当でしょうか?

クランベリーで膀胱炎は治る?

クランベリーは北米で採れるメジャーな果物で、その効能はアメリカの先住民に古くから知られており、ジュースや抽出液が薬として使用されてきました[2]。また、日本の膀胱炎の治療ガイドラインでは「再発予防として、50歳以上の女性においてクランベリージュースの有効性が報告されており、65%飲料を1日1回飲用することによりプラセボと比較して有意に再発を抑制する」と記載されています[3]。

このように、膀胱炎に対するクランベリーの効果は認められているようですが、注目すべきは「再発予防」と書かれていることです。これは、膀胱炎を発症してしまってからでは遅く、あくまで膀胱炎にならないように予防対策として普段から飲む必要があるということを示しています。その理由を以下で説明していきます。

クランベリーで膀胱炎を治せない理由

クランベリーは膀胱炎の予防には効果があっても、治療には効果がありません。その理由は、クランベリーの働きは「膀胱の粘膜に細菌がくっつくのを防ぐ」というものだからです。どういうことか見ていきましょう。

膀胱炎は細菌の感染で起こる

基本的に膀胱や尿は無菌状態です。ところが、おしっこを出す尿道口に大腸菌などの細菌がくっつく(接着する)と、尿道を逆行して身体の中に移動してきて、ついに膀胱まで到達します。そうすると膀胱の粘膜にくっついて増殖をし始めます(これを「感染」といいます)。

本来はいないはずの菌が膀胱内で増えてしまいますので、身体は免疫反応を起こして撃退しようとします。この攻防により「炎症」という状態になります。粘膜が赤くなり、痛みや腫れを引き起こします。これが膀胱炎という病気のメカニズムです。

膀胱炎におけるクランベリーのはたらき

かつて、クランベリージュースを飲むと、尿が酸性になるために、膀胱内での細菌の増殖を防ぐと考えられていました。しかし、現在ではクランベリーに含まれる物質によって、細菌が膀胱の粘膜にくっつきにくくなると考えられています。一度くっついてしまった細菌をはがすことはできません。

このように、細菌が膀胱に感染し、炎症が起きてしまってからクランベリーを摂ってもあまり効果はないと考えられます。炎症が起きて膀胱炎になってしまったら、増えてしまった細菌を殺すための抗生物質(抗菌薬)をきちんと服用しなければなりません。クランベリーで治そうとせず、早めに泌尿器科や内科を受診しましょう。

膀胱炎を予防するクランベリー

クランベリーは治療には使えませんが、予防法としては有望です。クランベリーは日本では手に入りにくい果物ですが、ジュースやサプリメントの形で購入することができます。

閉経後の女性に

閉経後の女性は慢性膀胱炎になりやすく、身体の抵抗力が下がったときに膀胱炎の症状が出やすくなっています。こういう方は、普段から生活習慣の注意点を守りつつ、クランベリーを摂る習慣を付けておくと、膀胱炎の再発を防ぐことができます。慢性膀胱炎や生活上の注意点については、『なかなか治らない慢性膀胱炎の症状と治し方』をご覧ください。

妊娠している女性に

妊婦も膀胱炎になりやすいことがよく知られています(『妊婦の膀胱炎の治し方は?薬は使ってもいいの?』を参照)。妊娠中は薬が使いにくくなるので、膀胱炎にならないことが一番です。膀胱炎の予防としてクランベリーを摂るようにするのは一つのよい方法です。妊娠中や授乳中にクランベリーを食品の形で食べたり、そのジュースを飲んだりすることは安全です[2]。しかし、錠剤やサプリメントの形で摂取した場合の安全性は確立していないので、避けた方が無難です。

クランベリーの安全性

膀胱炎予防としてクランベリージュースを飲む場合は、1日300mL程度までを目安としておきましょう。長期にわたって1日1000mL以上飲みつづけると、腎結石ができるリスクが高まります。また、軽度の胃の不調や下痢を起こす可能性もあります[2]。

クランベリーはすっぱい果物なので、飲みやすくするために糖分が多く含まれている場合があります。糖尿病や肥満の方はカロリーオーバーに注意してください。

まとめ

クランベリーは膀胱炎の予防対策として一定の評価を得ている食品です。しかし、有効性を示す研究の質はあまり高くなく、誰でもクランベリーを摂れば絶対に膀胱炎を予防できると考えるのは正しくありません。膀胱炎は尿道口に細菌がくっつくことから始まりますから、そうならないように生活上の注意を行った上で、クランベリーを補助的に使いましょう。膀胱炎の症状が出てからではクランベリーは効きません。早めに病院に行きましょう。

参考文献

  1. [1]高橋聡. “膀胱炎” ガイドライン外来診療2017. 日経メディカル開発, 2017; 323-327
  2. [2]日本医師会など総監修, 健康食品・サプリメント[成分]のすべて2017 ナチュラルメディシン・データベース 第5版. 同文書院 2017; 327-329
  3. [3]山本新吾ほか. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015―尿路感染症・男性性器感染症―, 日化療会誌 2016; 64(1): 1-30

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