フェイスリフトの基礎知識
美容外科で行なうフェイスリフトアップの問題と施術の選び方
更新日:2017/12/19 公開日:2014/11/11
この記事の監修ドクター
六本木境クリニック 院長
境隆博 先生
主に顔のたるみを解消する美容整形、「フェイスリフト」。「後遺症が残った」「効果がなかった」などの理由で、40人の男女が大手美容系クリニックを集団提訴したというニュースが報道されました。今回問題となったのは、主には「糸を使ってたるんだ組織を引き上げるフェイスリフト」の施術で、原告側は「医師から十分な事前の説明がなかった」とコメントしています。
実際のところ、糸を使ったフェイスリフトの施術にはどのようなものがあり、失敗や後遺症などのリスクはどのくらいあるのでしょうか。今回は、フェイスリフト治療について、「六本木境クリニック」院長、境隆博先生にお話を伺いました。
糸を使ったたるみ治療「フェイスリフト」の施術方法
Q:まずは、糸によるフェイスリフト治療の種類や分類について教えてください。
境先生:糸によるリフトアップを大きく分けると、以下の2つに分類されます。
- 糸でたるんだ部分を「引き上げる」方法
- 糸を埋め込んで組織を「引き締める」方法
糸で皮膚を引き上げる治療、いわゆる「フェザーリフト」や「スレッドリフト」は、たるんだ箇所を糸で物理的に引っ張り、たるみを改善します。組織に金を埋め込む「金の糸(ゴールデンリフト)」などは、糸を埋め込むことで組織に意図的に傷をつけたり、異物を入れることで反応させ、それを利用して肌質の改善効果をねらったもので、引き締めタイプの施術です。こちらについては、たるんだ組織を物理的に引き上げる効果はありません。
たるみは、上図のように、若い頃は顔の上部にあった脂肪などの組織が下垂して発生します。そのため、根本的にたるみを改善するには、下垂した組織を元の場所に戻す必要があり、「引き締める」方法のたるみ改善効果は限定的です。
糸を使ったリフトアップの問題点・後遺症について
Q:糸を使ったリフトアップの問題点はどのようなところでしょうか?
境先生:患者さん目線で考えた場合、以下のような点が問題になることが多いようです。
- 患者さんが術前に想像しているよりも効果が弱い
- 特に、顔の正面に効果に乏しく、効果の実感を得られない
- 長持ちせず、中長期的に効果が持続しない
糸でたるんだ組織を引き上げる治療は、以前から顔正面に効果が乏しいことと、手術直後に得られる引き上がり効果(リフトアップ効果)が後戻りしてしまうことが比較的早いことが問題となっており、学会の発表や論文などでも原因究明についてのものが多く見られます。
しかし、単に糸を丈夫にしたり、強く引き上げたり、糸を止める部分を強固にすると、糸を固定する部分に集中的に負荷がかかり、引きつれや偏頭痛などの痛みや違和感が生じやすく、また糸が早くに破損し、後戻りしてしまいがちです。
つまり、引き上げ効果を強く出そうとすると引きつれなどの後遺症と糸の破損などによる後戻りが発生しやすく、後遺症や後戻りを回避すると効果がない、ということになりがちです。
たるみ改善のためどんな治療方法を選ぶべきか
Q:それでは、たるみを治療したい場合、どのような方法を選ぶべきなのでしょうか。
境先生:効果がありつつ、後遺症や後戻りの問題を解決するためには、以下のような施術を選ぶ必要があります。
- 糸に伸縮性がある
- 糸の耐久性が高い
- 引き上げて固定する部分が一か所に集中しない
糸に耐久性と伸縮性があれば、引き上げ効果が高く、効果が長持ちします。表情筋に合わせて糸が伸び縮みするので、余計な負荷がかからず、引きつれや頭痛などの後遺症が起こりにくくなります。
また、上述のような、糸を固定する部分が一か所に集中する施術は、固定部分への負荷が大きく、引きつれや頭痛の原因となるので、避けることをおすすめします。
Q: 上述のような条件を満たす施術はあるのでしょうか?
境先生:個人的には、糸によるリフトアップの一種である、スプリングスレッド(スプリングリフト)が最も適していると考えています。
スプリングスレッドは、フランス産の伸縮性に優れた糸(上図)をたるみの気になるところに挿入し、糸の突起を皮下組織に引っかけ、カーブをかけながら引っ張るリフトアップです。
スプリングスレッドには2種類の挿入の仕方があり一つは「ストレート法」、もう一方は「エックス状の挿入法」です。
ストレート法は、上の図の左側のように、1本1本を顔のたるみ具合に合わせて、バラバラに自由に入れていく方法です。エックス状の挿入法は、顔に入れた糸をまとめ、糸で吊るしてエックス状に挿入します。エックス状に挿入すると、たるみの症状に合わせて微妙に引っ張り具合に変化をつけるということができません。また、まとめた糸を固定する部分に集中的に負荷がかかり、偏頭痛などの痛みや、ゆるみが生じやすいと考えられますので、ストレート法の方が仕上がりもよく、後遺症が起きにくくなります。
しかし、糸の入れ方や本数、引っ張り加減は、医師の判断や考え方によって大きく異なります。確かにスプリングリフトは優れたリフトアップ施術ですが、「スプリングリフトならいい」と安易に考えず、事前に医師の考え方や施術内容をしっかり確認するようにしてください。
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