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薬で体がかゆくなる!薬疹について

更新日:2017.04.22
公開日:2017.03.31
ドクター画像
この記事の監修者
M'sクリニック南麻布 院長 伊藤まゆ

私たちは日常生活のさまざまな場面で薬剤を使用します。しかし、薬剤によって身体にかゆみや皮膚の異常をともなう薬疹を発症する場合があります。ここでは、薬疹についてドクター監修の記事で解説していきます。

私たちは普段の生活の中であたり前のように薬剤を使用しています。持病のために薬剤を服用したり市販薬を購入したり、薬剤を使用する場面はさまざまです。しかし、使用した薬剤によって身体にかゆみや発疹の症状が現れる場合があります。これを薬疹と言います。ここでは、薬疹の原因や症状、治療法について詳しく解説していきます。

薬疹とは

薬剤を体内に取り込んだ後、身体のかゆみや発疹を生じる病気を薬疹と言います。原因には大別するとアレルギー性のものと非アレルギー性のものがありますが、薬疹の多くは使用した薬剤へのアレルギー(免疫)反応によるものです。薬剤の服用だけでなく、注射や点滴、点眼などを行った際にも症状が見られます。症状には個人差がありますが、多くはかゆみや発疹、吹き出物などをともないます。重症化すると発熱などの症状が見られ、死に至るケースもあります。

薬疹の症状

薬疹にはさまざまな症状が見られますが、現れた症状によって以下のように分類されます。

播種状紅斑丘疹型(はしゅこうはんきゅうしんがた)

薬疹において多く現れる症状です。皮膚が赤くなる紅斑(こうはん)や皮膚が隆起する状態の丘疹(きゅうしん)をともないます。全身の左右対称に症状が現れるのが特徴です。

多形滲出性紅斑型(たけいしんしゅつせいこうはんがた)

さまざまな大きさの紅斑が見られる症状で、たいていの薬剤が原因となります。全身の左右対称に丸く隆起した6~20mm程度の紅斑が現れ、多くの場合、丸みを帯びた紅斑の中心の皮膚が白くなります。悪化すると、地図のように隣り合った紅斑がつながっていきます。改善が困難であり、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症といった命に関わる病気に発展する可能性があります。特に中毒性表皮壊死症は死亡率30%以上の重篤な症状であるため、早期の治療が必要です。

蕁麻疹型

食物アレルギーでもみられる症状で、薬剤の使用後数分から1時間以内に強いかゆみと合わせてミミズ腫れを発症します。呼吸困難やショック症状に至る可能性があります。

固定薬疹型

ある特定の薬剤の使用により、毎回同じ場所に紅斑が見られるのが特徴です。口唇や外陰部、手足の甲に多く症状が見られ、同じ場所にくりかえし症状が現れるため色素沈着を起こす場合がありますが、症状の改善が容易とされています。抗生物質のほかに、痛み止めや解熱剤に含まれるピリン系薬剤や睡眠薬に含まれるバルビツレート系薬剤により発症します。

光線過敏型

薬剤の使用後に日光を浴びることで顔面や首などの露出している部分に丘疹を生じる状態です。日光を浴びて数時間ほどで症状が見られ、色素沈着や白班(はくはん)をともなう場合があります。ニューキノロンが含まれる抗菌薬や湿布の使用により発症します。

薬疹の原因

薬疹の原因には、アレルギー性のものと非アレルギー性のものがあります。アレルギーは、ある特定の抗原(アレルゲン)を体内に取り込むと抗原を異物と見なし、抗体によって異物を攻撃しようとする体の働きによって現れます。非アレルギー性のものは、薬剤の副作用や過剰投与によるものなどさまざまですが、薬疹の多くはアレルギー性のものが原因となっています。以下にアレルギー性の原因について解説します。

I型アレルギー(即時型アレルギー)

抗原を体内に取り込んでから2時間以内に症状が現れます。I型アレルギーは蕁麻疹型の薬疹に多く、アナフィラキシーショックを生じる可能性があります。

II型アレルギー

なんらかの原因で赤血球や筋肉の細胞などの組織が異物と判断され、自身を攻撃してしまうことで発症します。

III型アレルギー

抗原と抗体が結びついた免疫複合体と呼ばれるものが組織に付着することにより生じるアレルギーです。血管の炎症や臓器障害を発症します。

IV型アレルギー(遅延型アレルギー)

抗原を含む薬剤が再度体内に取り込まれることで発症するアレルギーです。薬疹の原因の多くはIV型アレルギーに基づくものといわれています。抗原を含む薬剤の使用から数週間ほどで症状が現れます。

薬疹の治療法

原因となる薬剤の使用を中止する

軽度のものであれば、原因と考えられる薬剤の使用を中止することで症状を改善できる場合があります。他の薬剤と合わせて原因となる薬剤の使用がある場合は、必要なもの以外全ての薬剤の使用を一旦中止しましょう。

しかし、改善が見られても再度発症して重篤な状態になる場合があるため、薬疹の症状が現れたらドクターに相談することが大切です。

薬剤の使用を中止しても症状に改善が見られない場合や強いかゆみをともなう場合は、抗ヒスタミン剤やステロイド薬での治療を行う必要がありますので、皮膚科や内科を受診しましょう。

ステロイドパルス療法

症状が重篤である場合、大量のステロイドを短期間投与するステロイドパルス療法にて治療を行います。

症状が以下のような状態である場合に多く用いられます。

・発疹の出現が激しい

・呼吸困難

・血圧、脈拍、体温の異常

・ステロイド薬の効果がない、または、減量すると症状が再発する

・口唇や陰部などの粘膜にも赤みやただれ、水疱(すいほう)が現れる

・38℃以上の発熱

・倦怠感、食欲不振

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