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漢方薬

眼科における漢方薬

更新日:2016/12/09 公開日:2016/06/20

「眼科と漢方薬」と聞くと、ピンとこない人が多いかもしれません。でも、目の症状が体の不調の一部という場合もあり、体質改善を主眼とする漢方薬で改善することもあるのです。目の不調におすすめの漢方薬を漢方専門医の監修で解説します。

眼科での漢方薬は、目の中の乾燥感や加齢にともなうものなどを解消するために、補助的に使用する場合が大半です。ドライアイ、眼精疲労といった比較的ポピュラーな病気から、白内障、緑内障、眼底出血などの深刻な病気に対しても、漢方薬が役立つことがあります。

ドライアイの漢方薬

西洋薬による治療で効果がない場合や再発をくりかえす症例には、体を潤す作用のある滋潤剤(じじゅんざい)などが有用な場合があります。

大柴胡湯(だいさいことう)

体力があり、胸脇苦満(きょうきょうくまん:みぞおちからわきにかけて重苦しく張っているような状態)や心下痞鞭(しんかひこう:みぞおちがつかえて硬いこと)が認められて、便秘、口の苦さ、耳鳴、肩こりがある場合に使用します。

大黄(だいおう)は排便を促す作用や抗炎症作用を持っているため、特に胸脇苦満や炎症を効果的に抑えることができます。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)

くしゃみを頻発するが鼻水はあまり出ず、鼻の中やのどに乾燥感がある場合に使用されます。また、咳き込んだときに顔が赤くなり、タンの粘りが強く、切れない場合にも使用します。

麦門冬(ばくもんどう)・半夏(はんげ)・人参(にんじん)・粳米(こうべい)・甘草(かんぞう)・大棗(たいそう)からできています。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

体力のない人、特に脈や腹筋の力が弱く、胸のつかえがあり、背中が急に熱くなったかと思うと後には寒くなるという症状(いわゆる不定愁訴)が多い場合に使用します。

昔から、心気症的傾向(身体に感じる些細な異常や痛みを大きくとらえ、自分が重い病気にかかっているのだと思い込んでしまう傾向)のある女性によく使われています。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)

体力のない人や、病後・術後、あるいは慢性疾患などで疲労衰弱している場合に使用します。特に、四肢の倦怠感、貧血、食欲不振、健忘に効果があります。

最近では、認知症の周辺症状などに有効との報告もあります。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

体力は普通か虚弱な人に使用します。

胃腸機能は健全で、腰部および下肢の脱力感、冷え、しびれ、頻尿の症状がある高齢者に、特によく使われています。

眼精疲労の漢方薬

東洋医学では、目に五臓(肝)とのつながりがあるとされています。目に付随する外的要因がある場合に、漢方薬がよいケースがあります。全身的な過労が背景にある場合には、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)、八味地黄丸などを、主薬の補強し、副作用を防ぐための補剤(ほざい)として使います。

抑肝散(よくかんさん)

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

目は東洋医学における「肝」と関係が深いことが経験的に知られています。そのため、抑肝散は、目の奥が痛むときによく使われます。

腎陰(各臓器に滋養作用をする物質)が不足して肝気(かんき:肝臓だけではなく、自律神経、ホルモン系の調整機能、血の貯蔵、精神機能などの機能を総称したもの)があおられると、肝火上炎(かんかじょうえん)といって、目頭がはれて痛む、顔や目が赤い、怒りっぽいなどの症状が見られることがあります。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

目には腎と肝の経絡(けいらく:気血の通り道)が関連していると考えられています。へそ下に力がなかったり、知覚が鈍くなっている場合に使われます。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

比較的体力のない人に使用します。主に、胃腸虚弱な人の体力回復剤として、咳、微熱、動悸などの症状がある場合に使います。

全身倦怠感(特に四肢)や食欲不振、気力の低下、顔色不良が見られ、温かい飲食物を好む人に使用します。

大柴胡湯(だいさいことう)

上記、「ドライアイの漢方薬」を参照してください。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

胃内停水(いないていすい:胃の中で水がチャプチャプと音をたてるような状態)が原因で起こるめまいや立ちくらみに使用します。

五苓散(ごれいさん)から沢瀉(たくしゃ)と猪苓(ちょれい)を除いて、甘草(かんぞう)を加えたものです。五苓散を使用するときのように、口の渇きや悪心・嘔吐、下痢がないことが、苓桂朮甘湯を処方する識別ポイントとなっています。

葛根湯(かっこんとう)

うなじの凝りがともなっているときに使います。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

上記の漢方薬が効かないときに、桂枝茯苓丸のような微小血管の血流をよくする漢方薬が有効な場合もあります。

白内障の漢方薬

漢方薬の治療は、加齢による白内障の治療がほとんどです。

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

体格がよく体力もある人が、暑がり、のぼせ気味で顔面が紅潮し、みぞおちのつかえや便秘を訴える場合に使用します。黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、大黄(だいおう)を配合していることで、特に、便秘の不快な症状をとる作用、消炎作用、解熱作用が増強され、熱を持った症状を取り除きます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

腰椎と仙骨をつなぐ腰仙部(ようせんぶ)の冷感が強く、のぼせ、便秘があり、腹壁の緊張が強い人に使われます。牡丹皮(ぼたんぴ)の配合により、少し冷たい性質が加わっていますが、同時に桂皮(けいひ)も配合されているため、体を温める性質もあります。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

上記、「ドライアイの漢方薬」を参照してください。

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

しびれや痛み、尿量減少やむくみが強く、胃腸機能が正常な場合に使用します。八味地黄丸に利尿作用のある牛膝(ごしつ)と車前子(しゃぜんし)という生薬を加えています。

人参湯(にんじんとう)

慢性の下痢で、比較的体力のない人に使用します。配合している生薬の人参には、「気」を上げて、みぞおちのつかえを取り除く効果があります。

下痢などの胃腸機能の低下、手足の冷え、薄い唾液が口中にたまるなどの症状も考慮して使用します。

緑内障の漢方薬

一般的には、西洋薬で治療をして慢性期を経過したケースに、漢方薬治療が選択されます。

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)

病気の初期で、比較的体力のある人向きです。

麻黄(まおう)・石膏(せっこう)・蒼朮(そうじゅつ)・大棗(たいそう)・甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)から構成されています。

体の熱や腫れ、あるいは痛みを発散して治します。喘息の発作時、口の渇き、発汗、喘鳴が強く、流涙、目の充血をともなう場合に、処方の目安となります。

麻黄の配合量が多いので、動悸などの副作用には要注意です。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

上記、「白内障の漢方薬」を参照してください。

柴苓湯(さいれいとう)

急性・慢性の下痢で体力は普通の方に使用します。胸脇苦満(きょうきょうくまん:みぞおちからわきにかけて重苦しく張っているような状態)があり、尿量減少、むくみなどの症状をともなう場合に有効です。

小柴胡湯(しょうさいことう)と五苓散(ごれいさん)を合わせた漢方薬で、水分代謝異常をともなう免疫系疾患やステロイド剤の副作用軽減などを目的に、広く使われています。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

上記、「眼精疲労の漢方薬」を参照してください。

眼底出血の漢方薬

眼底出血の再発防止や全身の調整をするために、駆瘀血剤(くおけつざい:血行障害を改善する薬)など用いて治療します。

三黄瀉心湯(さんおいしゃしんとう)

上記、「白内障の漢方薬」を参照してください。

通導散(つうどうさん)

体力のある人で、瘀血(おけつ:微小血管循環障害)と胸満・服満をともなう場合に使用します。みぞおちや下腹部に圧痛があり、便秘、腹満、めまい、不眠などの精神症状を伴う場合に有効です。

のぼせに対する効果は、あまり期待できません。

注意点としては、大黄や甘草を配合しているため、使用する場合には副作用(便通が良くなる)には要注意です。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)を配合していることで、特に、消炎作用、解熱作用が増強され、熱を持った症状を取り除く漢方薬です。

比較的体力があり、イライラ傾向とのぼせのある人に使用します。出血傾向のある場合にも用います。

気分がイライラして落ち着かず、胃や胸のあたりにモヤモヤとしたつかえがある人に向いている漢方です。

小建中湯(しょうけんちゅうとう)

膠飴(こうい)・甘草(かんぞう)・桂枝(けいし)・芍薬(しゃくやく)・生姜(しょうきょう)・大棗(たいそう)から構成されています。

冷え性で血色が悪く、筋肉が柔らかかったり、疲れやすく、胃腸が弱くてやせている、また腹壁が軟弱な場合や鼻血が出やすい、おなかが痛むなどの体力のない人や、小児の体質改善に使用します。

目の症状は、他の器官の不調を知らせてくれるシグナルでもあります。あなたの大切な目、漢方薬をうまく活用しながらいたわるようにしましょう。

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