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漢方薬

動悸に対する漢方薬

更新日:2016/12/09 公開日:2016/06/22

激しい運動をした後でもないのに、心臓がドキドキする「動悸」は心臓神経症の一つです。長く続いたり、何回も起こったりすると気になるものです。動悸に有用な漢方薬を、東洋医学に詳しい漢方専門医の監修の記事で解説します。

東洋医学での「動悸」は、心臓への働きかけだけではなく、身体全体の「気」を増やして全身を巡らせ、「水」や「血」の流れを整えるという考え方をします。まず不調の原因を探ってから、上手に漢方薬も活用してみましょう。

動悸とは

「動悸」は心臓神経症の一つです。胸の痛みや息切れ、呼吸困難など、心臓や呼吸器系に集中している症状を主訴としているものの、心臓そのものには器質的な異常がないものを言います。

心悸亢進(こうしん)や呼吸困難、疲労感などの交感神経の緊張亢進(こうしん)症状が高まって来たことをともなうものも、心臓神経症の一つと考えられています。

動悸は20~50代に多く見られ、特徴として育児を終えた更年期の女性に多いとされています。鉄欠乏症も大きく関与しています。血糖調節障害で起こることもあります。

精神的ストレスにより、自律神経やホルモン分泌が影響を受けることが原因と考えられており、血圧や心拍数、呼吸数などが乱れ、これらを胸の痛みや息苦しさとして本人は感じとります。

漢方治療が有用な動悸

動悸の診断は、まず不整脈や狭心症、僧帽弁逸脱症候群などの器質的な病気を除きます。

器質的な病気でない場合、西洋医学では神経症に対する治療と同じもので、主に抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法が選ばれます。

漢方治療が有用と考えられる場面は、西洋薬治療と比べて生活の質を保つことが難しく、心悸亢進(こうしん)や動悸があるのに器質的な病気を見出せないときです。

東洋医学として動悸を起こす原因の病気についての定義は、発作性心頻拍症(突然に脈拍が速くなり、突然に元に戻る状態)を示すことです。

動悸の漢方薬

意識障害や血圧低下をともなう不整脈は緊急を要し、漢方薬は適していないと考えられます。

漢方薬が使いやすいのは、起立性調節障害の症状のある不整脈による動悸などがあげられます。基本的に、基礎疾患の治療が原則で、自覚症状や基礎体力の改善に漢方薬を用いるケースが大半です。

その他、漢方薬が使いやすいケースとして、次の4つがあげられます。

  1. 気の上衝によるのぼせ、冷えのぼせ、動悸
  2. 気の停滞による抑うつ気分・咽頭部のつまり感
  3. 水の偏在によるめまいや動悸
  4. 血の滞りによるほてり感、手足の冷え

具体的な漢方薬を紹介します。

(1)気の上衝の場合の漢方薬

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

五苓散(ごれいさん)から沢瀉(たくしゃ)と猪苓(ちょれい)を除いて、甘草(かんぞう)を加えたものです。五苓散のような口の渇きや悪心・嘔吐、下痢がないことが、処方する識別ポイントとなっています。

胃内停水(いないていすい:胃の中で水がチャプチャプと音をたてるような状態)が原因で、水の動揺が生じることによるめまい、立ちくらみに使用します。冷えのぼせがある場合にも使用します。

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

比較的体力のない人に使用します。桂枝湯(けいしとう)にカルシウムなどを多く含む竜骨・牡蛎(りゅうこつ・ぼれい)を加えたもので、気分を安定させて、精力異常を改善させる漢方薬です。

やせて顔色が悪く、神経過敏、精神不安、抑うつ気分を訴え、心悸亢進(こうしん)、腹部大動脈の拍動亢進(こうしん)、インポテンツなどの性欲低下、寝汗、手足の冷え、疲れやすさをともなう場合に使用します。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

比較的体力のある人に使用します。へその上部や下部に動悸があって便秘傾向があり、不眠、多夢、不安、抑うつなど、さまざまな神経症が強い場合に使用します。

腰から下が何となく重いという症状も、この漢方薬を使用する目安になります。のぼせを改善する桂皮(けいひ)、利尿作用を有する茯苓(ぶくりょう)、鎮静作用のある竜骨・牡蛎(りゅうこつ・ぼれい)を配合しています。

便通が良くなる生薬「大黄」を含んでいる場合といない場合とがあります。

(2)気の鬱滞の場合の漢方薬

厚朴(こうぼく)・蘇葉(そよう)・香附子(こうぶし)などが配合された漢方薬が使われます。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

体力は普通か、あまりない人に使用します。気のめぐりをよくし、上衝した気を下げる作用をもつ気剤(きざい)の代表的な漢方薬です。

小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)に厚朴(こうぼく)と蘇葉(そよう)を加え、気の変調を整える作用を持っています。

(3)水の偏在の場合の漢方薬

茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)などの、水の偏りをなくす生薬が使用されるケースが多いです。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

比較的体力のない人に使用します。胃腸虚弱で血色が悪く、冷え性で持続性の頭痛、めまい、肩こりなどをともなう場合に使用します。

めまいや頭痛に効果のある天麻(てんま)が配合されていることが特徴です。また、消化機能調整作用が強く、水分代謝作用もあるため水滞(すいたい:水分の偏り)によるめまいや頭痛にもよく用いられます。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

上記、(1)を参照してください。

(4)血の滞りの場合の漢方薬

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

腰椎と仙骨をつなぐ腰仙部(ようせんぶ)の冷感が強く、のぼせ、便秘があり、腹壁の緊張が強い人にも使用します。

牡丹皮(ぼたんぴ)を配合しているため少し冷たい性質が加わっていますが、同時に桂皮(けいひ)も配合されているため、温める性質もあります。ほてり感からくる動悸などに使用します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

比較的体力のない人に使用します。血虚水滞(けっきょすいたい)の漢方です。婦人科処方としても処方されることが多く、月経異常、更年期障害があることを目安に使用されます。貧血やむくみのある人に向いています。

当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)という生薬が温かい性質を持ち、血液をめぐらせるとともに、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)などで余った水分をコントロールする性質もあります。

手足の冷えがある場合の動悸に使用します。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

弛緩性の便秘で、体格がよく、体力のある人に使用します。左下腹部に抵抗や圧痛があり、便秘、のぼせ冷えの症状、頭痛、めまい、肩こり、耳鳴り、不眠などの精神症状や、腰痛、月経痛をともなう場合に使用します。便秘があることが一つの特徴で、冷えのぼせからくる動悸に使用します。

最後に

心臓は丈夫なはずなのに、しょっちゅう胸がドキドキする……そんな症状を感じるときは、心身の不調を知らせるシグナルなのかもしれません。血液検査や心電図などの検査は早めに行いましょう。

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