デリケートゾーン周辺のトラブル
お尻の黒ずみの原因と皮膚科での治療方法
更新日:2018/02/19 公開日:2014/04/01
この記事の監修ドクター
銀座スキンクリニック 院長
坪内利江子 先生
お尻は、自分ではチェックしにくい部分ですが、下着や洋服との摩擦や座ったときの圧迫による刺激で黒ずみやすいパーツです。お尻に黒ずみがあり悩んでいる方も少なくないといわれています。
お尻の黒ずみは原因を排除し、正しいケアを行っていけば解消することができます。ここでは、お尻の黒ずみの原因や改善方法について見てみましょう。
お尻の黒ずみの原因
お尻の黒ずみが発生する原因には、以下のようなものがあります。
摩擦などの刺激による色素沈着
肌は刺激を受けると、防御反応でメラニンを生成します。下着や洋服との摩擦や、座っているときの圧力などの刺激により、肌がくすんでザラついたり、色素沈着が発生したりします。
特に、
- 締め付けのきつい下着
- ナイロン製の下着
- お風呂でゴシゴシ洗う
などには注意しましょう。このように、摩擦により発生した色素沈着は「摩擦黒皮症」と呼ばれ、シミが深い部分にでき、色素が定着しているので改善に時間がかかります。
座る時間を短くするのは、仕事などによっては難しいと思いますが、下着は肌触りがよい天然素材のものを選ぶなど、なるべく摩擦による刺激を避けるようにしましょう。
肌の乾燥や摩擦などの刺激による過角化
乾燥して敏感になったり刺激を受けたりすると、肌は刺激から自らを守ろうとターンオーバーを早めて角質層を厚くしようとするため「過角化」と呼ばれる現象が発生します。過角化によって角質が厚くなると、肌全体がゴワゴワしたり、くすんで黒ずんだりします。
過角化を起こさせないためには、しっかり保湿することが重要です。また、メラニンによる黒ずみと同様、下着などはなるべく刺激にならないものを選びましょう。また、長時間の自転車やバイクの乗車は摩擦を起こして悪化するのでなるべく避けるようにしましょう。
過角化によってお尻が黒ずんでくすんでしまっている場合は、余分な角質をピーリング石けんなどで穏やかに取り除くと効果的です。ピーリングを行うと、普段よりも肌が乾燥しやすい状態となるため、しっかりと保湿をするようにしてください。
ただし、垢すりやスクラブなどでゴシゴシこすって角質を落とすのはNGです。一時的にお尻がツルツルになっても、摩擦による刺激で後から色素沈着が発生したり、過角化を促進したりすることで余計に黒ずみやすい肌になってしまいます。
かぶれや炎症
肌に炎症が起こると、その部分に色素沈着が発生することがあります。ニキビ跡の色素沈着は、炎症による色素沈着の代表例です。お尻の場合は、アレルギーによるかぶれやムダ毛の処理などによる傷、ニキビや吹き出物などによって炎症が発生することがあります。
化粧品や石けんなどによるかぶれの場合は、原因と考えられるものの使用をすぐにやめましょう。かゆみがある場合は、掻いてしまうと炎症が悪化するため、薬などを上手に使ってかゆみを鎮めましょう。また、吹き出物など、他の皮膚疾患が原因の場合は、皮膚科に相談し、原因となっている疾患を治すことが必要です。
ホルモンバランス
妊娠や出産、生理不順などの女性ホルモンバランスの乱れや変化により、黒ずみが発生する場合があります。妊娠・出産による黒ずみは、出産後ホルモンの分泌が元の状態に戻れば、色素沈着も落ち着き、黒ずみも数か月で自然に消えるため、それほど心配はいらないでしょう。
生理不順による色素沈着が疑われる場合は、基礎体温を付けてきちんと高体温期と低体温期があるかなどを確認し、異変があれば婦人科を受診しましょう。
お尻の黒ずみを改善するための生活習慣
お尻の黒ずみを改善するには、黒ずみの原因となる生活習慣を改善するアプローチが考えられます。具体的には、以下のような改善が考えられるでしょう。
- 下着の見直し
- スキンケア
それぞれ、どのような点を意識するとよいか見てみましょう。
下着の見直しポイント
締め付けの強い下着や衣服は、摩擦によってお尻の黒ずみを招くことを前述しました。また、ナイロン素材の下着も黒ずみの原因となります。つまり、お尻の黒ずみの改善には、
- 綿などの天然素材
- 締め付けの少ない下着
をつけたほうがよいでしょう。また、下着のサイズも見直したほうがよいかもしれません。
スキンケアの見直しポイント
まず、ごわつきや黒ずみが気になるからといってお尻をゴシゴシと力を入れて洗っている場合はやめましょう。石けんをしっかりと泡立て、こすらずやさしく洗うのがおすすめです。
また、肌の乾燥も肌のゴワつきや黒ずみを招くこともすでに説明しました。そのため、特に入浴後の肌が乾燥しやすいタイミングでは、保湿ケアも行いましょう。普段顔に使用する化粧水やクリームを使ってケアするとより効果的でしょう。
お尻の黒ずみの皮膚科治療
お尻の黒ずみを解消するには、
- なるべく刺激を与えないこと
- 余分な角質を優しく取り除くこと
- しっかりと保湿を行うこと
の3つを、根気強く続けていく必要があります。
黒ずみの予防や、軽い黒ずみの解消にはこれらで十分な効果が期待できますが、濃い色素沈着がある場合や「今すぐ黒ずみを解消したい!」という場合には、クリニックで治療を受けるようにしましょう。
お尻の黒ずみの治療には、以下のようなものがあります。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、
- お尻の黒ずみ
- ざらつき
- ニキビが気になる
という方におすすめです。酸の働きで古い角質を除去し、細胞の新陳代謝をアップすることで、くすみやざらつきを改善します。クリニック処方の
- 美白クリーム
- 保湿クリーム
- ピーリング石けん
などとの併用で、相乗効果が期待できます。
レーザー・光治療
通常のシミと違ってレーザーや光をかさぶたができない程度の弱い設定でお尻に照射し、メラニン色素を少しずつ破壊していきます。
美白効果のある薬剤の経皮導入
- イオン導入
- 超音波導入
- エレクトロポレーション
など、電気を利用して下記のような炎症を抑える効果や美白効果の高い薬剤を皮膚から浸透させる施術です。浸透させられる薬剤の種類は機器によって違い、また浸透の度合いや深さは通常エレクトロポレーションが最も強力になります。水分も皮膚の奥にはいり同時に保湿作用もあるため、元々乾燥肌傾向の方にはとくに効果が高い方法です。
外用薬の処方
漂白効果があり、
- メラニン生成に関わるチロシナーゼを抑制するハイドロキノン
- ターンオーバーを促すトレチノイン(ビタミンA誘導体)
などの外用薬をお尻に塗ることで、黒ずみを解消する治療です。ビタミンCローションは、メラニンを還元させる美白作用だけでなく活性酸素を退治し炎症を抑える効果もあります。
内服薬の処方
抗酸化作用が強く、シミなどの治療にも用いられる
- ビタミンC
- ビタミンE
- トラネキサム酸
などの内服薬を摂取し、内側から黒ずみを解消する治療です。黒ずみといっても、さまざまな原因があります。まずは何が原因になっているのかを突き止め、正しく対処することが大切です。
原因がわからない場合や、原因がわかってもどうしたらよいかがわからない場合は、自己流のケアで悪化させる前に、皮膚科で相談しましょう。
まとめ
お尻は自分では目が届きにくい部位ですが、水着姿になったり温泉などに行ったりすると、他人の視線が気になる部位でもあります。その原因は、簡単にまとめると以下の4つです。
- 摩擦などの刺激
- 肌の乾燥
- 炎症・かぶれ
- ホルモンバランスの乱れ
肌の刺激や乾燥については、毎日のセルフケアで改善できる場合もあります。今回ご紹介した生活習慣の改善ポイントを見直してみましょう。また、すでにお尻に濃い色素沈着があり、気になる場合は、クリニックで専門家の手を借りるのもひとつの方法です。
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