耳痛

早期対応が大切!耳の下が痛い・腫れる原因になる7つの疾患

更新日:2016/12/09 公開日:2016/11/18

森本雅太先生

この記事の監修ドクター

森本耳鼻咽喉科 院長

森本雅太先生

耳の下が痛い、耳の下から首にかけて腫れができた場合に想定できる原因や病気にはさまざまなものがあります。その中から代表的な7つの病気について、その発生原因や症状などを中心にドクター監修の記事で解説します。

耳の下の痛みは、耳そのものに原因があって起こる場合だけでなく、耳以外の身体の部分の病気が原因となって起こることもあります。その際に、痛みの原因となっている病気の判断には、痛みだけでなく、耳の下から首にかけて腫れができていないか、その他の全身症状が出ていないかをチェックすることも重要です。ここでは、耳の下に痛みを引き起こす原因や病気について解説します。

耳の下にあるリンパ節と耳下腺の役割

耳の後ろに痛みを感じたら、腫れやしこりができていないかを手で触れてみたり、家族や知人に見てもらうことで確認してみましょう。耳の後ろに痛みがあって腫れている場合に想定される病気について、原因や症状を見ていきます。

リンパ節

耳の周辺には、耳下腺リンパ節、耳後部リンパ節、上頸部リンパ節が存在しています。一般的にリンパ腺と呼ばれるリンパ節は、リンパ液中の異物に対する免疫反応を担っています。つまり、リンパ液から細菌などをろ過、貧食・除去して、リンパ液をきれいに浄化する働きをしています。また、免疫に関与するγ-グロブリンを作り全身に送る役目も果たしています。

耳下腺(じかせん)

耳下腺は両側の耳の下部にある組織で、大唾液腺の一種です。唾液をつくる組織の1つで、重要な役割を担っています。唾液腺は腺の大小や存在する位置によって、小唾液腺(口唇腺:こうがいせん、舌腺:ぜっせん、頬腺:きょうせん、口蓋腺:こうしんせん)と、大唾液腺(耳下腺、顎下腺:がくかせん、舌下腺:ぜっかせん)に分けられます。口腔外にある大唾液腺は、唾液を口腔に排出する導管をもっています。唾液には、口腔内や歯の浄化・殺菌、食塊形成、口腔内の潤滑などの役割があります。

耳の下が痛む時に考えられる4つの主な病気

耳の下が痛むときは、中耳炎、内耳炎、顎関節症、シェーグレン症候群の4つの病気が考えられます。それぞれの特徴や症状について見ていきましょう。

中耳炎

中耳炎は、鼓膜の内側にある中耳に、細菌やウイルスが原因の炎症が起こる病気です。両側同時に鼻をかむ、鼓室に水が浸入するなどが原因で起こります。急性中耳炎の場合は、38℃前後の発熱や耳の痛みといった症状が出ます。主な原因は風邪や感染症で、短期間で治ることも多いです。滲出(しんしゅつ)性中耳炎の場合は、耳垂れや発熱などの症状が現れないため、気づきにくく治りにくいといわれています。

内耳炎

内耳炎は内耳に起こる炎症で、主に慢性中耳炎の炎症が内耳に波及して起こります。内耳炎にはいくつかの種類があり、感染経路によって中耳炎性内耳炎、髄膜炎性内耳炎、血行性内耳炎に分類されます。また、病原によって細菌性内耳炎とウイルス性内耳炎に分類されます。内耳炎を発症すると、耳の周囲に痛みを感じることがあるだけでなく、内耳にある蝸牛(かぎゅう)に障害が生じるため、耳が聞こえにくくなる難聴や耳鳴りなどの症状が現れます。また、同じく内耳にある前庭(ぜんてい)に障害を生じることによって、吐き気や嘔吐、めまいなどの症状が起こります。

顎関節症(がくかんせつしょう)

顎関節症は、上下の歯の噛み合わせが悪い、歯ぎしりや歯を強く噛みしめるくせがある、ストレスを抱えているなどの要因から、あごの関節に強い力がかかって起こります。口を大きく開けられない、あごがカクカクと音がして痛い、ものが噛みにくいといった症状が現れます。症状が進行すると、口を開けようとしたときなどに痛みが耳まで伝わるようになります。日中に気がつくと歯をくいしばってしまったり、食事のときに左右どちらか決まった方だけで噛んでしまう偏咀嚼(へんそしゃく)をしている場合、顎関節症のリスクが高まります。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群は、涙を分泌する涙腺と唾液を分泌する唾液腺の機能が低下し、ドライアイやドライマウスの症状を発症する慢性炎症性疾患で、別名、乾燥症候群とも呼ばれています。30歳から50歳代の女性に発症例が多い症状です。シェーグレン症候群を発症すると、角膜が乾燥するため眼に異物感があったり、唾液分泌量が低下することで口内の乾燥などの症状が現れます。この他にも、耳の下にある耳下腺が腫れて、それによる痛みをともなうことがあります。

耳の下のリンパ節が腫れているときに考えられる主な3つの病気

耳の下のリンパ節が腫れる場合は、流行性耳下腺炎、リンパ節炎、風疹(ふうしん)の3つの病気が考えられます。

流行性耳下腺炎(おたふく風邪)

流行性耳下腺炎は、ムンプウイルスの感染によって耳下腺が腫れる病気で、俗におたふく風邪と呼ばれています。潜伏期間は2~3週間であり、症状には耳の痛み、耳下腺や唾液腺の腫脹(しゅちょう)、発熱や食欲不振などがあります。おたふく風邪を発症すると、両側の耳下腺が腫脹するのが主な特徴ですが、片側だけが腫脹する場合もあるので、自身で判断せず、なるべく早く専門医の診察を受けてください。

リンパ節炎

耳の下が痛くなった場合の原因として想定されるリンパ節炎には、耳後部リンパ節炎、耳下腺リンパ節炎、上頸部リンパ節炎の3つがあります。それぞれ原因が異なるため、耳の下が痛いということだけでは判断できません。リンパ節炎と耳下腺炎やおたふく風邪は症状が似ていますが、触診で鑑別ができます。そのため、リンパ節炎の疑いがある場合は専門医の診察を受けましょう。

風疹

風疹は、風疹ウイルスの気道からの感染により発症する急性発熱性発疹性疾患で、三日はしかとも呼ばれています。季節は冬から春にかけて、子供に多く流行します。2~3週間の潜伏期間があり、風疹を発症すると全身に倦怠感、発熱や頭痛などの症状が出る他、鼻水や咳が出てのどが痛くなったり、耳の後ろから下、首にかけてのリンパ節の腫れや痛みを感じることもあります。また、麻疹(ましん)に似た発疹が顔面にでき、その後全身に広がります。感染力が強い病気のため、症状が見られた場合は早めに医療機関で診察を受け、学校への登校や外出を控える、家族との接触を減らすなどの対応が必要です。

耳の下に痛みを感じたときの適切な対処法

耳の下に痛みを感じたときは、それ以外にどのような症状が出ているかによって、最初に受診する診療科を選ぶことができます。耳の下の痛みに発熱をともない、全身の状態も倦怠感があるなどの場合は、内科または耳鼻咽喉科がよいでしょう。また、局所の症状(痛みや赤みの出現や腫れ)のみの場合は、皮膚の病気の可能性があるので、皮膚科医に相談するという選択肢もあります。その他、まれに炎症が波及して頸部が腫れ、気道内腔が狭窄(きょうさく)をともなったり、呼吸困難に発展したりする場合もあります。そのような場合は、早めに病院で診察を受けてください。

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