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アトピー肌が選ぶべきファンデーションとクレンジング方法

更新日:2017.11.21
公開日:2014.05.01
ドクター画像
この記事の監修者
銀座禅クリニック 院長 コッツフォード 良枝

紫外線などの外部刺激から肌を守ってくれるファンデーションは、正しく選ぶことで、アトピー性皮膚炎の肌の強い味方になります。ドクター監修の記事で、アトピー肌の正しいファンデーションの選び方について解説します。

アトピー肌や敏感肌であってもメイクは楽しみたいもの。ファンデーションにはカサつく肌をカバーして美しく見せたり、日中の乾燥や紫外線から肌を守る働きがあります。ここではアトピー肌のファンデーション選びや注意したい成分、クレンジングのポイントなどを中心に、ドクター監修の記事でお伝えします。

アトピー肌に適したファンデーションの種類

ファンデーションには、大きく分けると液体(リキッドタイプ)やクリーム状、油分を多く含んだスティック状のタイプ、そしてパウダータイプの3種類に分類されます。アトピー肌には、どのタイプが向いているのでしょうか。

結論からいうと、アトピー肌に適しているのは、ミネラルファンデーションに代表される、パウダータイプのファンデーションです。

液体やクリームタイプ、スティックタイプのファンデーションは、水分と油分の分離や微生物の繁殖を抑えるために、界面活性剤や防腐剤などを多く添加する必要があり、肌への負担が大きくなるのでアトピー肌の方は使用を控えたほうがよいでしょう。

肌のバリア機能が弱く、添加物などが皮膚内部に入り込みやすいアトピー性皮膚炎の方は、パウダータイプのファンデーションを選ぶようにしましょう。

注意したいファンデーションの成分

ファンデーションに含まれる香料や防腐剤、界面活性剤などの化学物質が肌の刺激となることがあります。気をつけたい成分について、詳しく解説します。

合成界面活性剤

界面活性剤とは、親水基(水になじむ性質)と親油基(油になじむ性質)の両面を持っている物質です。界面活性剤はクレンジング剤や洗顔料、シャンプー、洗剤などに使われているほか、水と油を混ぜ合わせる「乳化作用」を出すためにファンデーションにも使用されています。

乳化されている場合、界面活性剤はすでに親水基は水と、親油基は油とつながっており、肌に乗せても皮脂を奪いすぎることはありません。そのためファンデーションの界面活性剤は、洗顔料やシャンプーに配合されている界面活性剤ほどアトピー肌にとって懸念とはならないと考えられますが、気になる場合は先述のとおり、界面活性剤の配合量が少ないパウダータイプを選ぶようにしましょう。

防腐剤

化粧品は開封して使用するうちに、空気や指に付着した菌などが混入し品質が劣化してしまいます。そのため、以下のような防腐剤や保存料が使われていることが多く、敏感肌の人がこれらの成分によって皮膚炎やアレルギー反応を起こすおそれがあります。

  • メチルパラベン
  • エチルパラベン
  • プロピルパラベン
  • ブチルパラベン
  • BG(1-3ブチレングリコール)
  • フェノキシエタノール など

ファンデーションや化粧品を選ぶ際は、こうした成分が含まれていないかチェックする習慣をつけましょう。

石油系合成香料

合成香料は香りが安定していますが、ある種の合成香料についてはホルモンバランスを崩すこともあると論文で指摘されています。ただし、自然由来の香料が刺激となるケースもあり、精製度によっては一概に石油系のほうが危険とは言えない状況です。

ミネラルファンデーションなら安心?

ミネラルファンデーションは低刺激や敏感肌用をうたったものが多く、「ミネラル」という言葉が商品名につくだけで、肌にやさしいようなイメージがあります。しかし、ミネラルファンデーションなら安心か、というとそうではありません。しっかり成分を確認して選ぶ必要があります。

現在の日本では、ミネラルファンデーションの表示に対する規制がなく、1%でもミネラルが含まれていると、「ミネラルファンデーション」という表示が可能です。

そのため、市販のミネラルファンデーションのなかには、さまざまな添加物が含まれたものも多数あるのです。どのような成分が含まれているか、必ず確認をするようにしましょう。

オーガニック化粧品も注意

オーガニックコスメについても同様です。近年多い「オーガニック」「ボタニカル」などと表示された化粧品には、植物エキスが多く配合されています。

植物エキスのなかには美肌効果や保湿効果、抗菌作用などが期待できる成分もありますが、エキスを抽出するためにエタノール(アルコール)やBG(1-3ブチレングリコール)などが使われていることがあります。そうした成分や植物エキスに含まれる不純物が、アトピー肌や敏感肌の刺激となることがあります。

「植物性だから肌によさそう」とイメージで判断せず、アレルギーを起こすおそれのある成分ができるだけ含まれていない、シンプルな処方のものを選ぶことが大切です。

パウダーファンデーションの成分

それでは具体的に、どのような表示成分のファンデーションを選べばよいのでしょうか。次にアトピー肌のファンデーション選びのポイントを記載します。

配合成分が少なく、シンプル

基本的にパウダータイプのファンデーションは、次のような成分によって作られています。これらの成分をメインに、添加物などの余計なものがなるべく入っていないファンデーションを選ぶようにしましょう。

マイカ
日本名では「雲母(うんも)」と呼ばれる天然鉱物を粉砕して作られる顔料で、ファンデーションの基本的な成分として広く使われています。
酸化亜鉛
日焼け止めやメーキャップ化粧品の紫外線カット剤として使用されています。亜鉛を熱で酸化、または炭酸亜鉛を熱分解して製造されます。
酸化チタン
酸化亜鉛と同様に、日焼け止めやメーキャップ化粧品の紫外線カット剤として使われています。
酸化鉄
鉄を酸化させて製造されており、ファンデーションの肌色を出すための顔料として使用されています。毒性がなく、安全性が高いのが特徴です。

ナノ化技術は使用していないものを選ぶ

『アトピー肌の化粧品選び(9)日焼け止め』で詳しく説明していますが、酸化亜鉛や酸化鉄は紫外線に当たると活性酸素が発生し、ナノ化したものほど肌への影響が強くなります。

また、ナノ化された粒子が小さいほど皮膚に浸透しやすくなるので、バリア機能がもともと弱くてアレルギー反応が強い傾向のアトピー性皮膚炎の方は、避ける方が無難です。

そのため、ナノ化技術を使用していないパウダーファンデーションを選ぶようにしましょう。

高品質なコーティングを選ぶ

こちらも『アトピー肌の化粧品選び(9)日焼け止め』で詳しく説明していますが、活性酸素が発生してしまう酸化亜鉛や酸化チタンが肌に直接触れないようにコーティングして、ファンデーションに配合されているものを選ぶようにしましょう。

コーティング剤にも注意が必要です。

シリコンでコーティングされたものは、アトピー肌の方が使用すべき無添加の石けんでは洗い落としが難しく、アルミニウムは金属アレルギーの可能性があります。安全性を考えると、人間の体にも存在する「シリカ(ケイ素)」、動植物に含まれる飽和脂肪酸である「ステアリン酸」でコーティングされたものを選ぶのが安心です。

コーティングの技術やコーティング剤はメーカーによって異なるため、情報をきちんと開示している良心的なメーカーの商品を選ぶ必要があります。

ファンデーションに多く含まれている「タルク」は危険?

近年、敏感肌用のファンデーションを中心に、「タルクフリー」のファンデーションが増えてきています。

タルクとは、ベビーパウダーやベースメイク用品に多く含まれる成分で、タルク自体には毒性はありません。しかし、タルクを製造する際の不純物を取り除く技術が低いと、発がん性のあるアスベストを含有したタルクとなってしまいます。

日本を含めた多くの先進国では、アスベストを含むタルクの製造や輸入などに規制がありますが、そのような規制のない国で製造された製品については、アスベストを含むものが存在する可能性はあります。

肌が大変デリケートなアトピー肌の方は、避けておいた方がよいと考えられます。

アトピー肌のクレンジング方法

メイクを落とすクレンジング剤や洗顔料には多くの場合、界面活性剤が使われており、皮脂や角質層の保湿成分が洗い流されてしまうおそれがあります。かといって汚れや酸化した皮脂をそのままにしておくと、アトピー肌を悪化させてしまいます。

基本的には、石けんで洗い流せる程度に軽めのメイクにすることが一番です。しかし、どうしてもフルメイクが必要なときや、紫外線対策でファンデーションを塗る必要があるときは、水で流せる水溶性のクレンジングジェルや、肌への負担が少ないクレンジングミルクを選ぶようにしましょう。最近は界面活性剤不使用のオイルクレンジングやコールドクリームも登場していますので、そうしたものを選ぶのもよいでしょう。

肌を摩擦しないよう心がける
クレンジング剤が少量だと知らない間に指で肌を摩擦してしまい、角質層を物理的に傷つけてしまいがちです。手と肌の間にクッション性を保つためにも、クレンジング剤はたっぷり使用しましょう。クレンジング剤を手のひらで温めてから使うのも、肌なじみをよくするコツです。
メイクの濃さによって使い分けを
低刺激のクレンジングジェルやクレンジングミルクは、洗浄力もそれだけ弱めになります。油分が多いアイメイクやリップメイクだけ専用のクレンジング剤やオイルを使用し、顔全体にはミルクタイプを使用するなど、メイクの濃さによって使い分けるのもよいでしょう。
拭き取りには細心の注意を払う
オイルタイプやコールドクリームタイプのクレンジング剤は、メイクを油分で浮かせてからティッシュやコットンで拭き取りますが、このとき肌をこすってしまいがちです。ティッシュやコットンを使うときは「油分を吸収する」だけにとどめるようにしましょう。また、シートタイプのクレンジングも「拭き取る」こと自体が刺激になりますので、できるだけ避けた方がよいでしょう。
洗顔・保湿も忘れずに
クレンジングの後は、肌にあった洗顔料をよく泡立ててやさしく洗いましょう。特にクレンジングオイルやコールドクリームでメイク落としをした後はヌルヌルした感触が気になり、二度洗いをしたくなりますが、どうしても気になる場合以外は一度だけにとどめましょう。また、洗顔後はセラミドやアミノ酸、ヒアルロン酸などの保湿成分を配合した化粧品でたっぷり保湿を行ってください。

まとめ

アトピー性皮膚炎の方のファンデーション選びを中心にご紹介しました。ファンデーションにはトラブルの起きた肌を美しくカバーするとともに、紫外線や乾燥などの外部刺激から肌を守る働きがあります。毎日のメイクを楽しむためにも、注意したい表示や成分をしっかり見極めることが大切です。

  • 処方がシンプルなパウダーファンデーションを選ぶ
  • 合成界面活性剤や防腐剤・保存料、合成香料無添加のものを選ぶ
  • 「シリカ(ケイ素)」や「ステアリン酸」でコーティングされているものを選ぶ
  • 「ミネラル」「オーガニック」「ナノ化」などの表示を過信しない

また、その他の化粧品にアトピーを悪化させる可能性がある成分が含まれていると、ファンデーションだけ安全なものを選んでもあまり意味はありません。

基礎化粧品からファンデーションまで、アトピー肌に悪影響を与えない、無添加の化粧品を選ぶようにしてください。

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