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漢方薬

皮膚科における漢方薬

更新日:2016/12/09 公開日:2016/06/19

皮膚科における漢方薬は西洋医学的治療や外用薬で効果が得られない場合に使用されます。皮膚の症状にあわせた漢方や西洋薬と併用することによって治療効果など、漢方専門医の監修の記事で解説します。

さまざまな肌トラブルや皮膚疾患の治療において、西洋医学的治療や外用薬で効果が見られない場合は、皮膚科で漢方薬を処方することがあります。ここでは、主な肌トラブルや皮膚疾患に適した漢方薬を紹介します。

アトピー性皮膚炎の漢方薬

西洋薬的止痒剤で軽快しないかゆみ・紅斑に対して、外用剤と併用して使用します。成人のかゆみ、紅斑の強い症例で使用するケースが多いです。

白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

体力のある方に使用し、皮膚を潤しながら冷やしてくれます。構成生薬の石膏(せっこう)と知母(ちも)で全身の熱を冷まし、口渇を改善させ、人参や粳米(こうべい)で体力を回復させる作用があります。ほてりや多尿、多汗、熱症や乾燥に使用します。通常、便秘がない場合に使用することが多いです。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

比較的体力があり、イライラ傾向やのぼせのある方に使用します。また出血傾向のある場合にも用います。気分がイライラして落ち着かず、胃や胸のあたりにモヤモヤとしたつかえがある方向けです。

特に黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)を配合していることで消炎作用、解熱作用が増強されており、熱を持った症状を取り除く漢方薬です。

消風散(しょうふうさん)

比較的体力のある方に使用し、亜急性・慢性の皮膚疾患、患部に熱感があり、分泌物が多く湿潤・発赤、激しい掻痒感、温まると症状が悪化する場合に使用します。

荊芥(けいがい)と防風(ぼうふう)には清熱作用があり、木通(もくつう)、朮(じゅつ)は利水作用を有しています。湿熱を治す漢方薬です。

温清飲(うんせいいん)

体力は普通の方に使用します。血の不足を改善する四物湯(しもつとう)という漢方薬と、清熱作用をもつ黄連解毒湯(おうれんげどくとう)との合方です。のぼせなどの上半身の症状と血行障害などからくる足の冷えを治す漢方薬です。

不安、不眠の精神症状と出血傾向、発熱、熱感、激しい掻痒感があり、分泌物の少ない慢性の皮膚症状をともなう場合に使用します。皮膚が浅黒く、肌荒れしている場合に試用します。

柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)

体力は普通でアレルギー体質の方に使用します。消炎・発散作用のある柴胡や薄荷や連翹、栝楼根、排膿作用のある桔梗と牛蒡子を配合している体質改善の漢方薬。荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)と類似しています。

神経質で怒りっぽく、情緒不安定、触るとくすぐったがり、不眠、夜泣きなどの症状がある場合に使用します。慢性湿疹などに使用します。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)

体力は普通またはある方に使用します。解毒機能や排膿機能の低下を改善する漢方薬です。炎症性、化膿性の皮膚疾患に使用されたり、アレルギー体質の方にも使用します。

患部は発散性あるいは、びまん性の発疹で覆われ、乾燥し、滲出液は少なく、激しいかゆみ、化膿をともなう場合に使用します。

慢性湿疹の漢方薬

西洋薬での治療効果が思わしくない場合や外用ステロイドの長期連用による副作用が心配されるケース、ステロイド忌避、再発を繰り返す症例に多く使用します。

消風散

上記、「アトピー性皮膚炎の漢方薬」の欄を参照してください。

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)

体力はある方に使用します。顔面・頭部の熱性皮膚疾患に有効な浜防風(はまぼうふう)、連翹(れんぎょう)、荊芥(けいがい)、薄荷(はっか)を加えたもので、化膿性皮膚疾患に使用します。便秘傾向、首から上の発疹で発赤が強く、ほてり、熱感、化膿している場合に使用します。

十味敗毒湯

上記、「アトピー性皮膚炎の漢方薬」の欄を参照してください。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

腰仙部の冷感が強く、のぼせ、便秘があり、腹壁の緊張が強いものに使われます。牡丹皮(ぼたんぴ)を配合しているため少し冷たい性質が加わっておりますが、同時に桂皮(けいひ)も配合されているため温める性質もあります。

温清飲

上記、「アトピー性皮膚炎の漢方薬」の欄を参照してください。

当帰飲子(とうきいんし)

体力は少ない方に使用します。高齢者や虚弱体質などで、軽度の貧血や四肢冷感があり、皮膚乾燥し、掻痒がある場合に使用します。激しい掻痒感があり、分必物が少なく、皮膚が乾燥傾向にある場合に使用します。冬場や夜間に悪化する高齢者に使用する場合が多いです。

酒さの漢方薬

西洋医学的治療で軽快しづらい、ほてり感やひりひり感などに使用されるケースが多いです。

白虎加人参湯

上記、「アトピー性皮膚炎の漢方薬」の欄を参照してください。

桂枝茯苓丸

上記、「慢性湿疹の漢方薬」の欄を参照してください。

十味敗毒湯

上記、「アトピー性皮膚炎の漢方薬」の欄を参照してください。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

体力はない方に使用します。脈や腹力は弱く、胸のつかえや背中が急に熱くなったかと思うと、あとに寒くなるという症状があって、いわゆる不定愁訴が多い場合に使用します。昔から女性の心気症的傾向の症状に繁用されます。

皮膚掻痒症の漢方薬

抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服で効果が出にくい場合に漢方薬が併用されます。保湿クリームなどと基本的に併用で用います。

温清飲

上記、「アトピー性皮膚炎の漢方薬」の欄を参照してください。

当帰飲子

上記、「慢性湿疹の漢方薬」の欄を参照してください。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

体力は普通か虚弱な方に使用します。特に高齢者に頻繁に使用され、胃腸機能が健全で、腰部および下肢の脱力感、冷え、しびれ、頻尿の緩和と改善を目標に使用します。

凍瘡(しもやけ)の漢方薬

漢方薬は西洋薬外用との併用で使用する場合が多いです。毎年凍瘡があるような場合ですと早期から服用すると効果が安定します。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

冷え症の代表的な処方です。体力がない方に使用します。当帰(とうき)、呉茱萸(ごしゅゆ)、細辛(さいしん)が身体を温める効果のある生薬です。

寒冷のために手足が冷えて痛み、下腹部痛、腰痛、頭痛、全身倦怠感、凍瘡を訴える場合に使用します。

温経湯(うんけいとう)

比較的体力のない方に使用します。桂皮(けいひ)や呉茱萸(ごしゅゆ)などの深部を温める生薬、人参(にんじん)・生姜(しょうきょう)などの胃腸を整えるもので構成されています。

月経痛や生理不順などの婦人科疾患をともない、下腹部の冷え、腰周りの冷えや痛み、胃腸の弱さを感じる冷え症に有効です。経血量が少ない、皮膚が乾燥するといったうるおいの少なさを感じる場合に使われます。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

比較的体力のない方に使用します。血虚水滞(けっきょすいたい)の漢方です。婦人科で処方されることが多く、月経異常、更年期障害を目標に使用されます。

貧血やむくみのある方向きの漢方薬です。当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)という生薬が温かい性質を持ち、血液を巡らせるとともに茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)などで余った水分をコントロールする性質もあります。

最後に

漢方薬だけで調子がよくならないと感じたときは、糖質の摂りすぎなどの食生活の見直しも必要かもしれません。医師と相談しながらビタミンAや亜鉛やビタミンB群や蛋白代謝改善、ビタミンC、EPAなど栄養学的なアプローチも併用して、体質改善をしていきましょう。

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