ADHD

ADHDの心理・社会的治療ソーシャルスキル・トレーニングとは

更新日:2016/12/09 公開日:2016/05/20

西條朋行先生

この記事の監修ドクター

西條クリニック 院長

西條朋行先生

ADHDの基本となる治療法の心理・社会的治療には、さまざまな方法があります。そのひとつであるソーシャルスキル・トレーニングとは、どのような治療法なのでしょうか。ドクター監修の記事にて詳しくお伝えします。

ADHDでは、まずは薬を使わない心理・社会的治療を行い、状況によって薬物治療を併用するのが一般的です。心理・社会的治療にはいろいろな方法がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。

ソーシャルスキル・トレーニングの目的と内容

ソーシャルスキルとは、周囲の人々と上手にコミュニケーションをとるための社会的な技能のことです。通常は、成長とともに自然と身につくものですが、ADHDの子供はもともと対人関係や集団行動が上手くいかないため、友達ができにくく、孤立しやすいといった傾向に。そうすると、ますますスキルを習得する機会が少なくなってしまうという悪循環に陥ります。

そこで、認知行動療法を取り入れた集団療法を通してソーシャルスキルを学び、日常生活の中でも上手く使えるようになることを目的に訓練していくのがソーシャルスキル・トレーニングです。その内容の一例を以下で紹介します。

  • スキルの必要性について、絵カードなどを用いて説明する
  • 他者による手本のスキルや間違った振る舞いを見せて学ばせる
  • 集団での遊びやゲーム(ロールプレイング)を通し、学んだスキルを実践してみる
  • 実践を振り返り、適切であれば褒め、不適切であれば修正し、これを何度もくりかえす
  • 学んだスキルを家庭や学校でも上手に使えるよう指導していく

ソーシャルスキル・トレーニングを受けられる場は、医療機関や教育機関のほか、家族会・NPO・発達障害者支援センター主催のものなどがあります。

そのほかに行われる心理・社会的治療「トークンエコノミー」

本人の意に反して衝動的に行動してしまうADHDの子供に対し、ご褒美や罰を与えることで条件反射的に正しい行動を身につけていく「行動療法」のひとつが、トークンエコノミーです。

ポイントを与え、得たポイントに応じてご褒美を設定

トークンエコノミーでは、上手くできたときにはポイントを与え、一定数たまったら好きなものを買える、遊びに連れて行ってもらえるなどのご褒美を設定します。また、事前に決めた「やってはいけないこと」をしてしまったらポイントが減点され、テレビ禁止などの罰を与えます。

達成しやすい目標設定から徐々に難しくする

トークンエコノミーを取り入れるときは、最初は子供が達成しやすい低めの目標を設定しましょう。そして、徐々にレベルアップしていくことで子供の意欲を高め、達成感や自信につなげるようにしていくと行動の改善が期待できます。トークンエコノミーは家庭や学校で簡単に行うことができますが、医師と計画を立てて適切な方法で実践することが大切です。

心理・社会的治療の重要性

ADHDは症状のために社会性の発達が遅れ気味になり、家庭や学校においてたびたび困難な状況に陥り、悪循環になりがちです。この悪循環を断ち切り、本人のつらさや家族の心配を少しでも取り除くためにも、心理・社会的治療は重要な役割を持ちます。

心理・社会的治療の効果をより高めるには、保護者や学校の教師など周囲の人々の理解と協力が不可欠なので、医師の指導の元、しっかりと連携を取りながら進めていくことが大切です。

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