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漢方薬

アンチエイジングの漢方薬

更新日:2016/12/09 公開日:2016/06/20

病気の治療に使われた漢方薬は、老化予防にも効用がありました。「アンチエイジング」という言葉のない昔から、東洋医学では「ゆるやかに老いること」を可能にしてきたのです。アンチエイジングの漢方薬を、漢方専門医の監修で解説します。

東洋医学でのアンチエイジングは「腎」の機能を改善させることがポイントです。「腎」といっても腎臓ではなく、もっと広い「腎虚(じんきょ)」という概念です。さて「腎虚」に効く漢方薬とはどのようなものがあるのでしょうか。

加齢は五臓の衰えにともなう

東洋医学におけるアンチエイジングは「黄帝内経(こうていだいけい)」、「霊枢(れいすう)」といった中国最古の医学書にも記載があり、長い臨床経験を持っています。

これらの医学書には、次のように記されています。

「人間はおよそ100歳まで生きられるが、50歳頃には「五臓(ごぞう)」の「肝(かん)」が衰え始め、視力が低下してくる。60歳になると「心(しん)」が衰え始め、笑いが少なくなり、物事を悲観的に考えるようになる。70歳を過ぎると「脾(ひ)」が衰え始め、皮膚のシワが増えてくる。80歳になると「肺」が衰え始め、思考が低下してもの忘れがひどくなる。90歳になると、「腎(じん)」が衰え始め、全身の運気が低下する。100歳になると、すべてが虚となり抜け殻になる」

つまり、年齢を重ねるとともに、五臓(肝・心・脾・肺・腎)の働きが衰えていき、最後に腎の機能が低下し、100歳の寿命を迎えると考えられていたのです。

こういった考えに基づき、東洋医学では漢方薬を使って、年齢に応じて治療内容を変化させています。

アンチエイジングに必要なのは「腎虚」のケア

老化による症状として、足腰のだるさ、頻尿・排尿困難、老眼・白内障・視力の低下、耳鳴りや難聴、脱毛・白髪やシワ・皮膚のかゆみ、骨粗しょう症・歯や爪がもろくなる、健忘症、性機能の低下、食欲不振、便通異常などがあげられます。

このうち、東洋医学における加齢は、腎虚 (じんきょ)に該当します。

「腎虚」とは、成長や発育、生殖などに関わる泌尿器・生殖器・腎臓などの「腎」の機能が低下したり、不足している状態を指し、「腎虚=加齢症状」と言い換えることもできます。

腎虚に対する漢方薬を使用することで、アンチエイジングに役立てられます。

アンチエイジングへのアプローチ法

アンチエイジングに対する治療には、次の3つのアプローチ法があります。

(1)腎の強化

出生時に親からもらったエネルギー(気)の減少速度を遅らせる

(2)脾胃(ひい:脾臓と胃)の強化

飲食物からのエネルギー(気)を十分に摂取できるように消化器機能の弱りを治し、食欲を低下させないようにする

(3)瘀血(おけつ)の改善

血液循環を改善する

アンチエイジングの漢方薬

アンチエイジングに使われる漢方薬の考え方として、体力レベルに合わせて薬の種類を決めます。

中高年で比較的体力のない人には、体力を補う働きの生薬が配合された漢方薬が選ばれます。

具体的には、人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、附子(ぶし)、乾姜(かんきょう)、当帰(とうき)、地黄(じおう)、山薬(さんやく)などの生薬を、主剤を補強し、副作用を防ぐための補剤(ほざい)として使います。

逆に、体力のある人には、余分な体力や過剰な反応性を抑制する傾向のある生薬を用いて治療することもあります。この場合は瀉剤(しゃざい)と呼ばれる下剤を使用します。

具体的には、石膏(せっこう)、大黄(だいおう)、黄連(おうれん)、牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)などです。

以下に、具体的な漢方薬をあげます。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

体力は普通か虚弱で、胃腸機能が健全で、特に、加齢にともなう腰部および下肢の脱力感、冷え、しびれ、頻尿、耳鳴がある人に使用します。特に高齢者に頻繁に使用されます。また、副腎疲労の人にも使われます。

六味丸(ろくみがん)

八味地黄丸から桂皮(けいひ)と附子(ぶし)を除いたものです。

比較的体力のない、冷えがなく、口の渇きがある場合に使用します。

腰部および下肢の脱力感、しびれや耳鳴、めまい、ふらつきなどがあるかどうかが、使用するポイントです。副腎疲労の人にも使われます。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

八味地黄丸に利尿作用のある牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)という生薬を加えたものです。

しびれや痛み、尿量減少やむくみが強く、胃腸機能が正常な場合に使用します。副腎疲労の方にも使われます。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

体力がない人に使用され、昔から心気症的傾向(自分は重大な病気にかかっていると思い込む精神時様態)のある女性によく使われています。

脈や腹筋の力が弱く、胸のつかえがあり、背中が急に熱くなったかと思うと後には寒くなるという症状(いわゆる不定愁訴)が多い場合に使用します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

比較的体力のない人や貧血やむくみのある人に向いている、血虚水滞(けっきょすいたい)の漢方薬です。貧血やむくみのある人に向いています。鉄欠乏症の人に鉄剤と併用して処方されたり、婦人科で月経異常、更年期障害の治療のために処方されることがあります。

含まれている当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)という生薬は、体を温める性質を持ち、血液を巡らせます。一方で、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)などの生薬は、余った水分をコントロールする性質を持っているのが特徴です。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

腰椎と仙骨をつなぐ腰仙部(ようせんぶ)の冷感が強く、のぼせ、便秘があり、腹壁の緊張が強い人に使用します。

牡丹皮(ぼたんぴ)を配合しているため、少し冷たい性質ありますが、同時に桂皮(けいひ)も配合されているため、温める性質もあります。また、毛細血管での微小循環改善作用もあります。

加味帰脾湯(かみきひとう)

体力がなく、顔色が悪く貧血傾向で、精神不安、健忘、不眠などの精神神経症状を訴え、全身倦怠感をともなう場合に使用します。

胃腸の働きを改善する四君子湯(しくんしとう)がベースの帰脾湯(きひとう)に柴胡(さいこ)や山梔子(さんしし)、血行を改善する牡丹皮を加えたものです。

釣藤散(ちょうとうさん)

頭痛、頭重感、肩こり、めまい、のぼせ、耳鳴り、イライラなどがある場合に使用します。熱をとり、精神を安定させる石膏(せっこう)が多く含まれていますので、熱が強い人に向いています。

配合されている生薬の釣藤鈎(ちょうとうこう)には、中枢神経抑制作用、血圧降下作用、脳血流保持作用などがあります。また、血管性の認知症にも有効です。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

比較的体力があり、へその上部や下部に動悸があって、便秘傾向で、不眠、多夢、不安、抑うつなどのさまざまな神経症が強い場合に使用します。「腰から下が何となく重い」という症状も、使用の目安になります。

のぼせを改善する桂皮(けいひ)、利尿作用を有する茯苓(ぶくりょう)、鎮静作用のある竜骨(りゅうこつ)や牡蛎(かき)を配合しています。

※大黄(だいおう)を含んでいる場合といない場合とがあります。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

比較的体力がなく、胃腸虚弱な人向きの体力回復剤です。咳、微熱、動悸などの症状がある場合に使います。全身倦怠感(特に四肢)、食欲不振、気力の低下、顔色不良が見られ、温かい飲食物を好む人に使用します。

アンチエイジングに効く抗酸化物質

漢方に使われる生薬には、老化の原因となる活性酸素を防ぐ「抗酸化物質」が含まれています。アンチエイジングにおすすめの抗酸化物質を含む成分を紹介します。

カロチノイド

山梔子(さんしし:クチナシの果実)、番椒(ばんしょう:トウガラシ)、陳皮(ちんぴ:ミカンの皮を乾燥させたもの)などに含まれます。これらの色はカロチノイド色素と呼ばれます。

フラボノイド

植物に多く含まれている黄色やクリーム色の色素。葉・花・果実など日光のよく当たる部分に多く含まれ、紫外線による害から守るためにほとんどの植物が持っています。イチョウの葉、陳皮(ちんぴ)、黄芩(おうごん)、麻黄(まおう)、葛根(かっこん)、甘草(かんぞう)、紅花(べにばな)、桑白皮(そうはくひ)などに含まれています。

タンニン

大黄、芍薬などに含まれています

カフェ酸誘導体

クロロゲン酸(3-カフェオイルキナ酸)をはじめとするカフェ酸誘導体は、植物界に広く分布しています。艾葉(ガイヨウ:よもぎ)には、カフェ酸、クロロゲン酸、ジカフェオイルキナ酸類、ビタミン類が多量に含まれ、カフェ酸の2量体であるロズマリン酸は、蘇葉(そよう)や夏枯草(かごそう)などのシソ科植物を基原とする生薬にも多く含まれています。

リグナン類

五味子(ごみし)、連翹(れんぎょう)、牛蒡子(ごぼうし)、胡麻(ごま)、厚朴(こうぼく)などに含まれています。

サポニン類

朝鮮人参、柴胡(さいこ)、甘草(かんぞう)、遠志(おんじ)、牛膝(ごしつ)、桔梗(ききょう)、木通(あけび)、大棗(たいそう)、知母(ちも)、麦門冬(ばくもんどう)などに含まれています。

漢方薬はさまざまな生薬からできていますので、自分の体に合う生薬の組み合わせを知ることが、アンチエイジングに結びつきます。まずは、漢方専門医に血液検査と東洋医学的な脈と舌と腹部の診察をしてもらいましょう。

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