関根信夫 先生インタビュー

JCHO東京新宿メディカルセンター  関根信夫 院長先生

関根信夫

JCHOのミッションと東京新宿メディカルセンターの役割

昭和27年の開院以来、東京厚生年金病院として医療の様々な分野で貢献してまいりましたが、平成26年4月、社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院の3つのグループが統合され、独立法人 地域医療機能推進機構(Japan Community Health Care Organization/通称、JCHO:ジェイコー)となり、それに伴い、JCHO東京新宿メディカルセンターと名称変更いたしました。

520床を有する当院は、JCHOのミッションである「地域医療」「地域医療連携」「地域包括ケアシステム」の要としての役割を果たせるよう、職員一丸となって日々研鑽を積んでおります。

総合病院として幅広い診療科を有し、病床機能では、急性期(7:1)、地域包括ケア、回復期リハビリテーション、緩和ケアを備えたケアミックス型の医療を展開しています。脳血管障害や整形外科疾患など、急性期からリハビリテーションまでシームレスな医療が提供できること、がん診療でも放射線治療や緩和ケアまで対応できること、また精神疾患も一般病棟で受け入れていることなどが特徴かと思います。

病院の主たる役割としては、地域の基幹病院として、いわゆる5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)、5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療—※小児救急医療を含む)をしっかりやるということが大切と思っています(ただし、やむを得ぬ事情により平成28年末をもって分娩は休止となり、現在周産期医療としての機能は備えておりません)。

がんに関しては、2017年4月から東京都がん診療連携拠点病院の指定を受け、その役割を十分に果たしていかなければなりません。そのひとつとして、「高精度放射線治療センター」を2016年から開設、強度変調放射線治療(IMRT)いわゆる「トモセラピー」を導入し、「よりがんに厳しく、より体に優しい」をモットーに放射線治療を行っています。

加えて、緩和ケア病棟も充実しており、日本緩和医療学会研修施設、日本ホスピス緩和ケア協会の定める「緩和ケア病棟における質向上の取り組みに関する認定制度」に認定されています。

糖尿病に関しては、私も専門とするところですが、全身の様々な合併症を来す疾患ですので、腎臓内科、神経内科、眼科などとも関連が深く、また脳卒中や冠動脈疾患に対しては脳神経外科・循環器内科、壊疽については皮膚科や形成外科などとも連携しつつ診療にあたります。
また、当院では入院された全ての糖尿病患者さんについて、血糖管理や治療法の見直し、合併症の評価など、医師、看護師、栄養士、臨床検査技師からなる専門チームが全病棟を定期的に回診する「糖尿病ラウンド」を行って、病院全体の糖尿病診療・ケアのレベルUPを図っています。この試みは、おそらく当院が全国初で、これまで学会発表や学会専門誌の論文掲載などを通じて、その活動を発信しています。

急性心筋梗塞を中心とする急性心血管疾患に対しては、迅速な救急搬送と専門施設への患者収容を目的に東京都に組織されている東京都CCUネットワークに所属し、精神疾患についてはうつ病などの悪化に対して入院治療を行っています。

脳卒中は、通常脳神経外科が対応しますが、当院では、加えて脳神経血管内治療科を設けており、カテーテル治療やステント留置などを行うことで迅速に治療ができる体制を備えています。今後は神経内科部門も充実させて、急性期からリハビリまで一貫して治療を行う脳卒中センターの開設を目指したいと考えています。

東京のど真ん中にある病院が「へき地医療」?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、当院では、昨年まで新島に医師を派遣し、離島医療に貢献してきました。
また、医療スタッフの少ない地域の病院、具体的には北海道の登別病院や、愛媛の宇和島病院、福井県の若狭高浜病院へも医師を派遣、さらに被災地福島の二本松市や浪江町の医療にも貢献しています。当院は災害拠点病院でもありますので、災害発生後急性期には十分な活動できるよう準備していますし、DMATも備えています。

高齢社会を迎えるにあたって重要な「総合診療医」と「訪問看護」について

JCHOのミッションのひとつに総合診療医の育成がありますが、当院はもともと内科がいわゆる縦割りではなく、総合内科体制をとっていたこともあり、比較的総合診療マインドを持った内科医が多いと思います。そのような環境の中、内科に総合診療チーム(通称‘チームG’)を立ち上げました。いわば総合診療医ドクターGでなく、チームで総合診療にあたろうという発想で、様々な専門医からなる混成チームをつくったわけです。
JCHO全体レベルで行う総合診療育成については、「JCHO版総合医育成プログラム」が2017年からスタートするのですが、その記念すべき第1期生2名を当院で受け入れることとなりました。このプログラムは、基本的に後期専門研修まで終えた医師が、さらに総合診療のスキルを得てキャリアアップを目指すためのものです。規定の2年間のうち、6か月以上は地域病院で研修を行い、終了後のキャリアとしてはホスピタリストや家庭医など、研修医の希望に応じてフレキシブルに構築できるユニークなプログラムと考えています。

ところで、地域医療連携の大切な機能のひとつに「訪問看護」があります。東京都新宿区は、都心ではありますが高齢化はかなり進行しており、独居の高齢者が多いということも特徴的です。こうした地域の特性もあって、在宅医療や訪問看護は、他の地域と比べても充実しているのではないでしょうか。
実は当院も昨年、訪問看護ステーションを開設しました。総合病院である当院が、何故このような地域において訪問看護ステーションを開設したのか?とご質問をいただくこともありますが、「総合病院の特性を活かした訪問看護をやっていただきたい」という声を頂いたこともあり、新たな試みととらえ、今後の方向性を模索しながら徐々に拡充して、地域医療を支えて行きたいと考えています。

特定看護師の養成など、人材育成から展開する新しいチーム医療のカタチ

医師のみが法律で許されている医行為の一部を、特定の研修を受けた看護師が、医師の手順書に基づいて行うようにできる「特定行為に係る看護師の研修制度」がスタートしています。当院は、いちはやくこの制度に取り組み、昨年から研修認定施設として認定され、特定行為研修を開始しました。まだ全国でもごく限られた病院でのみ、研修が行われている状況ですが、平成29年度からはJCHO全体としての研修プログラムがスタートするため、当院もそれに参加するかたちで研修指導を継続していきます。
この研修は、受講する看護師も実施する病院も非常に大変で、例えば共通科目として計315時間に及ぶ講義が規定され、また行為ごとの演習・実習を一定時間行うなど、膨大なカリキュラムをクリアしていかなければなりません。当院のプログラムは、通常の看護業務を行いつつ全てのカリキュラムを行うことができるよう配慮されたものとなっています。
幸い看護部が詳細かつ充実したプログラムを作成してくれましたが、特筆すべきは多くの講義を56名に及ぶ当院医師が担当してくれたことです。この研修を当院で完結させるため、強い目的意識をもって一致団結して成し遂げようとする当院のカルチャーによるものと嬉しく、また誇りに思っています。

前述の「糖尿病ラウンド」や「チームG」なども、新しい視点・発想から生まれた独自のシステムですが、それを実現するためには新しいものを受け入れる‘寛容さ’と、院内の‘垣根の低い’‘風通しの良い’環境が必要だと思います。組織の規模が大きくなると、人と人のコミュニケーションが薄くなりがちですが、当院には強いコミュニケーション力とフレキシブルな実行力があり、この強みが今後の地域医療への貢献につながっていくものと、強く確信しています。

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