ADHD

ADHDと合併しやすい障害

更新日:2017/03/29 公開日:2016/05/20

ヘルスケア大学参画ドクター

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ADHD」は、注意欠如・多動症の略語で発達障害のひとつ。学習障害や反抗挑戦性障害、行為障害など、ほかの障害をあわせ持つことも多いと言います。ADHDと合併しやすい障害について、ドクター監修の記事にて詳しくお伝えします。

ADHDとはどのような障害なのでしょうか。またどういった症状があり、合併しやすい障害にはどのようなものがあるのでしょうか。ここではADHDと合併しやすい障害を中心に解説します。

ADHDとはどんな障害?

ADHDはAttention Deficit Hyperactivity Disorderの頭文字をとった発達障害の1種です。Attention Deficitは「注意欠陥」を意味し、Hyperactivity Disorderは「多動性障害」を意味しています。日本語で表すと「注意欠如多動症」です。

男の子に多い発達障害

ADHDは男の子に多く見られる発達障害です。実際、女子よりも男子の方が3~5倍多いとされています。また、診断時期も女子が12歳頃なのに対し、男子は8歳以前と早い傾向があります。

大人になっても改善しないことがある

子供のうちにADHDと診断された場合、70~80%は、大人になってもなんらかの症状が残っているといわれます。社会人になってから片づけができなかったり、遅刻が多いなどの特徴があります。

ADHDにはどんな症状があるのか?

ADHDの症状の特徴としては、代表的に下記の3つがあります。

不注意

ひとつのことに集中することができず、また、細かな部分に注意を払うことができないため、単純なミスが多くなります。持ち物や約束の時間を忘れがちといった特徴もあります。

多動性

じっと席に座っていられず歩き回ったり、座っていても絶えず体をくねらせたりと、体の動きをコントロールできず落ち着きません。過度にしゃべるのも特徴で、話しだしたら止まらないといった特徴もあります。

衝動性

やりたいと思ったらその気持ちを抑えることができず、ルールや周囲の反応を無視して行動に移してしまいます。具体的には、順番を待てない、人の会話やゲームに割り込む、質問を最後まで聞かずに答えてしまうなどです。

ADHDはほかの障害を合併することも多い

ADHDは、不注意(集中力がない)、多動性(落ち着きがない)、衝動性(考える前に衝動的に行動する)の3症状を主とする発達障害の一種ですが、そのほかの障害を合併しているケースも多く見られます。ある研究では、ADHDの子供のおよそ80%がなんらかの障害を合併していたと報告されています。

ADHDと合併しやすい障害

ADHDと同時に発生する合併障害(または併存障害)の主なものを、以下で紹介します。なお、ADHDの症状がきっかけで起こる二次的な障害も含まれます。

反抗挑戦性障害

周囲に対して、挑発的・反抗的・否定的・不服従な態度や行動をするのが特徴です。頑固で気難しく、言うことを聞かずに大人と口論したり、ルールや指示にわざと逆らったりします。

イライラしやすく、すぐカッとなって怒る、自分のミスを人のせいにするといった側面もあります。ただし、行為障害のように法律に触れる行動や、他人の権利を侵害するようなことはありません。

行為障害

自己中心的になり、人を思いやることができず、罪悪感が欠落しています。そのため、人や動物をいじめたり、邪魔をしたり、人の持ち物を壊したり、盗んだりといったことを平気で行います。規則やルールを守らず、ときに法律に触れる行為を行うこともあります。

なお、反抗挑戦性障害は10歳までには現れ、年齢が上がるにつれて問題行動が徐々にエスカレートし、行為障害へと移行するケースが見られます。さらに、行為障害が青年期以降に反社会性パーソナリティ障害へと発展することもあります。

早い段階でADHDを発見し、適切な対処を行わないと反抗挑戦性障害や行為障害に発展してしまう可能性があります。これらの二次障害がおこると治療も難しくなるため、早い段階で専門家などに受診や相談をすることをおすすめします。

学習障害(限局性学習症)

文部科学省の定義では、文章を読むことが困難な「読字障害」、文字を書くことが困難な「書字障害」、算数が苦手な「算数障害」に加え、「推論」「聞く」「話す」に困難が生じることを「学習障害」としています。ADHDの子供の3分の1ほどが、学習障害をともなうといわれています。

運動能力障害

運動能力障害の場合、協調運動が必要な動作や、全身運動、手先の運動が、同じ年代の子供に比べて極端に劣ります。協調運動とは、別々の動作をひとつにまとめる運動のことで、たとえば手足を別々に動かす縄跳びやラジオ体操などがあげられます。

また、手先が不器用なことも多いため、音楽(楽器演奏)、図工なども苦手です。幼児期に、運動発達の指標となる、座る、這う、歩くなどの遅れによって見つかることもあります。

チック症、トゥレット症候群

チック症は、「アッ」「ウッ」などの発音、鼻を鳴らす、咳払い、奇声や汚い言葉を発するなどの「音声チック」と、まばたき、首振り、口の周りをなめる、顔をしかめるといった「運動性チック」の症状があります。トゥレット症候群は、音声チックと運動性チックの両者の症状が1年以上続く状態を指します。これらはADHDに合併することが多い障害のひとつです。

不安障害

非常に強い不安感から、不登校など日常生活や社会生活に支障をきたし、本人も苦しい思いをします。

代表的にはあらゆる活動や出来事に過剰に不安を抱く全般性不安障害があります。また、パニック発作をくりかえすパニック障害や母親などから離れることに強い不安を感じる分離不安障害もみられます。そのほか、人前であがって赤面したり、緊張が強く学校など社会的な場が苦手であったりする社交不安障害などを認めることもあります。

強迫性障害

自分でもつまらない考えだとわかっていても、頭から振り払うことができず、同じことを考えてしまう「強迫観念」と、不安を打ち消すために何度も同じ行為をくりかえす「強迫行為」を認め、日常生活にも影響がおよびます。「強迫行為」では戸締りやガス栓を過剰に確認する、汚れへの恐怖から過剰に手洗いするなどの行動が見られます。

気分障害

気分が異常に高揚したり、極端に落ち込んだり、意欲や行動などにも変化が現れることが一定期間継続します。気分障害の中には、うつ病や躁うつ病が含まれます。

ADHDの合併症については専門医に相談しましょう

ADHD特有の症状に、以上のような症状が加わると、とても複雑な状態を見せることがあります。正しく対処するためには、まず専門医の元で合併障害についてきちんと診てもらうことが大切です。

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