今田敏夫 先生インタビュー

済生会横浜市南部病院 今田敏夫 院長先生

今田敏夫

地域の中核病院としての済生会横浜市南部病院の役割

済生会横浜市南部病院は、昭和40年代の計画された、横浜市南部地域の人口急増に対応するため恩賜財団済生会と横浜市の協働建設により、昭和58年に開院した横浜市最初の地域中核病院です。

患者さんの多くは、病院のある港南区からで50%、また近隣の磯子区と栄区で30%と、開院以来、地域に根ざした病院として、救急医療や周産期医療、小児医療、そしてがん医療など、いわゆる政策医療に力を入れてきました。

地域医療支援病院、神奈川県災害医療拠点病院、神奈川県がん診療連携指定病院、横浜市産科拠点病院、横浜市小児がん連携病院など、様々な認定や指定病院として、2次救急を担いながら、地域医療を支えるため医療の質向上にまい進しています。

当院のある横浜市港南区は、昭和40年代に開発が進められたニュータウンですが、数十年経ち、この街も高齢化の波が訪れています。65歳以上の人口は25%近く、4人に1人が高齢者です。当院の入院患者さんも小児と産科を除くと、65歳以上の入院患者さんが70%近くになっています。

高齢化に伴い疾病構造も変化してきています。近年は、認知症の患者さんが増えてきましたし、救急患者さんは誤嚥性肺炎が多く、いくつか病気を抱えている「多疾病罹患」も増えています。

心筋梗塞など循環器の疾病も多く、カテーテルでのステント治療も行いますが、高齢となるとどうしても根治は難しく、慢性の心不全となって何度も救急搬送される例もあります。他にもがんや骨折など、高齢者特有の疾患が増えています。

一方で、当院は小児医療や周産期医療にも力を入れています。小児科では近隣の小児科クリニックや神奈川県立こども医療センターと連携し、小児のすべての疾患に対応するとともに、横浜市小児がん連携病院として小児がんも積極的に受け入れています。

また周産期、特にお産に関しては、多数の分娩に対応しており、横浜市産科拠点病院に指定されています。女性の社会進出が進む昨今、高齢出産が増えてきました。ハイリスクな出産に対してできる限りの支援と少しでも安心して出産に臨んでいただける医療体制や環境づくりに力を入れています。

地域医療支援病院としての取り組みと方向性について

済生会横浜市南部病院は、地域医療支援病院として、地域医療を支えるとともに、地域の医療連携を積極的に推進しています。

開院当初は、診療所や病院からの紹介の患者さんだけを診るというコンセプトを持っていましたが、当時は今ほど病院と診療所の連携「病診・病病連携」は密でなく、結果的に非紹介の患者さんも診ていました。

しかし現在は、ほとんどの診療科が診療所の先生からの紹介患者さんで、紹介率は90%まで増加しました。また、医療連携が加速する中で、当院の平均在院日数は9日前後まで短縮できています。

この周辺は、急性期治療を終了した後にご自宅に帰るための回復期リハビリテーションを行う施設がとても少なくて、患者さんとご家族にはいろいろとご不便をおかけしてしまうこともあります。

こういったことも含めて、もっとスムーズに地域連携を進めていくために、平成28年4月に「地域連携推進部」を立ち上げました。

この部署は、従来の「退院支援室」「福祉医療相談室」「地域医療連携室」の3つの部門をひとつにまとめ、地域の医療機関や患者さんの連携窓口として、機能的に活動できるように組織改変を行ったものです。

これにより、患者さんのスムーズな受け入れや退院後の治療の支援、福祉医療に関する相談などをより連携して推進できるようになりました。

例えば、地域の診療所の先生からの紹介で、当院で入院治療を行った患者さんが、今、どのような状況なのか、かかりつけ医の先生へ当院からもお知らせをしておりますが、問合せ窓口を「地域連携推進部」の地域連携推進室に統一しましたので、こちらにお問合せを頂くことで、今まで以上にスムーズに状況の確認や連携ができるようになりました。

また最近の傾向として、入院した時点で、退院のことを考えて患者さん本人とご家族を支援する動きが活発になってきています。

こういった流れから「入退院支援センター」の設置を検討しています。入院した時点で、退院時のことや転院の可能性、在宅療養でのイメージなど、患者さんの状況を、ご本人はもちろんご家族とも共有して、最適な医療サービスを提供できるようにと考えています。

次のステップへ向けて動き出した済生会横浜市南部病院

当院が開院して34年が過ぎ、建物の老朽化も目立ってきました。いよいよ次のステップヘ向けて、準備を重ねていかなければならないと思っています。

近年の医療機能は日進月歩で進化を続けています。しかし、当院の建物の設計では、なかなか大型の医療機器を導入することが難しい場合もあります。これからの医療を考えると、どうしても建て替えを視野に入れていかなければなりません。

また、施設や医療機器が新しくなった時に、職員がその設備や機器を使いこなせる技術や体制が整っていないといけませんので体制作りと人材育成にも力を入れていきたいと考えています。

この5年で職員は250名増え、組織も大きくなってきました。あらためて、人材教育の重要性を再認識し、新病院へ向けて準備を重ねていきたいと考えています。

具体的には、「チーム医療総合センター」を立ち上げており、職員一人ひとりが医療人としてキャリアアップできる仕組みを活用します。チーム医療は、横のつながりで活動していくという概念ですが、やはり、一人ひとりがしっかりしないと、お互いに支えあえないと思います。しっかりと立っているもの同士が有機的に結び付けば、「1+1」が3にでも4にでもなると思います。

職員のスキルやレベルも向上して来ていますので、地域医療支援病院として、地域へ貢献していけるように、また、高齢化と少子化にしっかり対応できる医療機関であり続けるために、より一層の努力を重ねてまいります。

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