メラニンはシミのもとになるというイメージが強いため、肌にとって悪いものと考えられがちですが、実は肌を紫外線から守る大切な働きをするものなのです。
■メラニン(メラニン色素)とは?
メラニンは人間だけでなく、他の動物、植物、また一部の菌類などに形成される色素で、黒色メラニン(ユーメラニン)と肌色メラニン(フェオメラニン)の2種類があります。黒人・白人・黄色人種で肌の色や髪の色に違いがあるのは、黒色メラニン(ユーメラニン)と肌色メラニン(フェオメラニン)の量が異なるためです。黒色メラニンの量が多いほど、肌や髪の色が黒く濃くなります。加齢によって黒髪が白髪になっていくのは、メラノサイトを生み出す幹細胞の衰えにより、毛根でメラニンが生産されなくなるためだと考えられています。
■メラニンの働き
メラニンは、表皮の基底層にあるメラノサイトによって生成されます。メラノサイトは紫外線などの刺激を受けるとメラニンを作り出すのですが、これはメラニン色素を含む表皮細胞でバリア―ゾーンを形成し、肌細胞が紫外線の刺激を受けないようにするためです。こうすることで、紫外線によるDNAの破壊や皮膚癌の発生を、未然に防いでいるのです。つまり、メラニン色素は肌トラブルや病気を防ぐためになくてはならない物質と言えます。
■メラニン色素とシミの関係
では、「メラニン色素=シミ」と考えられている理由はなんでしょうか?それは、過剰に生成されたメラニンが色素沈着を起こし、シミとなるためです。具体的には、以下のようなメカニズムによりシミができます。
・紫外線などの刺激が「ケラチノサイト」という物質を刺激する。
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・「プラスミン(メラノサイト活性因子)」が、メラノサイトにそのことを伝達する。
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・「チロシン」がメラニン生成酵素であるチロシナーゼの作用によりメラニンに変化する。
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・生成されたメラニンはケラチノサイトに溜まっていき、過剰に蓄積されることにより色素沈着を起こしシミになる。
通常、生成されたメラニン色素はターンオーバーにより排出されるため、色素沈着を起こすことはありません。しかし、紫外線などの刺激を過剰に受けるとメラニン色素も過剰に生成されるため、排出しきれなかったものが残りシミとなってしまうのです。また、ターンオーバーの崩れもメラニンの排出を滞らせるため、やはりシミの原因となってしまいます。
メラニンの働きを正常なものにするためには、肌に紫外線や摩擦などの刺激を与えないことと、ターンオーバーを乱さない生活習慣を保つことが大切なのです。
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