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産後のトラブル

産後に起こる産褥熱(さんじょくねつ)とは?

更新日:2018/04/23 公開日:2016/04/19

産褥熱は、分娩後10日までに38度以上の発熱が2日以上続く状態をいいます。これはどのような理由で発熱してしまうのでしょうか?どんな人に起こりやすいのでしょうか?ここでは、産褥熱の症状や原因、治療法などについて詳しく解説します。

お産はいつの時代でも、命がけです。つらい陣痛を耐え、分娩を終えた母体はダメージを負っており、なかには産褥熱(さんじょくねつ)を起こしてしまうママもいます。昔は産褥熱で命を落としてしまうような例もありました。しかし現在では抗菌薬(抗生物質)がありますし、分娩時の管理も衛生的になりましたので、産褥熱の発生件数は減少しています。とはいえ、ゼロになったわけではありません。ここでは産褥熱について解説します。

産褥熱とは?

産褥熱とは「分娩終了24時間以降~10日以内に、38℃以上の発熱が2日間以上続く」ことを指す医学用語です[1]。分娩時の子宮や腟などに生じた傷口や、遺残してしまった胎盤の一部や悪露(おろ:産後に腟から排出される分泌物)などに細菌が感染して熱が出るのです。産褥期に発熱を起こす病気には尿路感染症や乳腺炎などもありますが、一般的に産褥熱というときには、子宮とその周囲の感染症のことを指します。

感染の原因は?

出産後の子宮は、分娩によるダメージによって傷ついた状態になっていますが、傷口にはもともと菌がつきやすく、細菌の増殖の誘因になります。また、悪露や胎盤の遺残物などの組織は細菌が増えるにはもってこいの環境なので、それらが残っているとますます細菌が増えてしまうことになります。悪露や分娩の残り物がスムーズに排出されれば、細菌の温床もなくなりますが、傷の治りが遅くなったり、悪露の排出が停滞気味だったりすると、細菌が増えて炎症(自分の体と細菌が戦うこと)がひどくなり高熱が出てしまうことになります。

産褥熱ではどんな症状が出る?

産褥熱の症状は38℃以上の発熱ですが、下腹痛や悪臭のある悪露の持続も伴うことが多いです。発熱や軽度の下腹痛、においのする悪露は正常な産褥経過でもよく認められるものですので、異常との境界は難しいかもしれません。

体温を測るときの注意点

熱を測るときは体温計を腋の下ではなく、肘ではさむようにして測るようにします。産褥の時期は授乳をしていると腋では体温が高めに出て、正しい数値ではありませんので注意が必要です。37.5℃くらいまでは正常でも計測されますが、38℃までいくのは異常といえるでしょう。何回か計測して明らかに38℃以上の体温があり、下腹痛や悪臭のある悪露がでているようであれば病院を受診する必要があります。

産褥熱は早めの治療が重要!

この最初の時点では感染は子宮内もしくは腟内にとどまっているはずですので、適切な治療により比較的早くに回復できますが、この状態を放置してしまうと細菌の感染は子宮をこえて卵管や卵巣などのおなかの中に広がっていってしまいます。

さらに重症化すると、腹膜などへ細菌が侵入・増殖していき、悪寒戦慄、吐き気・嘔吐、強い腹痛などが出ます。最悪の場合は血流内へと細菌が入り込み、敗血症という重篤な状態になります。呼吸が荒くなり、意識が低下し、血圧が下がるなどのショック状態や多臓器不全の状態に陥ります。

近年ではここまでになる人はまれで、多くは子宮内感染症の段階で抗菌薬による治療などを行うことで数日で回復することができます。産後は赤ちゃんの世話にてんてこ舞いで、自分のことは二の次になってしまいがちですが、発熱したら早めに産婦人科を受診するようにしてください。産褥熱は細菌の感染・増殖によるものなので、早く治療すればそれだけ治癒しやすくなります。

産褥熱にかかりやすい人は?

産褥熱は細菌感染の原因や経路がはっきりしないケースも少なくないのですが、下記のような病気を持っているママは産褥熱になりやすいといわれています[1]。

  • 妊娠高血圧症候群
  • 糖尿病
  • 悪露が出にくい病気(子宮筋腫など)
  • 自己免疫疾患
  • 免疫力を下げる薬剤を服用中 など

また、分娩の最中や前後に下記のようなことがあった場合も注意が必要です[1]。

  • 前期破水
  • 細菌性膣炎などの感染症
  • 切迫早産
  • 遷延分娩(お産が長かった)
  • 帝王切開などの産科手術
  • 早産、死産
  • 大量出血
  • 胎盤などの子宮内遺残 など

産褥熱にかかった場合の治療法

ほとんどの場合は外来で投薬治療により治りますが、重症の場合は入院して治療を行うこともあります。治療の柱は抗菌薬の投与で、感染症を引き起こしているおおもとの原因である細菌をやっつけていきます。また、子宮内に胎盤や卵膜の一部が残っているかどうかを確かめ、もし残っているようなら取り除きます。悪露が溜まっているようであれば、それを排出し、内部を洗浄します。組織の中に膿が溜まっている場合は、切開して膿を出すこともあります。すべて細菌の温床をなくすためです。

抗菌薬がなかった時代には、産褥熱で命を落とす人もいましたが、現在は医学が発展してそのような悲劇は起こりにくくなりました。とはいえ、高熱が出ているのに病院に行くのが遅れてしまっては、いくら医学が進歩しても治療が難しくなります。産後10日以内の発熱には注意して、高熱が出たら早めに病院に行くようにしましょう。

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