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ADHDとアスペルガー症候群の違い

更新日:2017/03/29 公開日:2016/05/20

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ADHD(注意欠如・多動症)」と間違えられやすい診断に、「アスペルガー症候群」があります。どちらも子供の発達障害の一種ですが、二つ症状の違いや合併する可能性について、ドクター監修の記事にて詳しくお伝えします。

「ADHD」と「アスペルガー症候群」。それぞれの特徴と、どのような違いがあるのかについて、以下で詳しく解説します。なお、最近では「アスペルガー症候群」は「自閉スペクトラム症」に包括する(自閉症の一部として捉える)という方針になっていますが、ここでは従来の「アスペルガー症候群」という表記を使用します。

発達障害であるADHD とアスペルガー症候群

発達障害は、生まれつき脳の機能の一部に問題が起こり、さまざまな困難が生じるもので、自閉スペクトラム症(従来の自閉症やアスペルガー症候群など)、ADHD(注意欠如・多動症)、学習障害(限局性学習症)などが含まれます。

このうち、ADHDとアスペルガー症候群は、それぞれの特徴を混同されてしまうことがしばしばあります。

アスペルガー症候群とは

「アスペルガー症候群」には、知能の遅れや言語発達の遅れ(二語文が3歳までに出ない)はありません。中には特定の分野で際立った才能を発揮する人もいます。

しかし、以下のような3つの特性が認められるため、集団生活にうまくなじめず、困難を感じることもあります。

社会性の特性

周囲のことに目が向かず、ほかの人にあわせようとしない、共感しない。周囲の子の感情に影響を受けず、独自の感情表現をする。場の雰囲気を感じとれず、そぐわない言動をとるなどが認められます。

コミュニケーションの特性

ことばは理解するが会話で相手の意図が読めない、相手の表情が読めずに身振り・手振りがわからない、ことばを字義通りに理解し、皮肉や慣用句がわからない、また、独特の言い回しや自作のことばを使うこともあります。

想像性の特性

見通しを立てられない、新しいことが苦手で同じパターンで行動したがる、興味・関心の偏りが大きい、自分以外の人の気持ちを想像できず、相手の立場で考えられない。〇〇になったつもりで遊ぶ「ごっこ遊び」なども苦手です。

アスペルガー症候群の特徴

3つの特性があることから、日常生活や社会生活上で、以下のような特徴がみられことがあります。

  • 他人にどう思われるかを気にする意識が低く、自分の思い通りに事を進めようとすることがある
  • あいまいな表現が理解できないため、極端に細かくて回りくどい話し方になることがある。
  • 家族や同級生に丁寧語を使うなど、相手や場にあった表現が選べない。
  • 好きなものを大量にコレクションしたり、膨大な情報量を記憶できたり、周囲を驚かせることも多い。
  • 反復練習による機械的記憶力に優れ、学習に興味を持てば天才的な成績を残すことがある。
  • 運動神経が悪く、不器用な傾向がある。
  • 五感が極端に敏感か鈍感なことがある。たとえば、微妙な味の違いに気付き、偏食がひどい、服の肌触りが気になって、決まった服しか着ないなど。
  • いつものパターンから外れること、急な予定変更などでパニックになる。

ADHDの主症状とは

ADHAでは、以下の3つの症状が特徴的です。

不注意

集中力がない、細部まで注意を払うことができないため、単純ミスが多い、忘れ物が多い、約束を守れないなどがある。一方で興味あることには過集中(集中しすぎ)も認める。

多動性

身体が常に動き、じっとしていらず、落ち着きがない。しゃべりだしたら止まらないなど。

衝動性

考える前に衝動的に行動する。待てずに列に割り込んだり、自分の欲求を抑えられずに横取りしたりする。自分の発言すべき場面でなくても勝手に話し出すなど。

ADHDとアスペルガー症候群は具体的にどう違う?

対人関係

ADHDでは、衝動性のために人と衝突することも多いですが、人の気持ちを理解することができます。一方、アスペルガー症候群では、相手の立場で考えることが苦手。相手を傷つける言葉を思ったまま口にしてしまい、トラブルに発展することがあります。

集中力

どちらも、自分の興味があることに対しては、驚くほどの集中力を見せることがあります。ただし、ADHDで不注意の症状が顕著な子供は、興味のあることでも集中力が長続きしない場合もあります。また、細部まで注意が行き届かず、ケアレスミスが多くなりがちです。

アスペルガー症候群では、一部の細かな部分に熱中しすぎて、ほかのことに気が回らなくなる、といった違いがあります。

また、ADHDの子供は、漢字などを反復練習でコツコツ覚えることが苦手ですが、アスペルガー症候群では得意な子が多いのも特徴です。

計画を立てて物事を行う

ADHDでは、計画を立て、段取りよく進めることが苦手な子が目立ちます。パターン化するのが好きなアスペルガー症候群の子は、計画にそって行動することは得意ですが、計画通りにいかない時に臨機応変に対応するのが苦手です。

整理整頓

ADHDでは、忘れ物やなくし物が多く、片付けも苦手ですが、アスペルガー症候群では、物に強いこだわりをもちます。物を捨てられないことが多く、部屋が散らかって見えることがありますが、実は自分なりの規則性を持って配置していることも多いのです。

約束や時間を守る

ADHDでは、約束の時間を守れないことが多く、アスペルガー症候群では、決められた時間はきっちり守る傾向があります。少しでも予定の時間がずれると不機嫌になったり、パニックになったりする場合もあります。

ADHDとアスペルガー症候群が同時に起こることはある?

上記で見てきたとおり、ADHDとアスペルガー症候群では症状が異なり、両者は別ものと考えるかもしれません。しかし、現在精神障害の診断基準としてよく用いられているDSM-5(米国精神医学界編集『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版)においては、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害:ASD)とADHDの症状の両方に該当する人もおり、発達障害を長期にわたり追跡した調査からも、児童期および成人期において合併が見られると報告されています。

区別が難しいのも事実

ADHDとアスペルガー症候群は、どちらも発達障害です。言語発達や知的な遅れがないために、2つを見分けることが難しいのも事実。臨床上では、ADHDとアスペルガー症候群を併発している方も珍しくありません。

ADHDとアスペルガー症候群は、専門家であっても、慎重に区別し、診断する必要があります。勝手な思いこみで自己診断するのは控えましょう。

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