ADHD

ADHDの原因

更新日:2016/12/09 公開日:2016/05/20

ヘルスケア大学参画ドクター

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ADHDは、授業中に動き回る(多動性)、集中力がない(不注意)、考えずに行動し周囲と衝突する(衝動性)などの症状が現れます。親のしつけが悪いと思われがちですが、しつけが原因ではありません。ADHDの原因について、ドクター監修の記事にて紹介します。

ADHDは、不注意(集中力がない)、多動性(落ち着きがない)、衝動性(考えずに行動する)の3症状を主とする発達障害のひとつ。その原因について、以下で解説します。

ADHDの詳しい原因は解明されていない

ADHDが発症するメカニズムは、詳細なことはわかっていないのが現状です。しかし、

近年の研究によって、ADHDは脳の機能障害が原因で起こる発達障害の一種であることが解明されつつあります。決して、親のしつけが原因で発症する訳ではありません。

ADHDの原因は脳の機能障害?

以下のように、ADHDの原因は脳の働きにあることがわかってきています。

尾状核が10%以上小さい

MRI(※1)など脳の画像診断の結果、ADHDの子供の脳は、前頭葉や大脳基底核の一部である尾状核(びじょうかく)が、通常に比べて10%以上も小さいという報告があります。尾状核は注意力と行動調整に関わり、前頭葉は認知力・思考力・注意力・集中力などに関わります。

また、状況を把握(認知)し、順序立てて考え、過去の記憶などと照らし合わせて適切な判断をする脳の働きを「実行機能」と言います。実行機能は、前頭前野で調整されている機能です。ADHDでは、この実行機能に偏りが見られるといいます。

さらに、前頭葉には、作業記憶領域(ワーキングメモリー)が存在します。実行機能のひとつであるワーキングメモリーとは、現在の数分間の記憶を保持する働きのこと。ADHDでは、このワーキングメモリーの働きが悪いために、客観的な状況判断ができず、その場に適した行動ができないことがあるのです。

※1)MRI(エムアールアイ)…磁気共鳴画像法のことで、強い磁石と電波で体の中を断面像として写しだします。X線を使うCTは横断面の画像なのに対し、MRIはあらゆる角度から断面画像が得られます。

脳の血流量が少ない

SPECT(※2)などの検査結果によって、ADHDの子供は、通常よりも脳の血流量が少ないことがわかっています。これは、脳の一部で活動が低下していることが考えられます。

※2)SPECT (スペクト)…単光子放射線コンピュータ断層撮影のことで、放射性同位元素を注入し、その分布状況を断層画面化。血流量や代謝機能の状態を得ることができます。

脳波が実年齢より幼い傾向がある

ADHDの子供の場合、脳波検査では実年齢よりも幼い波形が現れるケースが多く見られます。脳の未成熟さを示していると考えられます。

出産・妊娠時のトラブルが影響している可能性がある

胎児期の障害や出産時の頭部外傷などがあった場合、通常に比べて子供のADHDの発症が2倍以上という報告があります。ただし、はっきりとした因果関係はわかっていません。

ドパミン・ノルアドレナリンの不足

ADHDの場合、脳内のドパミンやノルアドレナリンの働きが不足気味であることがわかっています。ドパミンやノルアドレナリンは神経伝達物質で、脳の神経細胞に情報を伝える役割があり、これらの物質が不足することで不注意や多動性が起こると考えられています。

ADHDは遺伝も関係する?

ADHDと診断された子供は、家族や血縁者にADHDの人がいる割合が高いことから、遺伝的な要素も発症に関係していると考えられています。

詳しくは、『ADHDと遺伝の関係 』をご覧ください。

このように、ADHDは、本人の性格や親のしつけ、育った環境によって発症するものではありません。脳の機能障害であることを正しく理解することが大切です。

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