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子育ての悩み

高機能自閉症の特徴は?アスペルガー症候群とどう違うの?

更新日:2018/03/16 公開日:2018/03/15

自らの発達障害を公言する有名人が増えてきました。報道やブログを見て、もしかして自分も同じかもしれないと不安になる人もいるでしょう。この記事では、高機能自閉症の症状や特徴、診断、治療についてドクター監修のもと解説します。

◎短くポイントをまとめると
社会性の障害、言語発達の遅れ、こだわりの強さなどがあり、知的能力障害がない場合に「高機能自閉症」と診断される
成長とともに生活に支障のあるような障害が目立たなくなってくるケースがある
幼児期から発達のレベルに応じた療育を行うことが重要
現在では自閉症やアスペルガー症候群という用語は使わず、代わりに「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」と呼んでいる

母親と子供のイメージ写真

有名人が報道やブログなどで、自ら高機能自閉症やアスペルガー症候群、ADHDなどの発達障害である(と思われる)ことを表明する機会が増えてきました。それを見て、もしかして自分や子供、知り合いも同じような障害があるのではないかと心配になってしまう方は少なくないのではないでしょうか。

実際に、文部科学省が小中学生を対象に2012年に実施した調査[1]によれば、ADHD疑いは3.1%(100人に3人)、自閉症疑いは1.1%(100人に1人)いると推定されており、学校や仕事場など、身の回りに数人いてもおかしくありません。ここでは、高機能自閉症の症状や特徴、診断、治療について解説します。お互いにうまく日常生活を送っていくためのヒントとなれば幸いです。

※なお、現在の精神医学では高機能自閉症は「高機能自閉スペクトラム症」と呼ばれています。この病名については、アスペルガー症候群との違いも含めて、後ほど解説します。この記事では一般的に使用されている「高機能自閉症」という用語を使用します。

高機能自閉症の特徴・症状

「自閉症」は女性より男性に多い発達障害の一つです。自閉症の人は、他人とのコミュニケーションがうまくとれない(社会性の障害)、言語発達が遅れる、行動や興味がかなり狭く、こだわりが強いという特性があります。知的能力障害(知能指数;IQが70未満が目安)がある場合とない場合があり、知的能力障害がない場合に「高機能自閉症」と呼ばれます。高機能自閉症の特徴・症状は下記のようなものになります。

  • 社会的な対人関係の障害(例:他人の気持ちが分からない、場の空気が読めない)
  • 社会的コミュニケーションの障害(例:言葉の発達の遅れ、会話が続きにくい)
  • 強いこだわり(例:新しいことや状況の変化に対応できない、融通が利かない)
  • 特定の感覚が敏感(例:音に敏感、集団で話すと話を理解できない、極端な偏食)
  • パニックを起こしやすい(例:ささいなことで混乱する、静かな状況で突然起こる)
  • 「心の理論」(他人には他人の心があり、自分とは違う考えを持つという概念)の理解が遅い

これだけだと少しイメージしにくいかもしれません。高機能自閉症に悩むのは子供やその親だけでなく、思春期や大人になってから自分で違和感に気づくケースもあります。以下、大まかなライフステージに分けて、高機能自閉症にありがちな具体例を紹介します。

乳児期における高機能自閉症の特徴・症状

  • 親と視線が合わない
  • あやしても笑わない
  • 抱かれるのを嫌がる
  • 人に興味がない
  • 人見知りをしない、もしくは激しく人見知りをする
  • 1歳を過ぎても言葉を話さない
  • 自分で指差しをせず、相手の手をとって目的の物へ誘導する
  • 同じしぐさをくり返すことに没頭する

学童期における高機能自閉症の特徴・症状

  • 一人遊びを好み、他の子と遊ばない
  • 集団行動ができない
  • マイペースすぎる
  • 相手が言った言葉をくり返す
  • 立場によって人称(わたし/あなた)を変えられない
  • 名前を呼んでも振り向かない
  • いつもと違う通学ルートを通ろうとすると嫌がる
  • ごっこ遊びができない
  • 思うとおりにいかないとパニックになる
  • 同世代の子供とは遊ばず、年上や年下と遊ぶことを好む
  • 正直すぎる(言ってはいけないことを言ってしまう)
  • 特定のものを収集したがる
  • 嫌われたり、いじめられたりしていることに気づかない

青年~成人期における高機能自閉症の特徴・症状

  • 他人への配慮ができない
  • 暗黙のルールを理解できない
  • 自分の興味のあることを一方的に話す
  • 冗談が通じない
  • 言葉を字面通りに理解する
  • 融通がきかない
  • 規則を守りすぎる
  • 失敗から学べない
  • ささいなことで「自分は迫害された」と思い込む

これらの具体例で、高機能自閉症の人がどのようなことに困難を感じているのかイメージできたでしょうか。ここにあげたものはごく一部ですし、この中でいくつか当てはまるものがあるからといって、必ずしも自閉症であるとは限りません。あくまで参考としてご覧ください。

高機能自閉症の診断

高機能自閉症であるかどうかを診断するためには、精神科医による診察が必要です。現在、精神医学の世界でスタンダードとなっている「精神疾患の分類と診断の手引(DSM-5)」によれば、自閉症(自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害)を診断するために確認すべきポイントは下記のようなものです[2]。

  • 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥
  • 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式(こだわり)、感覚過敏あるいは鈍感さ
  • 症状は発達初期(乳幼児期)に存在
  • 症状により社会的、職業的、または他の重要な領域における機能に障害が起きている
  • これらの障害が知的能力障害または全般的発達遅延ではうまく説明できない

このように、よくある生活習慣病のように「この数値が高いからこの病気」と判定するわけにはいきません。詳しい問診などを経て、これらのポイントを満たしていると精神科医が判断することが必要です。また、自閉症とよく似た症状を引き起こす別の病気(聴覚障害、知的能力障害、レット症候群、小児崩壊性障害など)との見分け(鑑別診断)も必要となります。自己判断せず、一人で悩まずに、お近くの精神科やメンタルクリニックを受診してください。

「心の理論」の発達を調べるためのテスト

ここで一つ、簡単にできる有名なテストをご紹介します。このテストでは、他人には他人の心があり、自分とは違う考えを持つという概念、すなわち「心の理論」を理解しているかどうかをチェックすることができます。

  1. サリーはボールとカゴを持っている
  2. アンは箱を持っている
  3. サリーはボールをカゴに入れて、何も持たずに部屋の外へ出る
  4. アンはカゴのボールを箱の中へと移す
  5. アンは箱を部屋に置いたまま、どこかへ出る
  6. サリーが部屋に戻ってくる

このとき、サリーはボールを見つけるために最初にどこを探すでしょうか?

正しい解答としては、「サリーは、アンはがボールを箱に移したことを知らない」ので「カゴの中」になります。しかし、高機能自閉症の人は「箱の中」と答える確率が高いのです。なぜかというと、自分の知っている情報から事実を導き出すことはできるのに、サリーの立場で考えることはできないからです。すなわち、他人の心を推測できない、「心の理論」の発達が遅れているということになります。普通は4歳くらいで「カゴの中」と正答することができますが、自閉症の人は10歳くらいになるまで間違えてしまうそうです[3]。

高機能自閉症の治療や対処法

では、もし高機能自閉症であることが分かったら、どうやって治せばいいのでしょうか。

残念ながら、現代医学では自閉症の原因が特定できていません。しかし、「幼少時に親がきちんと構ってあげなかったから」といったことが理由ではありません。生まれつき何らかの生物学的な(身体の)原因があって、自閉症が発症していると考えられています。

原因がはっきりしていないので、完治させる方法はまだ開発されていません。ただ、自閉症のなかでも知的能力が保たれている高機能自閉症であれば、成長とともに生活に支障のあるような障害が目立たなくなってくるケースがあります。家庭や学校における理解や支援、安全で安心できる環境、親や教師など周囲の大人との良い関係を築くことが重要です。特に下記のようなことに気を配ってあげるといいでしょう。

  • 言語ではなく、イラストや図を使って視覚的に教える
  • 雑音がない場所で、1対1で話す
  • 1つの場所を1つの目的で使う
  • いつ、何をし、できたら何がもらえるかを絵で示す
  • 周りの人に自閉症の特徴を知ってもらう

高機能自閉症の本人に対しては、幼児期から発達のレベルに応じた療育(治療+教育)を行うことが重要です。社会生活において必要な常識、TPO(時と所と場合)を少しずつ理解させるためのトレーニングを行うことで、生きづらさやハンディキャップを埋めていくことができます。

高機能自閉症はアスペルガー症候群とは違うの?

最後に、少し専門的になりますが、高機能自閉症とアスペルガー症候群との違いを説明します。結論から言うと、高機能自閉症とアスペルガー症候群はほぼ同じ病状を指す言葉でした。今ではどちらの用語も使われておらず、一緒に「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」と呼ばれています。

自閉症とアスペルガー症候群は別の医師によって同時期に発表された病名です。高機能自閉症では幼児期に言語の遅れがあり、アスペルガー症候群ではそれがない、という区別をしていました。しかし、高機能自閉症の人が青年期になると言語の発達の遅れを取り戻し、アスペルガー症候群とほぼ見分けのつかない状態になるため、この区別が必要なのか議論になりました。また、社会性の障害はあるが、言語発達障害や強いこだわりがあまりないというパターン(特定不能の広汎性発達障害)も多く報告されていました。これらの病気は、人によって症状の強さや出方が異なり、まるで虹の色のようにさまざまであることから、これらを統合して「自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害」として取り扱うようになりました。

そのため、現在では自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害という用語は使われなくなったのです。

まとめ

高機能自閉症は、他人とのコミュニケーションがうまくとれない(社会性の障害)、言語発達が遅れる、行動や興味がかなり狭く、こだわりが強いという特性があり、かつ知的能力には問題がないという発達障害の一種です。多くは成長とともに、自分の特性と社会の要求を理解し、生活の支障が少なくなっていきます。できるだけ早くから適切な療育を受けさせることが良いとされています。気になる点があれば、病院の精神科やメンタルクリニックを受診してみてください。

参考文献

  1. [1]文部科学省初等中等教育局特別支援教育課. "通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について"(平成24年12月5日発表)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf
  2. (参照2018-01-29)
  3. [2]高橋三郎ほか監訳. DSM-5精神疾患の分類と診断の手引. 医学書院 2014
  4. [3]青木省三. “自閉スペクトラム症/自閉スペクトラム障害” 標準精神医学 第6版. 野村総一郎ほか監修. 医学書院 2015; 358

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