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顔のリフトアップの治療方法とリフトアップ整形

更新日:2017.11.20
公開日:2014.07.01
ドクター画像
この記事の監修者
六本木境クリニック 院長 境隆博

顔のたるみのリフトアップに、クリニックを訪れる人も多いでしょう。数多くの種類がありますが、どれを選ぶべきでしょうか。各施術の特徴や効果、問題点をドクター監修のもと紹介するとともに、家庭におけるケアについても見ていきます。

フェイスリフトとは頬や目元のたるみ、口角の下がり、首周りのたるみなど、顔のたるみを取り除く若返り治療全般のことを意味します。ここでは切開をともなう美容整形から、特殊な糸で引き上げるもの、注射1本からできるものなど、さまざまなリフトアップ法を解説します。あわせて美顔器や美顔グッズ、ツボ押しやマッサージなど、自宅でできるリフトアップ法の効果についても見ていきます。

顔をリフトアップする治療方法

顔のたるみを引き上げる「リフトアップ」を目的とする美容整形には、大きく分けると以下のような種類があります。

  1. 切るリフトアップ手術
  2. 糸によって皮膚を引き上げる治療
  3. 糸によって皮膚を刺激し、肌質を向上させる治療(韓国式美容鍼金の糸など)
  4. 高周波・超音波・レーザーなどの照射系治療
  5. ヒアルロン酸・ボツリヌストキシンなどの注入・注射系治療

これらの治療は、各種類の中でさらにたくさんの種類があり、どれにすればいいのか、違いはどこになるのかなど、わかりづらいのが現状です。

顔のリフトアップ整形の部位別分類

顔のリフトアップ(顔面除皺術)とは、もともとシワ・たるみに対する切る手術を意味します。シワやたるみを改善するリフトアップの手術には、いくつかの分け方があります。まず、部位別の分け方だと、以下のようになります。

  1. ひたい:前額リフト
  2. こめかみ:こめかみ(側頭)リフト
  3. ほほ:頬のリフト
  4. あご:下顎のリフト
  5. 首:ネックリフト

上記5つのうち、1~5か所を対象とするものを、「しわ・たるみとり手術」と呼ぶことが多くなっています。顏全体はつながっているので、複数箇所の手術の方が効果的な場合もあります。また、頬をリフトアップする手術(頬のリフト)だけをミニリフトなどと呼ぶことも多いようです。

※頬のリフトアップ手術については、『頬のリフトアップ治療の種類と効果』、ミニリフトについては『ミニリフトの内容・傷跡・ダウンタイム等について』をご覧ください。

また、上下まぶたのたるみ取り手術、顔の中央部分のたるみを改善する中顔面リフト(ミッドフェイスリフト)」、鼻の下を短くし、上唇を厚くするリップリフトなどもフェイスリフトの一種のようにいわれることがあり、他のリフトアップ手術や美容整形と併用される場合もあります。

このように、顔にはさまざまなパーツがあり、リフトアップ手術の術式も数多くあります。一言で「顔のリフトアップ」といっても、クリニックによって対象となる部位や範囲が違います。

顔のリフトアップ手術の術式による分類

また、顔のどの部位かその面積という話以外に、深さにも違いがあり、バリエーションも非常に多く存在します。

たとえば顔は、もっとも外側にある表皮、その下の真皮、皮下組織、表在性筋膜(SMAS)、表情筋、骨膜、骨、という層になっており、「どこまで処置をするか」によっても違いがあります。分類としては、主には以下のようなものがあります。

  1. 皮膚の剥離・切除・縫縮だけを行うもの
  2. 表在性筋膜(SMAS)の処理を行うもの
  3. 骨膜下の剥離をともなうもの

表在性筋膜(SMAS)とは、皮下組織と表情筋の間にある組織で、表情筋を覆っています。

顔のたるみの場合、皮膚だけではなく、深部にある皮下組織やSMASがゆるんでいることが多く、皮膚だけを引っ張っても大きな効果が望めません。そのため、リフトアップ整形では、SMAS筋膜から引き上げる方法が現在多く採用されています。

しかし、骨と筋肉が強く結合している部位だと、いくら筋膜を引き上げても、骨は動かないため、十分なリフトアップ効果が得られない場合があります。そのような時は、上記3つ目の骨膜下を剥離して筋肉の可動域を広げる処置が行われる場合があるのです。

このように、「組織のどこに、どのような処置を施すか」は、部位や手術を行う医師の考え方や技術力などによっても異なります。そのため、上述の通り、リフトアップ整形は非常に多くのバリエーションが存在するようになりました。

リフトアップ手術は、もともとは余剰皮膚を切除することが目的のシワとり手術として始まりました。その後、上述のSMAS筋膜の処理を行うリフトアップ手術により、皮膚だけではなく、下垂した皮下組織を引き上げることが可能となったために、シワ取り手術からたるみ取り手術を意味するようになりました。

顔のリフトアップ手術の現状とその他の治療

また、近年は切る手術以外にも、冒頭で言及した糸によるリフトアップや注入系、高周波やレーザーを照射する方法などがあります。切開手術以外の方法が増えてきた背景には、どのような流れがあったのでしょうか。

医療行為などによって生体を傷つけることや、手術操作自体の大きさ、それにより人体に対する影響やリスクが増加することを「侵襲(しんしゅう)」と言います。以前はこの侵襲に対して、たるみ治療の効果も比例して上がるものとされていました。

ところが、美容医療界やエステ業界において侵襲の大きなリフトアップの術式を含むさまざまな方法が試みられてきた結果、最近では整形手術などアグレッシブな方法が、長期的に見てそれほどよい効果に結びついていないことも指摘されるようになり、低侵襲化やミニリフト化、手術操作の及ぶ範囲が小さく、より危険性が少ない方向性に転じてきています。すなわち、ローリスク、ローリターン化が進んだと言えるでしょう。

次第にダウンタイムの少ない治療が好まれるようになってきたため、糸のフェイスリフト(スレッドリフト・フェザーリフト)が急速に普及していますが、あまり効果が期待できないものや、効果が長続きしないものもあるようです。

※糸を使ったフェイスリストについて詳しくは、『糸を使った切らないリフトアップの種類と効果』をご覧ください。

注入系や照射系の治療について

次に、切る手術以外で顔のたるみ治療に用いられる、ヒアルロン酸などを注入する施術や、高周波、レーザーなどを照射する治療について見ていきましょう。

ヒアルロン酸などの注入・注射系の治療法

近年は、たるんだ部分を引き上げると同時に、「しぼみ」や「くぼみ」が生じた箇所にヒアルロン酸等を注入したり、膨らんでしまった部分の脂肪を除去するなど、局所の「ボリューム改善治療」が併用されるようになっています。

患者の状態によっては、たるんだ組織を引き上げるだけでは見た目の若返りが十分ではなく、この「ボリューム改善」も重要になる場合があります。しかし、当然ながら、たるんだ組織を引き上げる効果はありません。

高周波やレーザーなど照射系の治療法

照射系治療については、サーマクールのような高周波RF治療やウルセラのような超音波治療など、有名で高額なものもあります。実際に施術を受けた人に感想を聞いてみると、肌質の改善などさまざまな効果が実感できるといわれますが、たるみ治療としては直後の効果もマイルドであり、その効果が実感できる平均的持続期間も比較的短めです。

レーザーにもさまざまなものがありますが、特に注目したいのはフラクセルのようなフラクショナルレーザーです。リピーターも多く「化粧のノリがよくなる」という感想が一番多いようです。ただ、表皮のハリが失われることが原因で発生するたるみ毛穴や肌質の改善には一定の効果が見られるものの、「たるみ治療」という名称に見合った改善ができているかどうかには議論の余地があります。

顔のリフトアップの問題点

顔のリフトアップにおける課題や問題点についても見ていきましょう。

顔の正面から見たときの効果

顔のリフトアップ手術において、もっとも課題となるのが、顔を正面から見た時の効果です。西洋人は頬骨が低く、フェイスリフトによる張力が顔の正面の部分まで及びやすいのですが、東洋人は頬骨が高いため、張力が及びにくいのです。そのため、顔の正面はリフトアップ整形の空白地です。

日本では東洋人にも効果が出るよう、さまざまな工夫がされていますが、医師の技術や知識、好みなどによって効果は一定ではないため、リフトアップ手術を受ける場合は注意が必要です。

傷跡や全体バランスの違和感

また、傷跡はどんな名医が担当しても、目立つ可能性があります。傷跡は白いため、東洋人の肌色だと、どうしても西欧人よりも目立ちがちです。さらに、切るリフトアップ後には図のように耳が立ち上がり、耳たぶは伸びるなどの変形が見られる場合もあります。

切るリフトアップは耳前部から側頭部の毛髪部や髪の生え際を切開・剥離し、余分な皮膚を切って引き上げ、縫い縮める施術が多いですが、そうすると、もみあげの位置がずれ、「毛髪が生えているべき部分に生えておらず、生えていないはずのところに生えている」というように、パッチワーク状になってしまうことがあります。

治療法のローリスク・ローリターン化

このように、さまざまなリスクを回避することを最優先にした結果、リフトアップが「ローリスク・ローリターン」な方向性に進んだことで、「現実逃避的」な施術が増えてしまい、それも問題だと指摘する医師もいます。

近年はあえて「木を見て森を見ない」、すなわち、「顔全体ではなく部分部分にフォーカスを当てた治療」が多くなっています。具体的には、ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、たるみ毛穴、目元や口元のシワなど、細かい部位や症状にフォーカスをあてる、という現象が増えてきています。

しかし、たるみを効率よくリフトアップさせることができるフェイスリフト治療があれば、上記の症状は全部主にたるみに起因するものですので、すべて改善できるはずです。

医師も患者もお互いにリスクを回避し、「プチ整形や照射系などのローリスク・ローリターン治療にとどめておきましょう」というのが標準的な考えになっているように思われます。

リフトアップ治療の選び方

さまざまなリフトアップ治療とその問題点などを見てきましたが、実際に「顔のたるみをしっかり治療したい!」という場合、どの治療法が適しているのでしょうか。

もちろん、適した治療内容はその方の状態によって異なりますが、リフトアップ効果や持続性、術後の後遺症などのリスクを考慮したうえで、たとえば眉毛切開(眉下リフト)スプリングスレッド(スプリングリスト)組み合わせなどが、顔のリフトアップには適しているでしょう。

顔のようによく筋肉を動かす部分に伸縮性のないものを入れると、早期にゆるんで後戻りが生じます。スプリングスレッド(スプリングリフト)はフランス産の伸縮性と耐久性に優れた糸を使用するため、長期的な効果が見込めますし、従来の糸のフェイスリフトにおいて苦手領域であったほうれい線ゴルゴライン・マリオネットラインといった顔の正面までリフトアップすることが可能です。

一方、眉下切開(眉下リフト)は、まぶたのたるみや目じりのしわ、ひたいのシワ(前額部)など、前額から側頭部、目周りに効果があります。これらの治療は、ローリスクのうえ、効果や持続性が高く、たるみ治療の中ではハイリターンのリフトアップと言えるでしょう。

ただし、目の下のたるみや膨らみが重度の場合には、脂肪の除去や下眼瞼形成術(下まぶたのたるみ取り手術)を追加したほうがよい場合もあります。

顔のリフトアップ施術を受ける場合は、当然ながら術後に問題が生じるリスクをしっかり確認すると同時に、慎重になりすぎて効果がない、またはすぐに後戻りしてしまうものを選ばないようにすることが大変重要です。

グッズや美顔器にリフトアップ効果はある?

顔のたるみは、皮膚組織皮下脂肪筋肉の3つがなんらかの原因で変性し、これらの力学的バランスが崩れた結果発生するものと考えられています。変化する代表的な原因として、以下のようなものがあげられます。

  • 皮膚を支える真皮層のコラーゲンやエラスチンの減少
  • 皮下脂肪の増加
  • 表情をつくる筋肉(表情筋)の加齢による衰え

こうした変化に、化粧品や美容グッズ・美顔器、マッサージやツボ押しは効果があるのでしょうか。

化粧品によるリフトアップ効果

上記のような原因でたるみが発生してしまうと、もはや化粧品で改善することはできません。しかし、たるみを予防するための保湿と紫外線対策には、化粧品によるケアが欠かせません。

たるみ予防に保湿が重要なのは、洗顔や入浴によって一時的に低下する肌のバリア機能を保湿化粧品で補うことにより、肌弾力の衰えを防ぐ効果があるためです。保湿化粧品を選ぶ際は、角質層にある細胞間脂質の主成分であるセラミドがおすすめです。セラミド配合の美容液やクリームなどを上手に活用しましょう。

また紫外線は、真皮層のコラーゲンに大きなダメージを与えることがわかっています。紫外線のUV-AやUV-Bから肌を守るためにも、SPFやPAの数値に注目して日焼け止めを選びましょう。

美容グッズや美顔器によるリフトアップ効果

家庭で気軽に使える美容グッズや美顔器。代表的なものとしては、以下のようなものがあります。なかには、クリニックで使われている治療器の出力を抑えたり、仕様を簡略化することで、医療知識がなくても簡単に扱えるようにした美顔器もあります。

  • 美顔ローラー…ローラーを転がすことにより肌を引き上げ、血液やリンパの流れを促す
  • 超音波美顔器…細かな振動で血液やリンパ液の流れを促し、肌のハリ感を高める
  • イオン導入美顔器…プラセンタなどの保湿成分やコラーゲン生成を促すビタミンC誘導体をイオンの力で肌に浸透させる

いずれも、化粧品の効果を高めたり、血行を促して肌のターンオーバーを正常化するなどのたるみ予防効果は期待できますが、「注入系や照射系の治療について」の項で見てきたとおり、たるみの改善に直結するものではありません。また、自己判断で美容グッズや美顔器を使用すると、肌をこすり過ぎて逆にシワやたるみを引き起こしてしまったり、ニキビなどの炎症を悪化させてしまうおそれがあります。商品の説明書きなどをきちんと確認したうえで使用するようにしましょう。

表情筋エクササイズ、マッサージ、ツボ押し

喜怒哀楽など顔の表情を作る表情筋が加齢などによって衰えてしまうと、皮膚を支える力がなくなり、顔のたるみにつながります。表情筋は腕や足の筋肉同様、毎日のトレーニングで鍛えることができますので、朝晩の肌のお手入れにあわせてとり入れるのもよいでしょう。詳しくは、『「顔筋肉トレーニング」が必要な6つの理由』をご覧ください。

たるみを解消しようと顔のマッサージに励む女性も多いと思いますが、マッサージを行う際は注意が必要です。たとえば、目元の皮膚などはとても薄く、指でこすると摩擦を生じて、たるみだけでなくシミやシワの原因になることがあるからです。マッサージを行うときは、筋肉やリンパの仕組みを理解したうえで、やさしく行うことが大切です。

目の下のたるみが気になるなど、部分的なたるみには、ツボ押しを行うという方法もあります。詳しくは、『目の下・まぶたのたるみを解消するツボ押しマッサージ』をご覧ください。

まとめ

顔のたるみを解消するリフトアップ治療の種類と効果、問題点を中心に見てきました。美容外科や美容整形外科で行われるリフトアップ手術や整形術にはさまざまな種類があります。施術のメリットやデメリット、なりたいイメージや顔全体のバランス、費用やダウンタイムなどを総合的に判断したうえで、信頼できるドクターを選ぶことが大切です。

また、たるみを進行させないためには、日常のケアに化粧品による保湿や紫外線対策、表情筋エクササイズ、美顔器や美容グッズなどをとり入れるのもよいでしょう。いつまでも若々しい小顔をキープするために、できることから始めてみましょう。

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