乳児湿疹とは、乳児期に起きやすい湿疹を総称する呼び名の一つです。乳児湿疹のピークは、生後3~5か月といわれており、ほとんどのトラブルは肌の機能が整う1~2歳ころまでに解決するといわれています。乳児期は非常に肌が弱く、乳児湿疹にもさまざまな原因や症状があるため、治療や予防法の種類は多岐にわたります。そのような乳児湿疹について、ここで正しい知識と治療法を学び、大切な赤ちゃんの肌を守っていきましょう。
赤ちゃんの肌に湿疹ができる原因
乳児の肌は、大人の肌と比べてバリア機能が非常に弱い状態です。乳児期には、おむつかぶれやあせも、洋服かぶれなどさまざまな肌トラブルが起きますが、その多くはこのバリア機能の未熟さが原因だとされています。生まれて間もないころは、比較的脂っぽい肌質をしており、5か月を過ぎるころに今度は乾燥しやすい状態になるといわれています。
また、乳児湿疹はアレルギーとは全く別物です。しかし、湿疹が原因で破壊された肌バリアに、ダニや花粉などが侵入することで、アレルギーや喘息(ぜんそく)のきっかけになるといわれています。将来的なアレルギーや喘息を予防するためにも、赤ちゃんの肌に異常がみられる場合には、すみやかに医師に相談しましょう。
赤ちゃんに多い湿疹の症状
乳児期に起こりやすい湿疹の症状を種類別にご紹介していきます。
乳児乾燥性湿疹
皮膚が乾燥して、カサカサした湿疹がみられます。肌の乾燥が原因でかゆみを感じ、かきむしることで湿疹ができてしまうといわれています。
乳児汗疹(あせも)性湿疹
夏や寝ているときに、大量にかいた汗が原因で赤い湿疹ができることがあります。
乳児脂漏性湿疹
赤や黄色のじゅくじゅくとした湿疹です。生まれて間もない赤ちゃんにできやすい湿疹で、顔や頭にあらわれることが多いとされています。お母さんのおなかにいたときのホルモンの影響で皮脂の分泌が多いことが原因ですので、時間が経てばおさまることが多いといわれています。
おむつかぶれ
おむつを当てていた部分に赤い湿疹ができます。尿などでおむつの中が蒸れることが原因で、雑菌が発生しやすくなっています。おむつのゴム部分(おなかやふとももなど)がかぶれている場合は、おむつがきつく、圧迫されていることが原因である可能性が高いと考えられます。
アトピー性皮膚炎
基本的には、乳児期にアトピー性皮膚炎の診断基準は満たしていないとされており、病院でアトピー性皮膚炎だといわれることはまれであると考えてください。湿疹の状態がひどく、長期化している場合は、アトピー皮膚炎の前段階といわれることがあるかもしれません。
赤ちゃんの肌に湿疹ができたときの対処法
赤ちゃんに湿疹があらわれたら、自己判断はせずに、まずは小児科や皮膚科を訪れましょう。言葉の話せない乳児の湿疹について、素人では症状の区別がつきにくく、正しい判断ができない可能性がありますので、気になる症状があればすぐに医師に診てもらうとよいでしょう。以前に処方された薬を代用したり、大人用の市販薬を使用したりすると、かえって症状が悪化することがあるかもしれません。乳児期の肌の状態は常に変化しており、トラブルの原因は毎回同じとは限りません。都度医師に相談するようにしてください。
病院における乳児湿疹の治療
乳児湿疹の治療に、塗り薬や内服薬を用いることがあります。小さい身体に薬を与えることに、不安を感じる人もいると思いますが、医師の指導のもと正しく薬を使用すれば問題はないとされています。過剰に敏感にならず、医師の指導に従って一日でも早く赤ちゃんの湿疹を治してあげましょう。
乳児乾燥性湿疹
乾燥が原因でおこる湿疹には、ワセリンなどの保湿剤の塗布と、かゆみを和らげる抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服などが効果的とされています。
乳児汗疹(あせも)性湿疹
乾燥性湿疹と同じく、かゆみをおさえるには抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤内服、クリーム基剤の塗り薬がよいとされています。
乳児脂漏性湿疹
脂っぽいかさぶたがついている場合は、乳児用シャンプーやせっけんで脂を洗って落としてください。分厚く固いかさぶたになっていた場合は、ワセリンやオリーブオイルなどを染み込ませて柔らかくしてから手でほぐすと取れやすくなります。
おむつかぶれ
かぶれをおさえる塗り薬を、おむつ替えの度に塗るとよいといわれています。
アトピー性皮膚炎
継続的に塗り薬を使用し、症状がひどい場合には抗アレルギー剤などの内服薬を併用することがあります。
乳児湿疹を予防するスキンケア方法
乳児乾燥性湿疹
日頃から肌が乾燥しないように保湿剤を塗ってあげるようにすると予防できるといわれています。
乳児汗疹(あせも)性湿疹
入浴やシャワーで汗を十分に洗い流すようにしましょう。また、汗の量が多いと感じる場合は、涼しい格好をさせてあげましょう。エアコンを使うことも有効です。
乳児脂漏性湿疹
入浴やシャワーの際、脂を落とすように洗うとよいとされています。入浴後は、ローションタイプの塗り薬などを塗るとより改善されるといわれています。
おむつかぶれ
蒸れを防ぐために、おむつをこまめに替えたり、おしりふきや濡れタオルでおしりをよく拭いたりして清潔に保つように心がけることが予防になります。
アトピー性皮膚炎
体質によるものが大きいため、明確な予防法はありませんが、かきむしることで併発する病気がありますので、赤ちゃんの爪を短く切ったり、ミトンをはめてあげたりするなどして、予防しましょう。
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