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漢方薬

女性における漢方薬

更新日:2016/12/09 公開日:2016/06/22

月経や妊娠・出産、女性ホルモンに関わる婦人病は、年齢を問わず、多くの女性を悩ませています。体調不良の原因を理解しつつ、漢方薬を上手に使う方法について、漢方薬と栄養学に詳しい漢方専門医の監修で解説します。

婦人病には、実に多種類の漢方薬が使われています。さまざまな愁訴や西洋薬で治療しにくい症状などに、漢方薬が効く場合があります。婦人病の症状ごとによいとされる漢方薬についてご紹介します。

月経異常(月経不順)の漢方薬

東洋医学では、月経異常の病態のことを「血の道」といい、駆瘀血剤(くおけつざい)などの漢方薬が多く使われます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

腰椎と仙骨をつなぐ腰仙部(ようせんぶ)の冷感が強く、のぼせ、便秘があり、腹壁の緊張が強い人に使われます。

牡丹皮(ぼたんぴ)を配合しているため少し冷たい性質が加わっていますが、同時に桂皮(けいひ)も配合されているため、体を温める性質もあります。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

弛緩性の便秘で体格がよく、体力のある人に使用します。

左下腹部の抵抗や圧痛があり、便秘、のぼせ冷えの症状、頭痛、めまい、肩こり、耳鳴り、不眠などの精神症状や腰痛、月経痛をともなう場合に使用します。

通導散(つうどうさん)

体力のある人に使用します。瘀血(おけつ:血行障害などの血の巡りが悪い状態のこと)と、みぞおちから胸のあたりが張ったり、お腹が張るような症状をともなう場合に使用します。のぼせに対してはあまり効果がありません。

みぞおちや下腹部に圧痛を訴え、便秘、腹満、めまい、不眠などの精神症状をともなう場合に使用します。

便通を良くする大黄や甘草を配合しているため、使用する場合には注意が必要です。

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)

体格がよく、体力もある人が、暑がり、のぼせ気味で顔面が紅潮し、みぞおちのつかえや便秘を訴える場合に使用します。

黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、大黄(だいおう)を配合していることで、便秘を解消する作用、消炎作用、解熱作用が増強され、熱を持った症状を取り除きます。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

体力がない人に使用します。脈や腹力が弱く、胸のつかえや背中が急に熱くなったかと思うと、あとに寒くなるという症状がある、いわゆる「不定愁訴」が多い場合に使用します。昔から女性の心気症的傾向の症状によく使われています。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

比較的体力のない人に使用します。顔色が悪く、体液の代謝が悪い「血虚水滞(けっきょすいたい)」の人に向いた漢方です。

婦人科で処方されることが多く、月経異常や更年期障害があることを目安に使用されます。貧血やむくみのある方向きの漢方薬です。

当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)という生薬が温かい性質を持ち、血液を巡らせるとともに茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)などで余った水分をコントロールする性質もあります。

温経湯(うんけいとう)

比較的体力のない人に使用します。桂皮(けいひ)や呉茱萸(ごしゅゆ)などの深部を温める生薬、人参(にんじん)・生姜(しょうきょう)などの胃腸を整えるもので構成されています。

月経痛や生理不順などの婦人科的な病気をともない、下腹部の冷え、腰周りの冷えや痛み、胃腸の弱さを感じる冷え性に有効です。経血量が少ない、皮膚が乾燥するといった、うるおいの少なさを感じる場合に使われます。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

体力の有無に関係なく、頓服的に使用します。急激に生じた筋肉のけいれんを治します。

けいれんを鎮める作用のある芍薬と緩和作用のある甘草で構成されています。急激に両側の腹直筋が棒状に硬くなってけいれんする「けいれん性疼痛」に使用します。

他の漢方薬に比べて、甘草の含有量が多いため、低カリウム血症や血圧上昇などの副作用には注意する必要があります。

月経困難症・月経前症候群の漢方薬

月経困難症などの症状には、精神や体の症状が多く見られ、西洋薬の選択が難しい場合もあります。その際には、漢方薬で駆瘀血剤(くおけつざい)を中心に、よい効果が出る場合があります。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

五積散(ごしゃくさん)

体力が普通の人に使用します。

寒さや湿気による腰痛や下肢の痛みを訴え、月経困難症などに使用します。上半身のほてりや下半身の冷えなど、寒さや暑さなどに対応できず、不調を訴える場合に使用します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

温経湯(うんけいとう)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

不妊症の漢方薬

漢方薬が向いているのは、冷え性や虚弱体質による症状です。長期服用が必要になることが多いとされています。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

温経湯(うんけいとう)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

不育症の漢方薬

不育症には、流産を防止する安胎作用のある補血剤(ほけつざい:肝や腎の臓器の機能を高め自然治癒力をつける薬)がよく使われ、妊娠前から出産まで服用されています。

ステロイドに似た作用がある漢方薬として、有用性が評価されることが多いです。

柴苓湯(さいれいとう)

急性・慢性の下痢で、体力は普通の人に使用します。

小柴胡湯(しょうさいことう)と五苓散(ごれいさん)を合わせたもので、水分代謝異常をともなう免疫系の病気やステロイド剤の副作用軽減などを目的に、広く使われています。

胸脇苦満(きょうきょうくまん:みぞおちからわきにかけて重苦しく張っているような状態)があり、尿量減少、むくみなどの症状をともなう場合に使用します。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

温経湯(うんけいとう)

上記、「月経異常(月経不順)の漢方薬」の欄を参照してください。

妊娠悪阻(つわり)の漢方薬

重症例では、適切な薬物療法や点滴が必要なため、漢方薬は用いられません。そのため、比較的軽症例に用いられ、利水作用のある漢方薬や吐き気を鎮める作用のある漢方薬が使用されます。

吐き気や嘔吐があるときは、湯に溶き冷ました後、数回に分けて服用してください。

小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)

体力が普通の人に使用します。

半夏(はんげ)には吐き気を抑える作用があり、生姜(しょうきょう)は胃を温めて消化機能を改善します。茯苓(ぶくりょう)は利水作用を持っていて水分バランスを調節します。

吐き気や嘔吐が主訴で、みぞおちがつかえ、指で押すとポチャポチャと音がなるようなとき、めまい、口か渇くとき、食欲不振がある場合に使用します。

五苓散(ごれいさん)

体力が普通の人に使用します。利水作用のある生薬がメインに含まれ、体液の過剰や偏っている場合に用いる漢方薬です。

口の渇きや尿量が少ないことを目安に、むくみ、頭痛、めまい、耳鳴、動悸、息切れなどの症状をともなう場合に使用します。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

体力は普通か、ない人に使用します。

気のめぐりをよくし、上がった気を下げる作用をもつ代表的な漢方薬です。小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)に厚朴(こうぼく)と蘇葉(そよう)を加えた漢方薬で、気の変調を整える作用を持っています。

人参湯(にんじんとう)

慢性の下痢で、比較的体力のない人に使用します。

配合生薬の人参には、気を上げてみぞおちのつかえを取り除く効果があります。下痢などの胃腸機能の低下、手足の冷え、薄い唾液が口中にたまるなどの症状も考慮して使用します。

最後に

このように、漢方薬は、体力や体質、症状の程度などによって、個人個人で合う薬の種類が変わります。また、女性の諸症状の背景に鉄欠乏症や血糖調節障害などの栄養学的な問題がある場合もあります。医師のもとで、食生活に気をつけながら、自分にあった漢方薬を見つけてみるのもよいでしょう。

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