スキンケア大学 メンズスキンケア大学

LPSとは

更新日:2020/02/26 公開日:2020/02/26

美肌のカギは肌免疫!「ある細胞」に着目したスキンケア成分とは?

肌に手を添える女性イメージ

「免疫」といえば、私たちの身体を感染などから守っているもの。そして意外にも、美肌と深く関わるシステムなのです。今回は肌免疫のしくみをわかりやすく解説。肌免疫を上手に活用し、美肌キープに役立てましょう。

肌と免疫の関係とは?

素肌を触る女性イメージ

肌(皮膚)は、人体最大の臓器と言われています。私たちの身体は皮膚にすっぽり覆われているおかげで、外界の暑さや寒さ、何かと衝突したときの衝撃、化学物質の刺激などをダイレクトに受けずに済みます。

美容に詳しい方なら、肌には「バリア機能」が備わっていることをご存じですよね。実は外界の刺激や異物に対処する肌のしくみは「バリア機能」だけじゃないんです。今回は「バリア機能」を担う角層の下で活躍している「ランゲルハンス細胞」に注目してみましょう。

美肌を守る!ランゲルハンス細胞の働きとは

図解

ランゲルハンス細胞は、表皮の中ほどの層に存在。樹木のように枝状の突起を伸ばしながら、私たちの肌をパトロールしています。肌のなかでは、以下のような働きが判明しています。

異物の侵入を察知し排除指令を出す

ランゲルハンス細胞は免疫細胞マクロファージの仲間で「抗原提示細胞」の一種[1]。つまり角層のバリア機能で防ぎきれなかった異物の侵入を察知し、「有害かどうか」いち早く判断します。そして周囲の免疫細胞に排除の指令を出します。

肌の慢性的な炎症を抑える

外界と接している肌は、乾燥や紫外線の刺激を受けやすい状態。刺激が長引くと慢性的な炎症状態になり、肌荒れや色素沈着を引き起こすことがあります。ランゲルハンス細胞は刺激に対する反応を鎮静化させ、炎症を抑制する働きもあります[2]。

このように肌で大活躍のランゲルハンス細胞。ただし、その働きは加齢やストレス、紫外線などの影響で衰えてしまうものなのです。

ランゲルハンス細胞をきちんと働かせる方法は?

肌をいたわる女性イメージ

ランゲルハンス細胞の働きが衰えると、有害な化学物質や細菌・ウイルス、アレルギー物質などが肌に侵入しやすくなり、肌トラブルが急増。シミやシワなど、肌の老化も進行します。

ランゲルハンス細胞の働きを回復させるには、日頃から生活習慣を整え、ストレスを上手に解消することが大切。また異物の侵入を防ぐ第一関門である、角層のバリア機能を整えることも重要です。スキンケアをしっかり行い、ランゲルハンス細胞の負担を減らしましょう。

ところで化粧品で直接、ランゲルハンス細胞にアプローチする方法はないのでしょうか?実はひとつ、有効な方法があります。

化粧品でランゲルハンス細胞を活性化!?

化粧品イメージ

化粧品が浸透するのは、厚さ平均0.02mmの角層まで。角層とその下の顆粒層は、タイトジャンクションというしくみで仕切られています。ランゲルハンス細胞は顆粒層よりも下の有棘層にいるため、本来化粧品ではアプローチできません。

ただしランゲルハンス細胞は、枝状の突起を角層まで伸ばすことができます。マウスを使った実験では、この突起を通じてランゲルハンス細胞に働きかける「ある成分」が判明しています。

その成分こそ「LPS」。化粧品には「パントエア菌LPS*1」の名で配合されている成分です。

美肌に導く!「パントエア菌LPS*1」とは?

化粧品成分イメージ

LPSは糖と脂質が結合した構造をしており、日本語では「糖脂質」とも呼ばれています。LPSには、体内のマクロファージや肌のランゲルハンス細胞を活性化させる働きがあります。

LPSは有機土壌で育った穀物や野菜などに多く付着。私たちは本来、日々の食事からLPSをたくさん摂取していたのです。食を取り巻く環境が変化した現代では、機能性素材や美容成分として取り入れるのがおすすめです。

「パントエア菌LPS*1」はアレルゲンフリーの白たかきびという穀物を使い、発酵・培養の力でパワーアップさせた美容成分。肌に塗るとランゲルハンス細胞を元気にして肌のダメージを防ぐとともに、ランゲルハンス細胞を通じて真皮の線維芽細胞にも働きかける可能性が報告されています[3]。

線維芽細胞はコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を合成し、肌のハリやツヤを生み出している細胞です。実際、「パントエア菌LPS*1」を塗ったところ、4時間後の水分量はヒアルロン酸の6倍、2時間後の肌の弾力がコラーゲンの3倍になったとのデータ*2もあります。

肌免疫を活性化させることで、さまざまなトラブルを予防。さらにハリやツヤも欲張ることができるパントエア菌LPS*1。美肌をキープするうえで、ぜひ試してみたい美容成分ですよね。

LPS四半世紀にも及ぶLPS研究。ヘルスケアへの応用にも期待!

健康的な女性イメージ

LPSの機能性は1980年代、東大名誉教授である水野傳一博士の研究から見出されました。その後ヒトの身体に有用な働きが次々と解明されるとともに、機能性素材として実用化にも成功。「パントエア菌LPS*1」は、実用化された素材の一種です。

現在は産官学連携により、LPS(糖脂質)をマクロファージなど免疫細胞の活性化につなげ、病気の治療や予防に役立てようという研究活動も行われています[4]。今後もさらなる研究成果に期待したいですね。

* パントエア・アグロメランスLPS/ホワイトソルガム培養製法
*2 自然免疫応用技研株式会社調べ

参考文献

  1. [1]椛島 健治. ランゲルハンス細胞 過去・現在・未来, アレルギー 2016; 65(1): 22-24
  2. [2]YALE UNIVERSITY. "Langerhans cells regulate immune reactions in the skin" eurekalert. https://www.eurekalert.org/pub_releases/2005-12/yu-lcr121205.php(参照2020-01-29)
  3. [3]自然免疫応用技研株式会社. "スキンケアとLPS (3)はり・つやとLPS" 自然免疫応用技研株式会社ホームページ. https://www.macrophi.co.jp/lps/3-3.html(参照2020-01-29)
  4. [4]経済産業省.” 自然免疫制御技術研究組合|自然免疫を制御する糖脂質解析・合成・利用技術の開発に関する試験研究及び組合員の技術水準向上並びに実用化を図る” 経済産業省ホームページ. https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/kenkyuu/05_5.html(参照2020-01-29)

関連記事