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腹部膨満感

お腹の張りの原因はこれかも?腹水の症状と治療法

更新日:2017/12/14 公開日:2015/11/24

この病気・症状の初診に向いている科
内科

腹水は、なんらかの疾患によって胃や腸などを包んでいる腹壁に囲まれた空間である腹腔内に水がたまった状態です。腹水は、大量にたまると腹部膨満感(お腹の張り)の原因になります。ここでは、腹水の症状や治療法にはどのようなものがあるのか、ドクター監修の記事にて詳しくお伝えします。

お腹に水がたまってパンパンに張ったり、膨らんだりして苦しい状態が、腹水による腹部膨満感です。腹水とはどのような原因で起こるのか、また治療法にはどのようなものがあるのか、以下で詳しくみてみましょう。

腹水とは

腹部には肝臓・胃・腸・脾臓 (ひぞう) などを収める腹膜(ふくまく)で囲まれた空間があり、腹腔(ふくくう)と呼ばれます。腹腔内には30~40mlの体液が存在していますが、病気などが原因で、血管やリンパ管から漏(も)れ出した液体がこれ以上に貯留することを腹水といいます[1]。

腹水がたまる原因とメカニズム

腹水は、肝硬変を筆頭に、心臓の病気や腹膜炎、がんなどが原因で起こります。また、その原因によって、非炎症性と炎症性に分けられます。

非炎症性腹水

肝硬変、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などで起こる腹水がこのタイプで、血管内の水分が外に溢れ出した「漏出液(ろしゅつえき)」が腹水として腹腔内にたまります。漏出液はタンパク質の量が少なく透明で、凝固しにくい特徴があります。

漏出液がたまるメカニズムには主に以下のようなものがあります。

  • アルブミン不足;血漿の成分であるアルブミンは、血管内の水分量を調節する役割を持ちます。肝硬変になるとアルブミンが不足し、血管外に溢れた水分を戻せなくなり、腹水がたまります。
  • 門脈圧の上昇;消化管を巡った血液は門脈という血管に集まって肝臓に運ばれますが、肝硬変によって肝臓内の血行がさまたげられると門脈の圧力が上がり、漏出液が溢れてきます。
  • 腎臓での水分の排出低下;肝疾患を起こすと腎臓への血液量が低下し、尿が出にくくなります。その結果、体内の水分量やナトリウム量が増加して、腹水がたまる原因になります。

炎症性腹水

細菌性腹膜炎、がん性腹膜炎、胃がん、肝がん、大腸がん、胆道がん、膵がん、急性膵炎、卵巣がん、子宮がんなどが原因で起こる腹水がこのタイプで、炎症によって血管内の成分が溢れ出した「滲出液(しんしゅつえき)」が腹水として腹腔内にたまります。滲出液はタンパク質の量が多く混濁していて、凝固しやすい特徴があります[2]。

腹水の症状

腹水が少量であれば自覚症状はあまり見られませんが、1L以上たまるとお腹が膨らんできて、衣類がきつくなったり、体重が増加したりします。また、腹部の膨満感、胃が圧迫されることによる食欲不振や吐き気、肺が圧迫されることによる息切れなどの症状が現れてきます。さらに症状が進むと、血行不良や水分過多による体の冷えや疲れ、倦怠感、足をはじめとする全身のむくみ、食欲減退による栄養不良などの全身状態の悪化につながります[2]。

腹水の検査・治療法

腹水の有無は、腹部を軽く叩いて鈍い音がするかを確認する打診、超音波検査やCT検査によって確認されます。

治療は、食事の塩分制限をしながら、ベッドでの安静が基本になります。また、利尿剤による水分排泄の促進、アルブミンの静脈注射による血管内の水分調整の促進なども行われます。

また腹水が大量の場合には、腹水を抜く治療が行われることもあります。方法としては、腹壁から針を刺し、腹水を吸引除去するというものになります。この治療により、いったんは楽にはなりますが、原因を絶たないと再び腹水がたまります。そのため、原因となる病気を特定して、その根本的治療を行うことが大切です。

また、最近は、抜いた腹水を濾過して再び点滴によって患者の体内に戻す「腹水濾過濃縮再静注法(CART)」という方法が行われることもあります。腹水には栄養分が含まれていて、数リットルの単位で抜いてしまうと、一時的に症状は軽くなるものの、体力は低下します。そこで、抜いた腹水の栄養分だけを濃縮させて、体内に戻すことで全身状態を保つことができるというものです[3]。

お腹が張って腹水が気になる場合には、内科の診療所を受診すれば、診察(打診など)の後、超音波検査やCT検査を受けるかどうかの相談をすることができます。

お腹の張りは、ガスや臓器が大きくなることによっても起こります。詳しくは『腹部膨満感(お腹の張り)はどうして起こる?』『ガスでお腹が張る!ガスだまりのメカニズムと対処法』をご覧ください。

参考文献

  1. [1] 医療情報科学研究所編. 病気がみえる vol.1 消化器. 第5版. メディックメディア 2017;249-251
  2. [2] 小学館・ホームメディカ編集委員会編. 家庭医学大辞典 新版 初版. 小学館 2008;1650-1651
  3. [3] 日本消化器学会. “肝硬変診療ガイドライン2015(改訂第2版)”
  4. http://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/kankohen2_3.pdf(2017-10-02)

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