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梅毒

梅毒にかかる主な原因とは

更新日:2017/04/12 公開日:2017/03/31

大利昌久先生

この記事の監修ドクター

おおり医院 院長

大利昌久先生

この病気・症状の初診に向いている科
性感染症内科

梅毒はペニシリンによる治療が確立されてからその発生率は激変しています。ただ、近年の報告で前年比1.4倍の増加との報告もあり、動向が気になるところです。梅毒の基本的な知識とその原因をドクター監修の記事でお伝えします。

梅毒は、世界の広範囲に分布している疾患です。ペニシリンの汎用がその発生を抑えていますが、世界の各国で幾度かの再流行も報告されています。梅毒のメカニズムや感染のケースなどを知っておきましょう。

梅毒の原因

1998年に制定された感染症予防法は従来の「性病予防法」「エイズ予防法」「伝染病予防法」の3つを統合した

法律ですが、梅毒は感染症予防法上、五類感染症の6号に分類される感染症です。梅毒の感染の原因となる病原体は学名が「
Treponema pallidum subsp.Pallidum」、梅毒トレポネーマ・パリダム(TP)(以下より、梅毒トレポネーマと表する)と呼ばれる螺旋状菌です。梅毒トレポネーマはクネクネと旋回する、長さ6~20μm・直径0.1~0.2μmの病原体ですが、通常使用されている明視野光学顕微鏡では目視できません。暗視野顕微鏡を使用することで視認できますが、その際に青白い色彩を放つため、淡蒼球(蒼いもの)「pallidum」が学名に使われています。梅毒トレポネーマには乾燥や低温に非常に弱く、低酸素状態でなくては生存できないという特性があります。そのため、梅毒の感染経路はかなり限定されています。

梅毒が起きるメカニズム

梅毒トレポネーマは、現在のところウサギの睾丸内での培養以外、試験管などで培養することが不可能です。その培養の難しさから、病原性の仕組みはほとんど解明されていない状態です。しかし、1998年には全ゲノムのDNA配列が公開されその際、哺乳類の培養細胞へ接着する働きを担っているのではと考えられる遺伝子群が発見されています。そのため、梅毒トレポネーマの病原性と哺乳類の培養細胞への侵入や接着を働きかける能力(侵入能・接着能)との関連が議論されています。

梅毒が感染する主なケース

上記のように、梅毒の原因となる梅毒トレポネ−マは低酸素状態以外では長くは生存できず、低温や乾燥にも大変弱いという性質を持っています。殺菌剤でも簡単に死滅するといわれており、梅毒の感染経路や形態は非常に限定されていると言えます。ほとんどの場合、感染経路は梅毒トレポネーマを排出している感染者との疑似性行為や性行為によるものです。主に感染している部位が粘膜や皮膚と直接触れることにより感染します。大変まれなケースとしては多量の梅毒トレポネーマに汚染された物品に傷のある手や指で接触し、伝播したとの報告もあるようです。しかし、このような例は大変珍しく、主な感染経路は膣性交やオーラルセックス、アナルセックスによるものです。病変部位が口にあるケースではキスでも感染する場合があります。

近年においては、梅毒トレポネーマの生存期間の研究や保存血液中の血液のスクリーニングが進み、輸血による感染の報告はほとんどありません。しかし、第1潜伏期感染者においては臨床症状がなく、および血清反応も陰性です。よって、緊急輸血などの新鮮血が必要とされ第1潜伏期感染者から輸血がなされた場合には感染の可能性は否めないと考えられます。これら以外の感染経路としては、先天梅毒の原因となる母体感染があります。これは、梅毒トレポネーマに感染した妊婦の胎盤から胎児へと感染するものです。

梅毒は何科を受診するとよい?

梅毒は感染症予防法上、五類感染症に分類されていて、すべての医療機関のドクターは梅毒と判断を下した場合、診察後7日以内に最寄りの保健所に届け出なくてはいけません。このように梅毒は届出の義務がある感染症ですので診察を受け、診察の際に性病の疑いがあれかまたは、検査をしたい由を伝えればすべての医療機関で検査は実施されると考えられます。梅毒の検査自体は、すべての医療機関および保健所で実施可能です。

梅毒での受診は、本来ならは性感染症内科または性病科での受診をおすすめしますが、まだ疑いや不安を持っているだけの段階、あるいは性器周辺にかゆみや違和感がある状態などでは、女性なら婦人科、男性なら泌尿器科を受診するのが一般的なようです。また皮膚に異常が現れている場合は皮膚科で受診する方もいるようです。

梅毒の治療法

海外での梅毒の治療法は、もっとも質の高いペニシリンの一種として知られるベンジルペニシリン(ペニシリンG)を筋肉注射によって、単回投与する方法が一般的なようです。しかし、日本ではこのペニシリンGの筋肉注射は認められていません。日本性感染症学会による性感染症診断・治療のガイドラインにより推奨されている治療方法は、長期間にわたって経口合成ペニシリン剤などを使用すること(抗生剤のアモキシシリン・ミノマイシン・エリスロマイシンなどを4週間以上内服する)です。現在までのところ、ペニシリンの耐性菌の報告はなく、ペニシリンは、梅毒の原因となる病原体、梅毒トレポネーマを死滅させることができると考えられているようです。通常、梅毒の治療薬としての第1選択肢はペニシリン系の抗菌薬ですが、ペニシリンが使用できないペニシリンアレルギーの患者には、マクロライド系かテトラサイクリン系の抗菌薬が選択されます。なお、アミノグリコシド系やニューキノロン系の抗菌薬は効果がないと考えられています。

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