多くの女性を悩ませる便秘。いったいどのようなメカニズムで便秘の症状が起こるのでしょうか?便秘解消に必要な栄養素とあわせてご紹介します。
まずは食べた物が便になるまでの過程を見ていきましょう。
口から取り込んだ食べ物が胃の中に入ると、胃から大腸へと信号が送られ、反射的に大腸が収縮、便を直腸へ送り出そうと運動を開始します。
胃で消化された食べ物は小腸へ送られ、食べ物に含まれている栄養素を吸収、水分は大腸の方で吸収されていきます。
食べ物のカスは便へと変化し、S状結腸に送られたあと腸の蠕動(ぜんどう)運動によって直腸へ移動、腸壁を刺激します。
そしてある一定の状態に達した段階で、この刺激が脳に伝わり便意となって肛門括約筋がゆるみ、便が排泄されるのです。
便秘が起こる原因はさまざまです。たとえば、便意があるにもかかわらず我慢すると、「腸内に便が溜まっている」という感覚が鈍くなり便秘が起こりやすくなってしまいます。
また、精神的ストレスによって大腸の運動リズムが乱れたり、食物繊維や水分の不足によって便が固くなることも、便秘を引き起こす原因となります。
便秘は大別すると、腸管機能の異常による機能性便秘と腸管の病気による器質性便秘があります。
さらに、機能性便秘は以下の3つに分類されます。
中でも日本人が起こしやすい便秘の約2/3は弛緩性便秘だといわれています。
弛緩性便秘の予防や対処には規則正しい生活をはじめ、適度な運動、便秘を解消する働きのある栄養素を摂ることが大切となります。
では、どのような栄養を摂ればよいのでしょうか?
食物繊維は水溶性のものと不溶性のものがありますが、いずれも善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。
水溶性食物繊維は便を出やすくさせ、不溶性食物繊維は水分を含んで膨らむことによって腸を刺激し、蠕動運動を活発にするため、便秘の解消効果が期待できます。
食物繊維を多く含むいも類・海藻類・果物類を積極的に摂取しましょう。
腸の蠕動運動を活発にして便をやわらかくし、速やかに排泄させる働きがあります。
さつまいもに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくいという特徴がある上、食物繊維も豊富に含まれているため、便秘がちの人にはぜひ積極的に摂ってほしい食材です。
腸の蠕動運動を促進し、排便をスムーズにするとともに便中の水分量を保つ働きがあります。また、腸内を酸性に保ち腸内環境を整える効果が期待できます。
乳酸菌はヨーグルトやチーズなどの乳製品、キムチや味噌などの発酵食品に多く含まれています。
小腸で消化吸収されにくく、腸を活発にする働きがあるため便秘を解消する効果が期待できます。オリーブオイルにはオレイン酸が豊富に含まれています。
日ごろからこれらの栄養素を含んだ食品を意識して摂るとともに、十分な水分の補給も大切です。
便秘解消の理想的な形は、食事から摂る栄養と適度な運動を継続的に行うことで自然な排便リズムをつけること。便意がなくても、決まった時間に排便を試みることも大切です。