牡蠣の栄養、選び方と調理法
おさかなマイスター
須沼三枝子
イタボガキ科に属する二枚貝。マガキは日本各地、サハリン、朝鮮半島、中国、東南アジアに分布します。
閉殻筋(貝柱)は一つ。殻長5㎝、殻高10㎝ですが、北方系のものは殻長8㎝、殻高35㎝です。殻の形は一定しませんが、垂下式養殖されたものは下ぶくれの卵円形です。
マガキの漁業はほとんどすべて養殖です。主産地は広島県と宮城県で、ほかに岡山県、岩手県、兵庫県、北海道、三重県などです。カキの養殖の歴史は古く、いまから450年前頃から広島県で始まりました。東北地方で養殖が始まったのは、それから100年以上後のことでした。
夏ガキと呼ばれているのはイワガキのことです。マガキに近い種類です。大型のかきで殻長10㎝、殻高20㎝以上になります。
主な栄養素
グリコーゲン、ビタミンB₁₂、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅
食材の栄養成分と効能
カキは栄養が豊富なので海のミルクとよばれます。その代表的なものがグリコーゲンです。貝類のなかでは最もグリコーゲン含有量が高く、疲労回復効果や血糖値を調整する効果があります。
ビタミンB₁₂ は、正常な赤血球を作り出す作用があり、血液のみならず皮膚細胞などあらゆる細胞の生成に関わります。
マグネシウムは筋肉や心臓の働きを助けます。
亜鉛は味覚を正常に保ち、新陳代謝の促進、髪のキューティクルの生成にも関わります。
鉄はヘモグロビンの生成に必要で、貧血を予防します。
銅は鉄の吸収を良くし、貧血を予防します。
旬
マガキの旬は秋から春です。寒い時期が旬のマガキに対し、イワガキは夏が旬のため、夏ガキと呼ばれます。グリコーゲンの含有量が多い時期に美味しくなります。マガキは英語のつづりでRのつく月にグリコーゲンの量が多くなります。
お店での選び方
殻つきは、出荷場所がはっきりした清浄養殖のものを選びましょう。殻の周りに傷がないものがよいでしょう。
むき身は、粒がそろっていて、ひだが縮み、貝柱が半透明で身が灰白色でつやがあるものがよいでしょう。
生カキには「生食用カキ」と「加熱用カキ」がありますが、これは鮮度の違いではありません。ノロウイルスなどによる食中毒を防ぐため、生食用カキには成分規格(菌数等)、加工基準などの規格基準が食品衛生法で定められていますので、生食する場合は、「生食用カキ」の表示があるものを食べましょう。加熱用カキを調理する時は、中心温度85℃~90℃で90秒間以上の加熱が必要です。
食文化、食べ方
カキは洋の東西問わず、広く食用とされており、冬を代表する食材です。貝塚からも出土されており、日本人はカキを縄文時代から食べてきました。
鍋にすることが多いですが、新鮮なものを生で食べたり、殻ごと焼いたり、蒸したり、炊き込みご飯、フライなどさまざまな食べ方ができます。カキのどて鍋は広島県の郷土料理で、鍋の内側の周りに味噌を塗りつけ、カキや野菜を煮ながら食べます。加工品では缶詰やくんせい、オイスターソース、エキス製品などです。
調理方法
生食・・・生食する場合は「生食用カキ」を使用して下さい。
(酢がき) 二杯酢が良いでしょう。
加熱(焼く、煮る、揚げる)
(焼きがき)殻つきのまま焼き、しょう油をかけます。
(どて鍋) 味噌をみりんで練ったものを、なべのふちにぬります。
(フライ) パン粉をつけてふっくらと揚げます。
下処理
殻のむき方
1 深みのある殻を下、ちょうつがいを手前に持ち、貝割りまたはナイフを差し込みます。
2 上側の殻についている貝柱をはずして殻をこじあけ、身をとりだします。軍手を使用すると安全です。
むき身
ぬめりや殻の破片などの汚れがついていることがあるので、大根おろしのなかでふり洗いしましょう。塩水で洗っても良いです。
