腹痛

吐き気を伴う腹痛とは

更新日:2017/11/29 公開日:2017/05/01

急にお腹が痛くなって、気持ち悪くて、吐いてしまった。このような症状を引き起こす病気は非常にたくさんあります。原因解明の近道は医師に症状を詳しく伝えることです。受診時のポイントや考えられる病気について、ドクター監修の記事でお届けします。

急にお腹が痛くなって、気持ち悪くなった、吐いてしまった。こんなときは非常につらいですし、もしかすると重い病気かもしれないと不安になることもあるでしょう。このような「吐き気を伴う腹痛」を引き起こす病気は非常にたくさんありますので、症状を詳しく医師に伝えることが原因解明の近道になります。ここでは、吐き気を伴う腹痛の受診時のポイントや、考えられる原因の一部をご紹介します。

こんなときはすぐに病院へ

それまでは元気だったのに、突然激しい腹痛が起こって、それがずっと(数十分~数時間)持続しているようなら、我慢せずにすぐに病院に行ってください。消化管に穴が開いたり、詰まってしまったりするなど、緊急手術を必要とする病気になっている可能性があります[1]。普段からかかっているかかりつけ医がいればそこに、いなければ消化器科や内科を受診しましょう。夜間であれば病院の救急外来が対応します。動けない場合は無理をせず、救急車を呼びましょう。

医師に伝えてほしいこと

腹痛と吐き気・嘔吐、という訴えから考えられる病気はたくさんあります。「お腹が痛い=胃腸などの消化管の病気」とは限らず、心臓、肺、神経、血液など、他の部位の病気から起こる腹痛もあります。また、吐き気・嘔吐を起こす原因も、頭や神経の病気、代謝バランスの異常、中毒などがあり、かならずしも消化管からくるものであるとは限りません。

ですから、医師に「お腹が痛くて気持ち悪い」と言うだけでは診断するための情報が足りません。病気を絞り込んで原因から治すために、下記のような情報があると診断に役立つでしょう。

腹痛の部位
みぞおち、おへその周り、おへその下(下腹部)、右上、左上、右下、左下。お腹全体が痛む、痛みが移動する
腹痛の種類
するどい/突き刺すような痛みか、差し込むようなにぶい痛みか
腹痛の起こり方
突然起こったか、徐々に起こったか。痛みのピークはいつ頃だったか。どうすると痛みが増すか/減るか
腹痛の持続時間
ずっと痛みが続いているか、痛みに波があるか
食事内容
生肉、生魚、生牡蠣などを食べたか。いつも食べているものと違うものはあったか
吐いた物の性状
血が混じっているか、色はどうか(赤、黒、白、黄、茶、緑など)
腹痛や嘔吐以外の症状
発熱、便秘、下痢、頭痛、めまい、呼吸困難、体重減少、不正出血(女性の場合)など
既往歴
これまでに診断された病気はあるか、手術をしたことがあるか
薬歴
いま飲んでいる薬はあるか、漢方、サプリメント、健康食品は飲んでいるか
その他
海外渡航、アルコール、輸血、性行為など、何か思い当たることはあるか

吐き気を伴う腹痛で考えられる病気

吐き気を伴う腹痛を引き起こす病気はたくさんありますので、ここでは急に起こった腹痛のうち頻度の高いものを中心にその一部をご紹介します[2][3]。

みぞおちが痛いとき

みぞおちの部分に、焼け付くようなヒリヒリとした痛みがある場合は「胃潰瘍(いかいよう)」の可能性があります。痛みは徐々に始まり、持続します。ご飯を食べると痛みが悪化しますが、それは胃の壁がただれた状態になっていて、胃酸から胃の壁を守る力が弱まるためです。悪化すると胃に穴が開いてしまい、それが神経を刺激して背中まで痛み出すことがあります。早急に病院を受診する必要があります。

また、みぞおちの痛みが数時間続くと、痛みが軽くなり、また痛くなったときには右上腹部に痛みが移動しているような場合は「急性胆嚢炎(きゅうせいたんのうえん)」かもしれません。右の肋骨の下辺りにゴルフボールのような腫れができるのが特徴です。発熱を伴うときもあります。

右上腹部が痛いとき

「十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)」では、みぞおち~右上腹部がキリキリ、シクシクと痛みます。夜間など胃がからっぽになっている時間帯に痛みが増し、食事をすると腹痛が和らぐのが特徴です。ただし、食後に吐き気・嘔吐が起こることがあります(嘔吐物は茶色い赤黒い場合があります)。潰瘍が進んで穴が開いてしまうと、耐え難い痛みが起こり、早急に病院を受診する必要があります。

脂肪(コレステロール)の多い食事を続けていると、胆嚢内に石(胆石)ができやすくなります。この胆石があると、食後に胆嚢が収縮したときに「胆石発作(たんせきほっさ)」が起こることがあります。脂っこい食事を摂った夜に起こることが多く、突然お腹が張るような痛みが15分~数時間続きます。気持ち悪くなり、食べた物を吐く事もあります。

左上腹部が痛いとき

急激に左上腹部が痛くなり、動けないほどのひどい痛みがずっと変わらず続く場合は「急性膵炎(きゅうせいすいえん)」かもしれません。あまりの痛みに、背中を曲げて横向きに寝てじっとしているケースが多いようです。飲酒、食事で痛みは増し、嘔吐しても痛みがやわらぐことはありません。早く病院で処置を受けましょう。

右下腹部・左下腹部が痛いとき

胃もたれやお腹がグルグル鳴る症状の後に、みぞおち~右下腹部に張るような痛みが起こった場合は「急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)」の可能性があります。昔は「盲腸炎(もうちょうえん)」と呼ばれていました。痛みにともなって吐き気・嘔吐が起こります。放置すると悪化する可能性があるので、病院で診てもらいましょう。

右下腹部もしくは左下腹部が痛む病気としては「尿管結石(にょうかんけっせき)」もあります。腎臓から尿を膀胱に運ぶための管(尿管)に石が詰まることで、脇腹もしくは背中に激痛が起こります。発症時間は夜から明け方が多いようです。

また、「憩室炎(けいしつえん)」も右下腹部もしくは左下腹部が痛む病気です。大腸の壁が伸びて、ポケット状に外に飛び出した部分を憩室と言い、ここが炎症を起こすと、お腹が張るような痛みが徐々に出てきて、吐き気・嘔吐をもよおします。

おへその周りが痛いとき

何らかの原因で小腸が詰まってしまう「小腸閉塞(しょうちょうへいそく)」が起きると、突然、差し込むような激しい痛みが起こります。多くの場合は吐き気・嘔吐もあります。腹痛の場所ははっきりせず、おへその周り、みぞおち、下腹部が痛みます。痛みには波がある場合もありますが、ずっと痛みが続く場合もあります。嘔吐をくりかえすうちに次第に胆汁が混ざって緑色になり、さらに進むと糞便のようなに臭いに変化していきます。すぐに病院に行くべき病気です。

おへその下(下腹部)が痛いとき

女性の場合、下腹部には卵巣や子宮があります。突然、下腹部に激痛が起きて、痛みが続くようなら「卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)」かもしれません。特に以前から卵巣にできものができていることが分かっている場合はこの病気である可能性が高いので、その場合は医師にそのことを伝えてください。

また、妊娠の可能性のある女性では、いきなり下腹部が激しく痛み、性器からの出血があるようなら「子宮外妊娠(しきゅうがいにんしん)」の可能性があります。本来なら子宮内に着床するはずの受精卵が、卵管や卵巣など別の場所にとどまってしまうという病気です。早期発見が重要なので、躊躇せずに病院に行ってください。

お腹全体が痛いとき

胃や腸などの内臓は腹膜(ふくまく)という膜で覆われています。この腹膜に炎症が起こったのが「腹膜炎」です。徐々に痛みが増してきて、嘔吐します。お腹を触ってみると硬く、痛みのためじっとしているのが特徴です。胃や腸に穴が開いたことで、それを覆っている腹膜に消化液などが溜まることで、感染や炎症が起こることがよくある原因です。この場合は一刻も早い病院での処置が必要になります。

ここまで、代表的な吐き気を伴う腹痛を起こす病気の代表的なもの(特に緊急性の高いもの)を部位別に紹介しました。あくまでよくあるパターンの紹介なので、ケースによっては部位や症状が異なる可能性があります。

また、これらは吐き気と腹痛がメインの症状となっている場合に考えられる病気です。吐き気と腹痛に加え、下痢がある場合は、ウイルスや細菌による感染性の胃腸炎が疑われます。このようにケースバイケースなので、くれぐれも自己判断はせず、早めに病院の診察を受けるようにしてください。

参考文献

  1. [1]急性腹症診療ガイドライン出版委員会編.“急性腹症診療ガイドライン 2015” Mindsガイドラインライブラリ. http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/acute-abdomen/acute-abdomen-chapter6.pdf(参照2017-10-13)
  2. [2]鹿野美千子.“腹痛” 臨床検査のガイドライン JSLM2012
  3. http://www.jslm.org/books/guideline/05_06/048.pdf(参照2017-10-13)
  4. [3]塩尻俊明編.内科主訴25の確定診断術.文光堂 2013
  5. http://www.bunkodo.co.jp/pdf/appendix/1018-9.pdf(参照2017-10-13)

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