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中耳炎

中耳炎を放置するとどうなる?

更新日:2018/04/13 公開日:2017/03/29

森本雅太先生

この記事の監修ドクター

森本耳鼻咽喉科 院長

森本雅太先生

中耳炎になると、耳の痛み、難聴、耳閉感、耳だれなどが起こります。病院に行った方がいいとは思いつつ、放置している人もいるのではないでしょうか。ここでは、中耳炎を放置したままだと、どのような症状が起こるのか、中耳炎の種類ごとにドクター監修のもと解説していきます。

中耳炎になると、耳が痛くなったり、聞こえが悪くなったり(難聴)、詰まったような感じになったり(耳閉感)、耳だれ(耳漏)が起こったりします。これらは不快な症状ではありますが、我慢すれば日常生活を送れなくはありません。耳鼻咽喉科などの病院に行った方がいいとは思いつつ、時間が取れずに放置したままにしている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、中耳炎を放置したままだと、どのような症状が起こるのか、中耳炎の種類ごとに解説していきます。なお、取り上げた中耳炎の解説については『中耳炎の種類について』をご覧ください。

急性中耳炎を放置するとどうなる?

急性中耳炎は乳幼児などに多くみられる耳の病気です。風邪(かぜ)に引き続いて起こることが多く、中耳炎の症状が軽い場合は治療をしなくても自然に治ります。これは、急性中耳炎を起こす原因となっているウイルスや細菌を身体の抵抗力でやっつけることができるからです。多くは数日で症状が落ち着いてきます。

しかし、1週間経っても症状がおさまらない、また発症から数日のタイミングでも、症状が強くなってくるようであれば、身体の抵抗力では押さえ込むことが難しい状態になっていると考えられます。こうなると病院(耳鼻咽喉科)での治療が必要になってきます。急性中耳炎が悪化する場合は細菌感染が原因になっていることが多く、抗生剤(抗菌薬)による治療などが必要になります。この薬はドラッグストアでは買えません。また、放っておくと悪化して慢性化してしまう可能性があるので、長く様子を見すぎずに早めに病院に行くことをおすすめします。

なお、急性中耳炎の痛みへの対処法については、『中耳炎による痛みを緩和する方法』をご参照ください。

慢性中耳炎を放置するとどうなる?

急性中耳炎を放置しつづけたり、きちんと治療しないままで何度も繰り返したりすると、慢性中耳炎になってしまう場合があります。鼓膜に穴が開きっぱなしになり、そこから細菌が入り込んでさらに炎症が起こります。炎症が続くと、膿が出て、耳の外にたれてきます(耳だれ、耳漏)。鼓膜に穴が開いていて、耳の中に膿がたまっているので、常に聞こえが悪くなります(難聴)。耳鳴りや耳の閉塞感も起こります。

慢性中耳炎を放置し続けると、中耳よりもさらに奥の内耳にまで炎症が広がり、より治療の難しい難聴になるおそれがあります。聞こえを改善するために補聴器を付けようとしても、耳だれが邪魔になります。耳だれをそのままにしておくと、耳の中にある音を伝える骨(耳小骨)が溶けたり、内耳にある平衡感覚を司る器官も障害されたりして、めまいも起こってきます。

慢性中耳炎になってしまうと、自然治癒はほとんど望めません。悪化する前に耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療をきちんと受けてください。

滲出性中耳炎を放置するとどうなる?

滲出性中耳炎は小学生くらいまでの小児がかかりやすい病気です。鼓膜に問題がなければ発症から3か月間であれば自然治癒が期待できます。しかし、3カ月を過ぎると自然治癒は難しいといわれています[1]。

滲出性中耳炎では、鼻と耳をつなぐ耳管の機能が何らかの原因によって悪くなることで起こります。空気の通りが悪くなり、中耳の空気が減り(陰圧になり)、鼓膜が耳の奥の方へ引っ張られます。こうなると、鼓膜が振動しにくくなり、音を聞き取りにくくなります。この状態が続くと、中耳の中に体液(滲出液)が染み出してきて、たまるようになってしまいます。

滲出液が中耳に長時間たまり続けると、ネバネバしてきて、余計に鼓膜が振動しにくくなり、難聴が悪化します。これを放置しておくと、難聴による言語発達の遅れや学習の妨げになったり、他の中耳の病気に発展したりしてしまいます。まれに、次項で解説する真珠腫性中耳炎になってしまうこともあります[1]。

真珠腫性中耳炎を放置するとどうなる?

真珠腫性中耳炎は中耳炎の中でもっとも怖い病気です。鼓膜の一部が耳の奥にへこみ、そこに耳垢が溜まっていって、まるで真珠のような見た目の「真珠腫」ができます。この真珠腫にいったん細菌が住み着いてしまうと、骨を溶かす酵素を作り出します。そうすると、周囲の骨を溶かして大きくなり、深部へともぐっていきます。

最初は、中耳と内耳をつないで音を届ける耳小骨が溶かされ、難聴になります。このまま放置すると、内耳が障害されてめまいを起こし、顔面の神経を侵して麻痺させ、やがて頭蓋内にまで至って脳膿瘍(のうのうよう)や髄膜炎(ずいまくえん)などといった命にかかわる病気を引き起こします。

このように、真珠腫性中耳炎は周りの組織を壊してしまうので、その分壊された組織は元に戻りません。治療が遅れれば遅れるほど後遺症も残りやすくなるので、なるべく早く病院に行くべき病気です。

参考文献

  1. [1]日本耳科学会,日本小児耳鼻咽喉科学会編. 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年版 金原出版

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